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011

あれから赤星の奴が昼休みになるまでどうやっても起きず。

 各教科の先生にいろいろ言われたがどうやっても赤星が抱き付いて、離れず俺たちは困り果て仕方なく。

 現状維持を申し付かった。

 トイレの方は我慢できたが、限界寸前昼休みになって赤星がやっと起きたので。

 う~~~トイレトイレ、今トイレを求めて全力疾走している俺は高校にかようごく一般的な男の子しいて違う所をって! 

 この流れ不吉だわ! 青いツナギの男が出来そうなので却下!

 トイレを我慢しすぎておかしくなってるな俺。

 とネタを投入してすぐさま使いつぶす。

 そんなわけでトイレにやってきたのだ。

 やめい俺! 俺はノーマルだから。

 ただネタとしてアレが好きなだけで女の子が好きだから。

 というわけでトイレへGO! と行きかけた時だった。


 「夜空さん」


 後ろからかけられた声この声は。


 「女髪さんどうしたの?」


 「お気持ちは決まりました? 愚問かも知れませんが」


 「それは……」


 頭に浮かぶのは先ほどの3人の幸せそうな顔。

 しかし、手には黒焦げの何か。

 これがなかった違ったなこれ。


 「俺は女髪さんを選ぶよ」


 「それでよろしいのですか? あのお三方は随分夜空さんを好いているご様子ですが……」


 俺は次に出す自分の言葉に重みを感じた。

 覚悟はしていても、どうしても嫌いなれないあいつらだが……。


 「それでも俺は普通の家庭が欲しい。あいつらとじゃそれが全く見えない」


 「私の事はあの皆さん程好いていますか?」


 「今はアイツら程じゃないけど、それぐらい好きになれる気がする。女髪さんから初めて会ったけどずっと知っていた気がする。家族でもないに不思議だけど」


 「なるほど感は悪くないようですね! そういうところ正史郎さんにそっくりです!」


 なにいってんだ? それじゃまるで俺と女髪さんが昔から面識があるみたいじゃないか。

 まさか小さい頃会っているのか?


 「夜空さんそれは少し外れです。では私を選んでくれた夜空さんにお知恵を貸しましょうか……」


 ◇

 「遅いよ! 旦那様! 暁ちゃんがお弁当作ってきたのに!」


 「これやんなきゃだめ? どうせ黒焦げだろ俺食わなくてよくね?」


 「何言ってるのさ君のために作ったんだよ! 君が食べないと始まらないのさ!」


 「そうだよ! りゅー君今回は頑張ったんだから!」


 全く女髪さんの作戦によると好感度を高めておいて欲しいそうだが。

 弁当は正直な感想でとか。

 そんなことを考えていると赤星が黒の謎の物体――おそらく卵焼きの焼死体を箸で取ってあーんの体制だ。


 「りゅー君あーん!」


 満面の笑顔で赤星。

 普段なら抵抗するところだが、女髪さんの作戦の事があるのですんなり――受けいれられたら楽なんですけどね! どうしても躊躇してしまう。

 それを赤星は不思議そうに。


 「りゅー君! りゅー君! あーん!」


 分かったよ。

 最近買ったペットに餌をやるみたいな期待に満ちた顔しなくても食うからさ。


 「わったーよ!」


 そのままパクリ、うん安定の苦み? いや甘い。甘苦い――いやあっま!


 「赤星お前これどんな味付けをした!?」


 「だっていつもりゅー君私たちのお料理、苦いっていうからメイプルシロップに砂糖沢山いれて、全てのお料理が出来てからつけたんだよ! 苦くないでしょ!」


 「素材の味無視! もうちょっと別ベクトルで美味しさを追求してくれませんかね!?」



 口一杯に広がる苦みの後にくる甘み。

 苦みが隠れるほどの甘ったるい。

 どれだけ砂糖入れたんだよ!


 「やっぱり美味しくない?」


 笑顔に陰りを見せる赤星。

 普段なら本音で差しさわりない事をいうものだが。

 これも作戦の内、褒めてみた思えば初めてである。


 「旨くはないが、無理をすれば食えるレベルだ。よくやったぞ赤星」


 そういって赤星の頭をなでなで。

 さらさらの手入れが行き届いた髪が指どおりが良く心地いい。


 「えへへへへ、頑張るね! りゅー君!」


 「ずるい旦那様暁ちゃんだけ! 私も私も!」


 「僕も希望するよ! 初なでなでさ!」


 「わかったから落ち着け」


 そのまま黒石と花咲の頭に手を伸ばす。


 「えへへへ、旦那様大好き!」


 「僕も大好きさ! 流君!」


 ここまでの笑顔を浮かべられると正直心が痛むが、これも俺の幸せのため。

 作戦は、継続だ。

 

 「旦那様どうしたの手が止まってるけど?」


 「別になんでもねーよ」


 「りゅー君何か困ってたら私達に相談だよ! ですわ!」


 「そうだよ出すなら僕たちの中さ!」


 「それが妻の務めだよ!」


 そりゃお前らが嫁としてのスキル0点だから。

 皆可愛いけどさ。

 気もいい奴らだけどさ。

 マジでこいつらが家事ができていたら即篭絡ですよやっぱり。

 でもいくら可愛くても俺にベタ惚れでも、超えられないラインがある流石の俺でも超ド級ダメ嫁3人は許容できない。

 この好感度を家事力に転換できないモノなのか。

 だからこそ俺はこいつらは選べない。

 こいつらを選ぶとしたら綺麗な卵焼き一つでも作れてからだな。

 まあ現状を鑑みればあり得ないけどさ。


 「マジでお前らなんで、そこまで駄目駄目なのに嫁を目指してんだよ……」


 「それは流君が旦那様が大好きだからだよ!」


 「そりゃ女の子は大好きな人との新婚プレイに憧れる物だからね! 早く実行したいのさ!」

 

 「だって好きな人のお嫁さんになりたいもん! だからりゅー君のお嫁さんになるの!」


 「マジで愛で超えられない壁を理解してもらせませんかね」


 「別に超えなくても愛があれば大丈夫だよ! 旦那様!」


 「そうだよ! 愛があれば子孫繁栄だからね! 少しの欠点もそれでいいのさ!」


 「よくわからないけど! 私はりゅー君が大好きだよ!」


 「少しじゃないと思いますけど!?」


 「まあまあ旦那様きっと何とかなるよ!」


 「そうだよ! 子供が生まれたきっと解決さ!」


 「りゅーくんとの赤ちゃんが出来たらきっと私いい奥さんになる!」


 「それ希望論だろ! 10年全く成長しない事柄がそう簡単に変わるか!」


 「もう、旦那様ったらじゃあ、どうしたら私達をお嫁さんとして認めてくれるの?」


 「そうだよ! 条件を聞こうじゃないか!」


 「むうう、りゅー君の意地悪!」


 ふくれっ面の赤星に、ニコニコとした花咲。

 どんと構えた黒石。

 それに俺は。


 「焦げてない黄色い卵焼きが1つでも作れたらお前らを認めてやる! 嫁としてかは分からんがな!」


 と条件を提示した。

 どうせ無理なのだ提示しても悪くはあるまい。


 「分かったよ! 旦那様味はいいの?」


 「そこは特別に不問としてやる! できるもんならやってみろ!」


 「それなら僕も頑張っちゃうよ! そのまま学生結婚さ!」


 「わかった! りゅー君私頑張る!」


 「旦那様約束は守ってね!」

普通の卵焼きは果たして作れるか

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