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45億年の沈黙  作者: 葉月舟
第三章 大馬鹿寿司
22/40

-6ー

「我慢できねえときたか。二億年が聞いてあきれらあ。やっぱり一番辛抱できてねえのは、てめえ自身だな」


「うるせえんだよ、この野郎。とっとと失(う)せろ」


「ふん、さっきからチクショウだの、この野郎だの、お前のボキャブラリーはそれだけしかないのか。大学出の寿司屋さんよ」


「大学出は余計だろう、減らず口ばかり叩いてないで、早く出ていけと言ってんのが分からねえのか。こんちくしょうめ。

 いいか、二度とここの暖簾をくぐるんじゃねえぞ」


「ふん、こんな店、頼まれても来るものか。勘定はいくらだ」

 村山は立ち上がると、箸箱から爪楊枝を出し、わざと歯をほじくりながら聞く。

 これも一志がもっとも嫌うことだった。


 相手は両目をカッと見開き、しばらく歯をギリギリさせていたが、やがて吐き捨てるように言った。

「腹切ったつもりで負けてやるよ。たったの一万円だ。貧乏役人だからな、お前は」


「一万円だって……。カンパチの刺身とヒラメとアジの握りしか食ってないぞ。

 まずい寿司を食わせる上に、ぼったくりの店だったのか、ここは――。

 ほらよ、釣りはいらないからな」


 村山は一万円札をカウンターの上に叩き付けると、翻すようにして店を出ていった。



「あっ広治、待てこの野郎――。チクショウ、本当に置いていきやがった。

 おい美知代、塩を撒け。

 み……、あっそうか。チクショウ、全くどいつもこいつも」


 一志はあわててカウンターから飛び出した。暖簾の下から左右を見たが、すでに相手の姿はなかった。

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