013
「旦那様これ宝物にするね!」
「僕もこれを流君だと思ってムラムラを発散しつつ、妻としての予行練習に励むよ!」
「りゅー君ありがと! ふてニャンにりゅー君と同じ名前を付けて大事にするね!」
「じゃあなお前ら」
あれからゲーセンにいたのはいいが、UFOキャッチャーに苦戦して財布の札5枚を溶かしなんとか3つふてニャンをゲットした。
実に万札の半額きっちり、痛い出費だがこれで暫く大人しくしてくれるだろう。
「旦那様今日も家に上げてくれないの?」
花咲がうるんだめで、しかし、その程度では。
「駄目だ流石にこれ以上は付き合いきれん」
「まだ怒ってるの? 僕たちは謝罪として君に体を差し出すって言ってるのに……」
「駄目なものは駄目だ。責任を取りたくないからいい」
「むう、りゅー君のいじわる!」
「お前ら……俺に家を何度もあらしたくせに……はぁいつのことかじゃあまた明日な」
そういって手をひらひら。
それに対し。
「じゃーね! 旦那様また明日!」
「明日こそはナニかしようね!」
「ばいばいりゅー君! 明日ね!」
元気よく手を振る花咲。
小さな動きで手を振る黒石。
赤星は千切れんばかりに手を振っている。
そして3人が背を向けたことを確認すると玄関を締めた。
「さてと」
そのまま靴を脱ぎつつスマホで電話をかける。
相手は俺の親父、夜空一番星だ。
【どうした流珍しいな。パパンに会えなくて寂しいのか?】
「ちげーよ! 親父実は話があって」
【ついに3人の誰かが孕んだのか?】
「なんでそうなる!?」
【えーだってお前もてもてじゃん! 今でもあの3人お前と結婚したいって言ってんだろ】
「言ってるけど。そういう関係じゃない」
【なんでだよ! 早く孫見せろよ!】
「お前息子の歳考えろ! 完全アウトだろうが!」
【大丈夫だってあの3人の両親は承諾してるんだぜ! ひまわりちゃんたちが時間をかけて説得したからな!】
「それは知ってるそれでもだ! 違う話だよ!」
実は俺たちの関係はお互いの親公認である。
昔アイツらの両親に、娘をよろしく頼むと言われた。
その家が酷いありさまだったので何があったかは想像に難くない。
【じゃあなにのろけ?】
「自ら父親に電話をかけてのろけ話などするか!」
【じゃあなによ?】
「親父は女髪さんて知ってる?」
【女髪? どこかで聞き覚えが……あっあれだ!】
「何かしってるのか親父!」
【俺の母さんだよ! 母さんの元の苗字が女髪って言ったんだよ!】
「俺の婆ちゃん兼女神様か、つーか女神ってそういう意味か……」
【何言ってんだ? 俺の母さんは正真正銘の女神だぜマジで】
アンタが何言ってんだ、とツッコミたいがまあいいだろう。
【あー信じてねーな。俺の母さん巨乳でお前の彼女達並に美人だったんだぞ。俺が成人すると神界に帰っちまって滅多に会えなかったけど。そういえばお前が、俺の母さんに最後に会ったのは赤ちゃんだったころだったな……】
「それより爺ちゃんから聞いてる? 女髪楓って女の子が俺の許嫁らしいんだけど……」
【なんだ浮気か? あんなかわいい子3人もいて、あーそういえば俺の親父言ってたな、お前が年頃になったら運命の相手とであうから、黙ってみとけって】
「親父も聞いてないか」
【なーに言ってんだよ! お前があの3人捨てられるわけねーだろ! 何だかんだでお前が3人にベタ惚れなのはバレバレだぞ!】
「でも、アイツらとじゃ幸せな家庭が見えない……」
【気持ちは分からんでもないが、そんなもん時間さえかければ――】
「それを待ち続けて10年たってんだぞ!」
【だったら好きにしろ。その女髪さんの手を取ればいい】
「いいのか? 親父」
【なーに言ってんだよ! 俺はあの3人がお前の運命の相手だと確信してんだよ! どーせ違う子を選んでも、土壇場になってあの3人に惚れ直すってルート見え見えだぜ!】
「そうだといいがな……」
このままではまずあり得ないがな。
【仮にも俺は神の血が半分流れてんだぜ! この予想は確定だ俺が保証する!】
「へいへいそうですか」
【また信じてないな! 俺はこの直感で生きてきたんだぜ! もうすでに達人レベルだ!】
「分かった分かった。で、今はどんな仕事してんだ?」
【今は星花と中東のある国の俺が発見したダイアモンドの鉱山の経営】
夜空星花俺の母さんだ。
昔から放浪癖があり親父とよく海外を飛び回っている。
俺の親父の勘は凄い物で、それでいくつもの事業に成功を収めているらしいが、真偽は不明だ。
俺が暮らすのは十分すぎる金を毎月入れてくるので仕事は上手くいっているらしい。
【全く次こそは初孫報告な! 婚約でも可!】
「なんでそうなる!?」
【だってお前ら一向に仲が進展しないんだもん。せっかく俺たち親公認でやりたい放題なのによ! 一発やって責任とっちまえ!】
「俺はそんな気はない! ダメ嫁3人抱えるのは無理!」
【でも悪い気はしないだろ? このハーレム野郎め! まあいいかどうせお前があの3人を捨てられるわけがない。俺も忙しいから切るぞ】
「ちょっと親父切りやがった。飯作って女髪さんにメールするか」
そういって俺は台所へ向かった。
親父の予想は結果的に――まぁその時の俺はそう思わなかたってことだ。




