012
「楽しかったね! 旦那様」
「そうか? いつもと同じく俺にベタベタしてただけな気がするが……」
「それがいいんじゃないのさ! 流君!」
「えへへへへへ今日一杯りゅー君に私の臭い付けちゃった♪」
「へいへい」
気づけばもう放課後。
いつものメンバーで下校中だ。
あれから作戦は実行中これは好感度を高めて高めて、女髪さんが全部持っていくという作戦だ。
まぁ今は詳しく言えないけどな。
懸念であったこいつらをふった後、こいつらにふられた男どもが俺に凶行に及ぶ事がないように、根回しもしてくれているらしい。
心の方は相変わらず痛むが。ひいては俺の幸せのため幸せな家庭のため。
甘んじて受け入れる事にした。
でもこいつらは嫌いではないし、ここまで家事スキルが壊滅的でなければ、結ばれる事に全く抵抗はない。
しかし、度を越した家事力の無さこれは恐ろしく問題だ。
こいつらと知り合って好意を向けられるようになって十年ほど。
その十年は黒焦げ手料理と、家を滅茶苦茶にされる事を数えきれないほど味わい体験していた。
こいつらが美少女で性格がよくなかったら即絶交を決断するレベルで……。
よく耐えた方だと思う。
俺が下種野郎だったら3人の体に手を出して、あげく捨てるルートもありえたが、ここまで自分を好きでいてくれる女性にそんなことはできるわけがない。
何だかんだで嫌いに慣れないから、ずっと同じ学校に通えるようにしてきた。
だが、限界が見えてきている18歳という法的に結婚できる歳に近づいてきた今、あいつらもそれを意識し始めアプローチを強めてきている。
しかし、それでう想像しても、幸せな家庭が見えない。
アイツらの笑顔は想像できても背景の家は滅茶苦茶だ。
いつも思う何でこいつらは到底無理な専業主婦を揃って目指すのかと……。
夢を見過ぎだ。
もう少し現実を見てほしい。
「マジでこいつらは滅茶苦茶可愛くて性格良しなんだけどな……問題がでかすぎる……」
思わず本音がぽろり。
それに3人は。
「旦那様私達を可愛いなんて照れるなもう!」
「何だい流君! 僕を発情させる気かい! 嬉しいじゃないか異性に容姿を褒められれて嬉しいのは君とお父さんだけさ!」
「へへへへへ照れるな一杯愛してね! りゅー君!」
「お前らポジティブすぎ! 問題ありとも言ってるじゃん!」
「大丈夫だよ! 私たちは流君が旦那様が大大好きなんだから! 奇跡だって起こせるよ!」
「そうだよ! きっと僕たちは君の課題だした課題をクリアして、お嫁さんとして認めてもらうんだからね!」
「むう、よくわからないけど私はりゅー君の為なら何でもできるよ! まずはお嫁さんにしてもらうために黄色い卵焼き作る! ですわ!」
「つーか赤星いつまでお嬢様キャラを続けるんだ? ぼろ出まくりだが……」
「えーー!? 男の子のは皆お金持ちのツンデレさんが好きじゃないの?」
「お前そんな理由でツンデレキャラっぽくしてたのか……俺的には素のお前の方が好きだぞ」
「わかったツンデレさんやめて普通にする!」
全く純粋な奴だ。
そんなこいつも嫁として0点。
それでも凄い可愛くて守ってやりたくなるが。
何度も言うが結婚と恋愛に求められる能力は違うのだ。
付き合っている時如何に可愛くとも、嫁として0点では将来的な物は危うい。
俺は全てにおいて充実した家庭が欲しい。
こいつらの好感度を落とすことはまさに断腸の思いである。
「旦那様どこかよってこうよ!」
「そうだね! 僕のお勧めはそこの大人のホテルだね!」
「私ゲームセンターがいい!」
「じゃあゲーセンで、ラブホは当然却下!」
「ちぇ! 僕の初めてと流君の初めてをかけあわせることがしたかったのに!」
「初めてって何?」
「それは愛し合う事さ! 簡単に言えば子供を作る事だね!」
「私りゅー君と赤ちゃん作りたい!」
「旦那様私も賛成! そろそろ旦那様との消えない絆が欲しい!」
「やだよ! そうなったら責任取らせる気だろ! ぬいぐるみ取ってやるからゲーセンで我慢しろ!」
「全く君は焦らしちゃって! 確かに学生妊娠は社会的にもアウトだね! 仕方ない時間はまだあるから、今回は諦めようじゃないか!」
「確かに、そうなっちゃったら大変そう……家庭の幸せを守るのも私達妻の務めだもんね! じゃあゲームセンター行こ!」
「なんだかよくわからないけど、ひまわりちゃんとシズクちゃんがいうなら……私ふてニャンが欲しかったんだ! りゅー君取ってくれる?」
ふてニャン――ふてぶてしい顔をした丸い猫のぬいぐるみだったか。
女の子に人気があるとは聞いていたがゲーセンにあるのか……はぁこりゃ財布の中身が寂しくなりそうだ。
「じゃあ行こ旦那様!」
「ずるいよ! ひまわりちゃん流君と腕組みなんて僕もしたいよ!」
「私もりゅー君と腕組みしたい!」
「じゃあ順番こにしよ! いいよね旦那様!」
「へいへいどうせ止めたって聞かないんだろ?」
「当然さ君は僕たちのモノで僕たちは君のモノだからね! 純白で穢れをしらない僕たちを汚す権利は君だけのモノさ! 早く僕たちを美味しく食べて夫婦になろうね!」
「そうだよ! 旦那様私の体は旦那様を受け入れ準備はOKだよ! バッチこいだからね!」
「むふふふ、ふてニャン楽しみだな! りゅー君の名前を付けて大事にしないと!」
「ふてニャン以外は却下な」
「ぶーーー旦那様のいけずでもそういうところも好き」
「全くもう君ぐらいの男の子は下半身で考えてもいいんだゾ!」
「下ネタは止めろ黒石!」
そういう男と一緒にするなと強めに言った。
「どうしたの僕はシズクだよ! 今朝みたいに呼んでよ!」
「そうだよ旦那様――流君! ひまわりって呼んでよ!」
「私も暁って呼んでりゅー君」
「また今度の機会にな。じゃあ行こうぜゲーセン」
「じゃあ旦那様、次に名前で呼んでくれる日は特別な日にね! 例えば私達をお嫁さんとして認めてくれた日とか!」
「いいねそれ! 僕は賛成だよ!」
「わたしもいーよ! その日が来たら私たちりゅー君のお嫁さんだね!」
多分そうはまらないと言葉が出そうだったが、出しかけた言葉を飲み込み吐く言葉を変える。
「その日が来たらな」
そんな日が来ればの話だがな。
希望こめて言ったが期待はしていない。
それぐらい難しい事は明白だからな。




