※
※ ※ ※
気がつけば、そこは さっきまでの部屋の中じゃなかった。しかも陽の光。
パジャマに着替えたはずのオレは 普段着だ。しかも若くなってるようだ。そんな気がする。
ズボンのポケットに手をいれると、先ほど入れたあめ玉がある。
おい、冷静になれよ オレ。
自分で自分に言い聞かす。
まず ここはどこだ。
回りを見回す。
目の前の神社は 初詣や祭礼の時に訪れる場所だ
特に信心深いわけじゃないけれど、幼なじみに出会えることがあるからだ。
だけど、何かが違う。
神社と道をはさんだところにある公園。子どもの頃はよく遊んだな。
しかし遊具が 昔のままなのだ。
目の前を通りすぎる車。なんだ これ。
いまだに こんな古い型走ってるのか。
夢か。
思わず頬をつねる。
痛い!
夢じゃない。
そうこうしてるうちに 子どもたちの楽しそうな声が聞こえ出してきた。
その声は少しずつ大きくなってくる。
大人を先頭に 小学生の一群がやって来た。
先頭の大人、見覚えがある。
えっ! 先日亡くなられた小学校の担任じゃないか。
お通夜にも 告別式にも お伺ういしたのに、なぜ?
それに続く子どもたち、子どもの頃の同級生たちだ!
同じクラス、別のクラスの子がいるが、確かに同級生だ。
今、偶然にも同じ会社で働いているあの子も 子どものままでいるのはなんでだ?
いやぁ懐かしい。
って 懐かしがってる場合じゃない。
なにがどうなってるんだ?
それとも オレがどうにかなってるのか?
やがて 次から次へと子どたちは公園に入り お行儀よく整列。
おいおい あいつもこいつもいる!
そして気を失いそうになっているのがオレ。
オレが オレが、子どもの頃のオレはがいる。あかんやん!
こんなん ありえへんやん!
再び頬をつねる。
痛てぇ!。
やっぱり現実だ。
これは、これは……
…… あっ!
思い出した……
遠い昔の記憶が よみがえる。苦い記憶の写生大会の日だ。