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異世界で手に入れた等価交換の力で俺がこの村を発展させてやる!!  作者: 松原太陽
異世界で過ごした一週間
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新たな出会い

 「ここら辺にいるのか?」


 「うん。昨日この辺りで馬のシルエットを見たの」


 昼食を済ましたカケルらは昨日リーナが見たと言う馬を探しに来ている。


 「んじゃとりあえずこの辺りを探すか」


 「うん」


 二時間近く草木のない荒野をいや枯れ木はあったがまあ今はそんなことはどうでもいいが荒野を探し回ったが馬の足跡一つ見つけれなかった。


 「全くいねー!」


 「そうだね~」


 馬の好きそうな食べ物で釣るや馬の鳴き声の真似をして呼んでみるなどいろいろと試してみたが馬の影すらも見つからなかった。


 「一体何処にいんだよ」


 「ごめんね。私がちゃんと確認してれば……」


 「気にすることないよ」


 実際リーナが見たときの状況がゴブリンに襲われた後だったらしいのでもしかしたら幻覚を見た可能性も捨てきれない。


 「少し疲れたしここで休憩しようか」


 「そうだね。座るのにちょうどいい岩もあるしね」


 リーナの指す方を見ると確かに平らな岩がある。とりあえずそれに座りカケルはバックに入れてあったミネラルウォーターを二本取りだし一本をリーナに渡す。


 「これは?」


 「ただの水だよ。二時間も何も飲んでないんだしっかりと水分を補給しないとな」


 「うんそれはそうだけど……」


 リーナはペットボトルを受け取るもただまじまじと見るだけだった。


 「どうしたんだパッケージをずっと見て」


 「えっ! あっいやこれどうやって開けるのかな~って」


 「なんだそんなことか。開けかた教えるから見てろって言ってもそんな難しいことでもないけどな」


 ペットボトルの蓋を右に捻り、開けるとカケルはペットボトルの縁に口を付け一口飲む。


 「大体こんな感じかな。で飲まないときはこうして左に捻ればはい零れない」


 「へ~凄いねこれ。よーし私も」


 リーナはカケルと同じようにペットボトルの蓋を開けようとしたがなかなか開かない。


 「あれ? 開かない」


 「ある意味お約束な展開だな。ほら貸してみ」


 手に持つペットボトルをカケルに渡しカケルはペットボトルの蓋を緩めてリーナに返す。


 「これであくはずたから」


 「う、うん」


 リーナはもう一度蓋を開けようとすると今度は軽く蓋が回り開けることに成功する。


 「や、ヤッター!」


 開けれたことに喜びを感じているリーナを見ていたカケルはもう一口飲んで前を向くと遠くに馬っぽい何かが見えた。


 「なあリーナあれって……」


 一口飲んで蓋を閉めているリーナの肩を揺らす。


 「何どうしたの?」


 「あれ、あれを見てくれ」


 「あれ?」


 リーナはカケルの指す方角を目を細めて見ると慌ただしく人差し指でそのシルエットを何回も指す。


 「あれ、あれだよ! 私が昨日見たの!」


 リーナがそう言ったときカケルは心の中でガッツポーズをした。


 「やっぱりか! よーし逃げられる前に行くぞ」


 カケルはペットボトルをバックにリーナはそのまま持った状態で俺らは馬のいる方に向かう。

 やっと馬を見つけられた。そんな嬉しい気持ちでどんどん近付くが近付くにつれ、目的の馬に違和感が生まれてくる。

 そんな状態で近くまで寄ってみるとようやくその違和感に気づいたのだ。それは馬だと思っていたものは馬は馬でも別の種類の馬だったからだ。


 「こ、これは……」


 「馬じゃあ……ないね」


 「これってユニコーンだよな」


 そうカケルらが馬だと思っていたものには額の中央に一本の鋭い角が生えていた。


 「うんそうだよ。カケルの世界にもユニコーンっているの?」


 「いや俺の世界では空想上の生き物として知られていて……ってそうじゃない! 何でここにユニコーンがいるんだよ! 何この世界ではユニコーンは普通にいるものなの!?」


 さすが異世界だ。空想上の生物もこんな何でもない荒野に普通にいるとは。


 「カケル少し落ち着いて」


 「お、おう悪かった」


 自分だけテンションが高かったことに少し、いやかなり恥ずかしかった。一旦落ち着いて深呼吸するとカケルは改めてリーナに聞く。


 「それでこの世界ではユニコーンは普通にいるものなのか?」


 「存在はするけど普通は人目のつかない森の奥にいるから何でこんなところにいるんだろ」


「へぇ~確かにそれならここにいるのはおかしいな」


 カケルはもう一度まじまじとユニコーンを見るとユニコーンの足に刺のついたロープが食い込んでいたのに気付いた。


 「おいこのユニコーン捕まっているのか」


 「大変それなら速く助けないと!」


 急いで助けようと近づくリーナだがいきなり足を止めた。


 「どうしたんだよリーナ? 助けるんじゃないのか?」


 「違う……」


 「なんだ今何かを言ったか?」


 ボソッと何か言っていたが何て言ったか全く聞こえなかった。


 「違う違うの! 罠を仕掛けたのは私達じゃないの! 私達はただ貴方を助けようと!」


 いきなり声を上げるリーナはユニコーンに向かって説得するような口調で話しかけた。


 「いきなり声を上げてどうしたんだよ」


 「ユニコーンがこの罠を仕掛けたのが私達だって思ってかなり怒っているのよ」


 「ユニコーンがってリーナ、ユニコーンの言葉が分かるのか?」


 「うんそうみたい。ユニコーンの声が直接頭の中に響いてくるの」


 カケルには全く聞こえずリーナだけがユニコーンの声を聞けるようだ。

 そういえば小さい頃読んだ本の中にユニコーンについて書かれていた本を読んだことがある。その中に『ユニコーンは清らかな娘に思いを馳せやすい』という一文があったがそれが関係しているのだろうか。まぁリーナが清らかかどうかは分からないがな。


 「どうしよう全然分かってくれない」


 「それならロープを外すんじゃなくてロープを切ってみるのはどうだ?」


 「そうかそれなら近づかなくても助けられるね」


 「よしそうと決まれば」


 早速このロープを切る刃物を等価交換で出そうとしたとき誰かの話し声が聞こえてきた。


 「何この声?」


 リーナも聞こえたらしくカケルらは静かに耳を済ますと話し声と同時に足音まで聞こえてくる。話し声と足音はどんどん大きくなっていきこちらに近づいてくるのがわかる。


 「おいこっちに来るぞ」


 「もしかしてこの罠を仕掛けた人達なのかな」


 その可能性は充分ある。ここは逃げるべきかどうか迷っている間にそいつらは岩影からヒョコッと現れた。


 「おっ、いるぞいるぞ立派なユニコーンがよ」


 「おいあれを見ろよ。昨日逃げられた女までいるぞ」


 出てきた奴等の身長は自分の腰くらいだろうかかなり低く皮の腰巻きを身に付け、手には棍棒を持っている。醜い顔をしており緑色の肌のせいで余計にその醜さを引き出している。

 数は三匹そしてリーナのことを知っているということは間違いないこいつらは――


 「こいつらがリーナを襲ったゴブリンか!?」


 隣を見るとリーナは微かに震えながらコクりと小さく頷いた。


 「イヒヒ俺達ついてるよな~」


 「そうだよな~。ユニコーンも捕まえれてるし」


 「昨日逃げられた女もいるしな~」


 やはりこの罠を仕掛けたのはこのゴブリン達だったか。何の為にこいつらがユニコーンを必要としているのかは分からないが今はここにいるのは不味い気がする。幸いリーナが走って逃げ切れている以上、この距離なら逃げれるかもしれない。


 「とりあえず一旦ここを離れよう。ここにいるのは不味い」


 「何言ってるのユニコーンを置いて逃げるなんて私は出来ない!」


 「今はそんなことを言っている場合じゃないだろ!」


 そうここは王都の法律も魔都の法律も通用しない何でもしていい無法地帯の場所なのだ。

 三匹のゴブリンはそれぞれ棍棒を持っているのに対しカケル達には武器になりそうな物は持っていない。


 「おいあの野郎はどうしてやろうか~」


 「そんなのぶっ殺してしまえばいいだろ」


 やっぱそうなるよな。こうなれば無理にでもリーナを連れて逃げるしかない。


 「リーナッ!」


 リーナの手を引っ張ろうと掴もうとしたときリーナは既にユニコーンとゴブリンの間に入っていた。


 「ッ! 何やってんだよリーナ!」


 「カケル、私は逃げるつもりなんてないの。私は絶対ユニコーンを助けるの!」


 リーナがそこまでの決意でユニコーンを守ろうとしていたとは思わなかった。今まで逃げることばかり考えていた自分が恥ずかしい。


 「……仕方ない俺だけ逃げるのもカッコ悪いし俺も一緒にユニコーンを助けるよ」


 「……ありがとうカケル」


 「当たり前だろ」


 とは言ったもののこちらが不利なのは変わらない。手元にあるのは等価交換用に持ってきた五千円程度お金しかない。


 「イヒャヒャヒャ、素手で戦おうなんて面白い奴等だな」


 「さっさとそんな馬を見捨てて逃げりゃよかったのによ」


 「う、うるさい! 私は絶対にユニコーンを助けるの!」


 こうなると唯一の武器はリーナの魔法だが昨日捕まってる時点であまり頼ることは出来ない。一体どうすれば。


 「おいさっさとあの野郎をぶっ殺してあの女と昨日の続きを楽しもうぜ!」


 「イヒャー!」


 武器を構えて飛びかかってくるゴブリン。二匹の狙いは確実にカケルでもう一匹はリーナだろう。ならここは一か八かの捨て身の特攻をするべきか。

 チラッとリーナを見ると恐怖で足が震えていた。


 ――何迷ってんだよ俺は。女性を守るのは男の役目だろうが!


 心の中で自分に渇をいれ覚悟を決めたカケルはリーナの前に出てゴブリン共に渾身の蹴りをいれようとした。



 「……えっ!?」


 後ろでリーナの驚く声が聞こえる。まあいきなりこんなことをすれば驚くのも無理ないかもしれない。

 ゴブリンが棍棒を俺の頭めがけて降り下ろそうと高く跳躍する。


 「よっしゃぁ! かかってこいやー!」


 「イヒャヒャ死ねー!」


 絶対にミスは出来ない。リーチではこっちの方が有利だ。タイミングさえ合えば確実に倒せるはずだ。


 「よしここ……」


 「カケル今すぐ伏せて!」


 「えっ?」


 急にリーナからそう言われカケルは咄嗟にその場にしゃがんでしまった。


 「怖じ気づいたか!」


 「死んじまえ!」


 今さらだがなんでカケルはしゃがんでしまったのだろうか。タイミングは完璧だったんだ。なのにどうして。


 「ブルスァァアア!」


 そんな事を考えているとユニコーンの叫ぶ声が聞こえそちらを見るとユニコーンが足を広げ首を水平にし角をこちらに向けていた。

 ユニコーンの角に光が集束されておりゴブリンが角の直線上の位置にくると集めた光をビームのように解き放つ。


 「「「ギィエァァア!」」」


 咄嗟の事でゴブリン達も反応することが出来ずに光のビームに当たったゴブリン達は断末魔と共に塵一つ残さず消滅してしまった。


 「すげぇー」


 かなりの火力に驚くも、あの時リーナの言うことを聞かずに突っ立ってたらと思うと背筋がゾッとする。


 「助けてくれてありがとう」


 リーナがユニコーンに近づくとさっきまで警戒していたのが嘘のようにリーナの頬に頭をすり寄せている。


 「すごいな完全になついてるな。もしかしてさっき伏せるように言ったのも」


 「そうよ。危ないから避けろって教えてくれたの」


 「なるほど。なら俺からもありがとな」


 こういうとき男が手を伸ばすと払われて敵対とか嫌悪の意思表示をするのが異世界ものでよくあるパターンだがそんなことはなく素直にカケルの手を受け入れてくれた。


 「あっカケル。『ユニコーンが疑ってすまなかった』て言ってるよ」


 「ハハッ、別に気にしてないから」


 そこでカケルはようやくユニコーンがまだ罠にかかったままだったことを思い出す。


 「おっとお礼を言うのも大事だけどまずは」


 「そうだね今度は私達が助けないとね」


 カケルはこの程度のロープを切れる刃物を二千円ぐらいで出してユニコーンのロープを断ち切ってあげた。


 「これでもう大丈夫だろう」


 ロープを切った後、カケルは水の入ったペットボトルとガーゼに包帯、それを止めるテープを出し、罠のせいで出来た傷口を水で洗い流しガーゼと包帯を使って簡単な手当てをした。


 「ありがとうカケル。ユニコーンもありがとうって言ってるよ」


 すっかり仲良くなったリーナとユニコーンは楽しくじゃれていた。


 「そういや何でこんなとこにユニコーンがいるんだ。本来なら森の奥に住んでるんだろ?」


 たぶんユニコーンの声を聞いてるのだろうリーナはフムフムと頷いている。


 「それでユニコーンはなんて?」


 「『今の平凡な生活を過ごす自分に嫌気がさし、刺激のある新たな生活を求め仲間のもとから飛び出してきた』だって」


 ただの家出じゃねーか。てっきり世界の様子を見に来たとか勇者を手助けするために出てきたとかなどのかっこいい理由じゃなくて新たな生活を求め出てきただけとは。


 「で、その途中で罠にはまり今に至ると」


 「……そうみたいだね」


 なんかカケルの中でユニコーンのかっこいいイメージが崩れ落ちる音がした。


 「ねぇカケル」


 「……ん? 何だ?」


 「ユニコーンが何で私達がここにいるか知りたいんだって」


 「あっそうなん。分かった今から話すよ」


 カケルはユニコーンにここに来た目的を話した。

 王都に行くために馬が必要なこと。馬がここにいるという話を聞いたからここまで来たことを。


 「『なるほどそういうことか』だって」


 まぁこれに関しては通訳がなくてもなに言っているのかは分かる気がする。


 「ねぇねぇ」


 一瞬ユニコーンにお願いしてやってくれないか頼もうと思ったが素直にOKしてくれるとは思えない。


 「ねぇカケルってば」


 どうにかして王都に短期間で行く方法を見つけないと村発展の為の資金稼ぎが出来なくなる。


 「ねぇカケル!」


 「えっあっはい何でしょうか?」


 「さっきから呼んでるのに無視して~」


 どうやらカケルが考え事している間、ずっとリーナが呼んでたらしく無視されたと思って目をうるうるさせて頬を膨らませている。


 「ごめんごめん無視して悪かったって」


 「むぅ~」


 まるで狙っているかのよな上目遣いにうるうるさせているのがなんだか可愛い。


 「そ、それで何?」


 「ユニコーンが私でよければ協力するって言ってるのよ!」


 「……えっ!?」


 まさかユニコーンの方から協力してくれると言ってくれるとは思っていなかった。


 「な、何でユニコーンは協力してくれるて言ってるんだ」


 これはラッキーな話なのにもしかしたら何かを狙っているのではとつい疑ってしまう。


 「『お前達と居れば少なくとも退屈な生活にはなりそうにないし荷運びなど体験したことがなかったからやってみたい』って理由だよ」


 なんともまあ好奇心旺盛で子供みたいな答えだったが別に何か企んでるわけでもなくてよかった。


 「ほ、ホントに良いのか?」


 「『くどい。男に二言はない』らしいよ」


 ここまでくればもう信用するしかないだろう。

 これで目的の馬……ではなかったがその代わりとなるユニコーンが力を貸してくれるなんてこれほど嬉しいことはない。まあ性格は微妙だけど。


 「それじゃあよろしく頼むよユニ……」


 「どうしたのカケル急に黙って」


 「いやこいつ名前あるのかなって」


 「あっ……」


 そうユニコーンは種族の名称のはずたからこのユニコーンにはちゃんとした名前があるはずだ。


 「ねぇあなた名前何て言うの?」


 一体どんな名前なのかカケルとリーナはわくわくしながらユニコーンの返答を待つ。


 「フムフム……エエッーー!」


 「どうしたんだよリーナ」


 「『名前などない』って言うのよ」


 「そんな!」


 まさかユニコーンの名前がユニコーンだとは思わなかった。こんなの人間に向かって人と呼んでいるのといっしょだし、何よりいろいろ名前を想像してた自分が恥ずかしい。


 「……そうだ! なら俺らが名前をつけてやったらどうだ」


 「それいい考えだね。そんな遠慮なんてしなくていいから。大丈夫私達に任せて!」


 どうやらこのユニコーンは遠慮がちな性格らしいがカケル同様、リーナのごり押しには弱いようだ。


 「で、名前何にする?」


 「そうだなー。出来ればこの見た目にあわせて凛々しい名前をつけてあげたいた俺は思うんだが」


 「凛々しいか~」


 俺的に名前はリーナがつけてあげた方がユニコーンの方も嬉しいと思うはずだから何としてでもリーナがいい名前を出してくれないと困る。


 「……それじゃあ……リュオなんてどう?」


 「リュオ? それってなんか意味とかあるのか」


 「うん。私達の世界でリュオは煌めく者って意味なんだよ」


 確かにゴブリンを倒したユニコーンの姿は煌めいていた。


 「煌めく者……リュオか~。うん俺はいいと思うぞ」


 「ホント! じゃあ今日からあなたの名前はリュオね」


 どうやら名前が気に入ったらしくユニコーン、いやリュオは前足を上げ高らかにいなないた。


 「気に入ってもらえてよかった」


 「よし名前も決まったことだし帰るか」


 「そうだね……ん?」


 帰ろうとしたときリュオがその場で立ち止まり頭を下げていた。


 「どうしたんだリーナ?」


 「リュオが背中に乗っていいって言ってるのだけど……」


 「えっ! でもまだ足の傷は治ってないだろ」


 けどリュオはそんなこと気にするなと言わんばかりに首を横に振る。


 「……リュオが大丈夫って言っているしお言葉に甘えようよ」


 「そうだなそうするか。リュオも無茶だけはするなよ」


 カケルが前でその後ろにリーナが抱きつく感じでリュオの背中に乗る。


 「リュオいいぞ」


 本で読んだ『初めての乗馬体験』に書いてあった通りにリュオの首辺りを撫で準備万端だと合図する。


 「よろしくねリュオ」


 初めての乗馬で少しテンションが上がっているがそれよりもリーナが抱きついているせいか胸が背中に当たり気になってしょうがない。


 「あ、あのリーナ」


 「ん? なあにカケル?」


 後ろを向くと上目遣いでこっちを見るリーナ。この状況でそれは反則的だ。などと思っていたらリュオが勢いよく走り出した。


 「うわぁぁああ!」


 「ハハハ、凄く速いよ」


 いきなり時速五十キロぐらいのスピードで走り出され、リーナみたいに楽しむ余裕もなく、カケルはぐったりしたまま僅かな力で振り落とされないようリュオに掴まりながらリュオの背中に乗っていた。

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