表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45億年の沈黙  作者: 葉月舟
第三章 大馬鹿寿司
19/40

-3-

「ふん。お前の頼みというなら会ってやらないでもないが、余り期待しないことだな」


「有り難う。それでね、その青年の名前なんだが――」

 大場が何とか承諾してくれたので、気負いこんで言いかけると、

「名前なんてどうでもいい」と、ぴしゃりとやられる。

「いや、しかし――」


「いいから、つべこべ言わず、その野郎をここに連れてこい。

 名前に何の意味があるというんだ。問題は中身だ。俺がじかに会って、そいつを見定めてやる」



 さっきからの一志の傲岸不遜な態度に、だんだん腹が立ってくる。少し意見をしてやろうと思った。

「おい、さっきからいったい何だってんだ。いくら友達だからって、少し態度がでかすぎるんじゃないのか」


「へへーんだ。それがどうした」

 にやにやしながら全く意に介さない様子。それどころか、売られた喧嘩は買ってやるぞという勢いである。


 ようしそれならそれで、その挑発に乗ってやろうじゃないか、と村山は思った。


「おい、酒だ」

「何?」


「だから酒だと言ってんだよ。さっきから切らしているのに、全く気が利かねえ店だなあ。仕方ない、冷やでいいから早く出しな」


「何だとこの野郎。貴様、俺に命令するのか」

 そう言ってこちらに目を剥く。


「馬鹿、俺は客だぞ。お客様は神様だ。その大切なお客様が酒を注文してるというのに、お前こそなんて態度だ」


「チクショウ、み、美知代――。あっ、そうか出ていっちまったんだ」

 背中を向けてしばらくぶつぶつ言っていたが、やがてコップ酒をカウンターの上に勢いよく置いた。


 酒の飛沫が飛び散り、顔に降りかかる。

 村山は構わずコップを鷲づかみにすると、ぐびりと飲み干した。

 これもまた叩き付けるように置くと、相手をぐっと睨んだ。


 向こうも仁王立ちしたまま、負けじと睨み返してくる。

 学生時代なら本当に殴り合っていただろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ