勢力拡大
浩一は強化人間達を引き連れて、シャドウストーカー幹部達の下へと歩いた。
幹部達の目が限界まで見開かれる。
「な、何なんだ、お前は……?」
「平和を愛する一市民……と言いたいところだけどな。今じゃ魔王エンドとか呼ばれてるよ」
「ま、魔王……エンド……」
呆然とおうむ返しする幹部達。
数瞬の後、魔王エンドの噂を思い出すと幹部達は一斉にひれ伏した。
「我々は魔王エンド様に忠誠を誓います!」
「なにとぞ御慈悲を!」
浩一は白衣の老人に近付いた。
腰を落とし、目線を下げる。
「なぁ、アンタ」
「はっ!ひゃい!」
「コイツ等、元に戻せるの?」
周囲にまとわりつき、しきりに浩一を殴打する強化人間達を指して、訊く。
「も、申し訳ございません!一度薬を使いましたら、二度と元には戻らなく……ハッ!今すぐ命令の解除を!」
「あぁ、いいよ。そういう話なら、コイツ等は処分するから。もうこんなの作るなよ?」
「ハイィッ!かしこまりました!」
立ち上がり、強化人間達に向き直る浩一。
その後、展開された地獄絵図を目の当たりにした幹部達は恐怖に震え、失禁したものさえ出た。
強化人間達を全て片付けた浩一達は、幹部達に事情聴取を行った。
彼等『シャドウストーカー』は複数国家に跨る犯罪組織で、売春や薬物販売、密輸、暗殺などを行う犯罪者を纏め上げる“裏のギルド”だ。
浩一に降った幹部達は、帝国に浸透を始めた組織の基盤を作るべく工作していたところだった。
「こんな奴等、生かしておく必要あるのか?」
ギディアの疑問に、幹部達が震え上がる。
「もう麻薬も相当量を流通させてるらしい。コイツ等を殺したり、流通を止めさせたところで、別の誰かが売るだけだろうさ」
「ならアタシ等で管理してやろうってか?お前さんも大概お人好しだねぇ」
浩一としては、この幹部達を使って組織の大元締めにコンタクトを取りたいところであった。
これ以上の拡大を望まず、現行の体制と共存共栄で行けるなら良し。
もし、どこまでも自己の権益のみを追求し、どこまでも他人を踏みにじるというのであれば……
交渉にはシャルロットに行ってもらおうかと思う程度には不穏な自分の考えに、自分で怖くなる浩一だった。




