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本編脚本1/4

□レドラスタジオ・ロゴ動画

《レドラスタジオ 第一回実写長編作品》


□F・I

■閑静な住宅街/デュエルラック土呂店前

 快晴の青空。たくさんの小さな少年たちの声が、カードショップの中から聞こえてくる。響きわたっている楽しげな声。平和全開の空気。

 店長、ゴミ箱を抱えて出入り口から現れる。店の脇にゴミ箱設置。そのまま店内に戻ろうとすると、突然遠くから爆発音が響く。住宅街の奥の方で膨れ上がっていく巨大な火球。


店長「!?」

 音に驚いて慌てて後戻りし、遠くの火球を見つめる店長。遠くに身を乗り出している店長の背後で、グラサンと帽子の男(室長)が静かにやってきて火球の広がる方向を黙って眺める。渋い顔をしている室長。

室長「………」


■住宅街の真っ只中/土呂公園

 爆発の煙の中から、若い男(日暮)が飛び出してきて地面を転がる。膝立ちになって苦しげな表情をする。日暮、息を切らしながら正面を睨み付ける。日暮の目の前から、彼より少し背の高い別の男(杉田)がゆっくりと近づいてくる。どことなく風格があるが、いかにも日暮を見下すような目つきをしている。二マッと悪い笑顔。


 杉田、唐突に立ち止まって手元を見やる。懐から取り出したその手の中には、無数のコアメダルが握られている。ソレを確認してから、再び日暮へ嫌な笑みを見せる杉田。杉田、静かに右手を目の前にかざし、呟く。


杉田「……サモン・『メダジャリバー』!」

 突然杉田の目の前に電子データのようなエフェクトが発生し、それらが次第に形をとって『オーズ』の大剣メダジャリバーが出現する。杉田、それを握ると軽く振るって体の側面に下ろす。日暮、負けじと目の前に手をかざし、必死で宣言する。


日暮「……サモン・『エンジンブレード』!」

 同じように日暮の目の前に電子データのようなものが発生すると、それが形をとって『アクセル』のエンジンブレードへと変貌を遂げる。

日暮「よしっ………!」


 そう言って、手の中に出現したエンジンブレードを確認するようにしばらく眺め回すと、急いで目の前に構えなおす日暮。杉田と日暮、それぞれの体勢でお互いを牽制し合いながら、じりじりと横移動を続ける。睨みあいを少しの間続けてから、唐突に杉田が奇声を上げながら日暮に襲い掛かる。日暮も掛け声とともに迎え撃つ。


 杉田と日暮の剣が公園の真ん中でぶつかり合う。黄色い火花が散る。数秒に渡る鍔迫り合いの後、つかず離れずの剣戟を繰り広げ、公園を走り回る。杉田の方が若干押している。合間を縫って杉田が腹部に蹴りを入れ、ひるんだ隙にメダジャリバーが日暮を一閃する。斬られて仰け反り、後ろ向きに吹っ飛ばされる日暮。

 日暮、地面で苦しそうにしながらも、杉田に向かって辛そうに叫ぶ。


日暮「もうやめてください、杉田さん………俺は、俺は貴方と戦いたくはない! お願いだから、メダルを渡してください!」

杉田「フフフ……馬鹿め、誰がこの力を手放すか。お前はもう用済みなんだよ、日暮。メダルも、世界も………全部俺のものだ!」

 そう言って顔に笑みを広げる杉田の瞳が、突然緑色に発光する。日暮、辛そうな表情で告げる。


日暮「だったら仕方ありません………俺が、杉田さんを止めてみせます!」

杉田「出来るものか、お前のような半熟にぃぃぃぃぃ!」

 叫び声を上げながら突っ込んでくる杉田。メダジャリバーが振り下ろされる。エンジンブレードを構えて迎え撃つ日暮。公園の真ん中で両者の剣が再びぶつかり合う。


□F・O

□オープニングクレジット(劇場版 Fate/stay nightのBGM)

《原作・脚本 かくかく(レドラスタジオ)》


□ナレーション

 「『フォースブレイク』――――現実とフィクションを隔てる不可視の防護壁『第四の壁』が破れ、空想の産物が現実世界へと流れ込んで侵食を始める、恐るべき異常事態………」


■暗い部屋

 何もない床に、次々と浮かび上がっては消える仮面ライダーの変身ベルト。武器玩具。キーアイテム………。

 「世界を満たす秩序は、存外にも不安定であった。そのまま放置すれば世界そのものを飲み込みかねないこの現象に、何人かの賢者たちは立ち上がり、防衛のための組織を結成した………」

《出演 古狐》


□F・I

■町外れの団地・夜/団地・新棟前

 帽子とサングラスをした男(室長)が日本刀のような武器を召喚し、チェーンソーを携えた巨体の怪物と戦っている。動作の端々に剣遣い仮面ライダーの動作オマージュ(『フォース:オープニング』の映像)。

 「僅かな時間だけ、自らの意思で『フォースブレイク』を引き起こすことを許された彼らは、同じくフィクションの世界から宝具を召喚し、現実世界へ迷い出たそれらを撃破し、もと来たフィクションへと送還する……」


□F・O

《×××× △△△△》


□F・I

■町外れの団地・夜/団地・新棟前

 室長が日本刀でリボルクラッシュ。怪物の腹部から噴出し続ける火花。怪物は断末魔と共に倒れ、爆発して散る。暗闇に広がる巨大な炎。

□F・O

《音楽 鳴瀬シュウヘイ 中川幸太郎 松尾早人 川井憲次》


□F・I

■夜の街/プラザノース館前/館内/他

 街中の様々な場所。サングラスをかけ、白いジャケットを羽織った隊員たち(ガーディアンY/ガーディアンK/ガーディアンN)が映っては消える。各自、それぞれ違う武器を持って一瞬だけドヤ顔でポーズを決めていく。

□F・O

《監督 かくかく》


□F・I

■産業道路の脇/高架下への階段

 夜の階段。背後の街灯の光を後光のように浴びつつ、杉田がゆっくりと正面の階段を下りてくる。いかにも強そうな雰囲気。

□F・O

「世界が、その闘いを知ることは無い。人知れず、世界の命運を守って闘う彼らはいつしかこう名乗るようになった――――」


□タイトル・ロゴ


 『フォース・ガーディアンズ』


オープニング終わって……。

《数時間前》


□F・I

■閑静な団地/団地旧棟前

 雲がまばらに散る青空。

突然、空に黒いシミが広がったかと思うと一気に巨大な異次元への穴となる。時々電流が見える。

ブラックホールのような漆黒の穴からバラバラと何か小さいものが降ってくる。近くで見るとソレは何枚ものコアメダル。建物の脇に降り注ぎ、地面に徐々に積もっていく。

すぐに空に開いた黒い穴は消えていき、再び青空だけになる。

不気味な静寂。


■閑静な団地/小さな公園

 サングラスをかけた二人の男が、並んで公園に入ってくる。何かを探すような動き。後ろにいたほうの男(日暮)が、前の男(杉田)に話しかける。


日暮「杉田さん、報告によるとこの辺りでしたよね?」

杉田「ああ」

日暮「今回のターゲットはなんです?」

杉田「反応を分析した限りじゃ、どうも『オーズ』のコアメダルらしいな」

日暮「コアメダル! それまた随分と物騒なもんが出ましたね」

杉田「ああ……どうも、『オーズ』の最終回で発生した例のブラックホールが、この世界と繋がってしまったらしい」


日暮「何も起こらないといいんですが……」

杉田、そんな日暮の方をチラリと振り返って、

杉田「油断するなよ、日暮。特にお前は、今回が初任務なんだからな」

 日暮、急に居住まいを正し、


日暮「あの、杉田さん。もう一度確認しますけど、俺自身の意思で『フォースブレイク』を起こしちゃっていいんですよね」

杉田「ああ、そうだ。ついでに言えば、召喚した宝具の強さは召喚者の想像力に左右される。それが天然だろうと、人為であろうと、『第四の壁』を破るエネルギーの源は人間の想像力だからな」

日暮「分かってます。そのことは何度も………」

杉田「いい機会だ。お前、何でもいいから今すぐ何か召喚してみろ」

日暮「え、今ここで、ですか?」

杉田「そうだ、いざって時に自分の身を守れないと困るからな。お前の場合は特に心配だ」

日暮「じゃあ、えっと………サ、サモン!」

 日暮の手の中に電子データが集合し、たちまち一丁のピストルが出現する。若干興奮気味の日暮、


日暮「で、出来ましたよ、杉田さん!」

杉田「ここまでは、な。問題はこの後だよ。日暮、ちょっとそこの壁向かって引き金を引いてみろ」

日暮「え、でも………」

杉田「責任は俺が取る。いいから早く」

日暮「は、はい。………えっと、はあっ!」

 日暮、躊躇いつつも側の壁に銃口を向け、ゆっくり引き金を引く。弱々しい銃声が響く。


二人「「……………」」

 杉田と日暮、笑顔が硬直している。

 日暮の持っているピストルの銃口を見ると、短い棒が突き出して、その先端から白旗が一枚が垂れ下がっている。マヌケな効果音。

日暮「え、なんで? なんで?」

 慌てふためく日暮。参った、という具合に顔に手をやる杉田。


日暮「えっと、それじゃもう一度」

杉田「………ったく、だから宝具の再現は正確にやれって、あれほど言ってるのに。相変わらず、想像力が足りてないなお前は」

日暮「きょ、今日はたまたまですよ。大体最初から、俺はオリジナル路線でやりたいって言ってるのに、それを杉田さんが無理やり、」

杉田「あのな、いつも言ってるだろうが。最初はみんな、模倣から始めるんだよ。元々存在するものを正確に表現できるようになって、そこではじめてオリジナルに成りうる」

日暮「真似ばっかりしてどうなるってんですか。俺はもっとこう………すごいことがやりたいんすよ!」

杉田「………いいか日暮、基本の出来てない奴が応用をやってもどうしようもないんだよ。オリジナルに行きたかったらな、まずは宝具の正確な召喚が出来るようになれ。分かったな」


 話を打ち切った杉田、公園のベンチに座ると持っていたパソコンの電源を入れてブラウザを起動する。

 日暮、小声でボソッと、

日暮「杉田さんは何もわかってないっすよ………」

杉田「なんか言ったか?」

日暮「いえ別に!」

 不満そうな表情と声で誤魔化す日暮。杉田のパソコン上に横から顔を出す。

 パソコンの画面に「ヤフー地図」が表示される。

 日暮、首をかしげて、


日暮「これって、ヤフーの地図検索じゃないですか?」

杉田「ああ、お前は知らなかったっけか。ヤフーの検索システムにはな、フォースブレイクした宝具の探索機能が組み込まれてるんだぞ」

日暮「マジですか!? ってか初めて聞きましたよ!?」

杉田「 日本でも、知っているのは我々のような一部の人間だけだ。隠しコードでな。ここに名前を打ち込むとおおよその位置が特定できるんだ。アンデッドサーチャーみたいだろ」

日暮「ひでー設定だなぁ………」

杉田「何を訳の判らないことを言ってんだ。ほら、これ持ってここに座れ」


 杉田、日暮にノートパソコンを持たせると代わりにベンチに座らせる。自分は脇にしゃがみ込んで、画面を覗き込む。

杉田「ははん、こりゃすぐ近くだな。日暮、こいつを持ってここにいろ。この場を一歩も動くなよ。俺は勾留ビンを持ってメダルの回収に行ってくる。お前はその間、一般的な宝具の召喚練習でもやっとけ。揉み消しが面倒だから、民間人に見られないようにな」

日暮「は、はい分かりまし―――」


 日暮、そう言いかけて画面に目を落とし、咄嗟に口をつぐむ。デスクトップのイラストに気付く。

日暮「あぁ、杉田さんも………」

杉田「ん、ああ……それがどうかしたか?」

日暮「いや、別にどうって訳じゃないんですけど。ちなみに杉田さんは歩美とちひろどっちが好――」

杉田「(即答で)ちひろだ」

日暮「あ、ああ………あの、でも歩美も可愛いと、」

杉田「(即答で)ちひろだ」

 杉田、有無を言わせぬ口調で断言すると、後は任せたと言ってどこかへ歩き去っていく。

日暮「あ、はい、分かり、ました………」

 気圧され気味の日暮。口調が尻すぼみになる。


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