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異世界で手に入れた等価交換の力で俺がこの村を発展させてやる!!  作者: 松原太陽
異世界で過ごした一週間
3/76

異世界で初めてあった人はとても可愛かった

 能力の確認を終えたカケルは地球から持ってきた物が入っているスポーツバックと神様から貰った現金三億円の入ったケースを持ち目的地であるハンデル村を探していた。


 「はぁ~、一体何処に村があるんだよ。そもそもこんな所に村なんてあるのか」


 行けども行けども周りはずっと荒野のまま。代わり映えしない景色にカケルはだいぶうんざりしていた。


 「あ~、太陽がまだ昇ってるとはいえ今日村につかなかったときのことも考えないといけないな」


 幸い金だけはあるからキャンプ道具を一式出せば別に野宿も大丈夫だろう。


 「人とか居れば村に案内してもらえるんだけどなー」


 さすがにこんな荒野に人が居るわけでもなく肩を落とし本日何度目かのため息をつく。


 「はぁ~、んっ? あれは……」


 周りに何か無いかなと顔を上げてみると三百メートル離れた所に何か横になっているものがあった。気になって近づいてみるとそれは。


 「えっ? 女の子?」


 横になっていたのは身長百五十センチ後半だろうか見た感じ歳は自分とさほど変わらなそうだが今はそんなことはどうでもいい。何故か彼女の服はボロボロでスカートからは本来見えてはいけないものが見える。


 「白のパンツ……てことはあの本に書いてあった下着の色でわかる性格通りならこの子は純真で無垢なのか?」


 ついつい昔読んだ『人の性格がわかる方法』の本で読んだ内容を思い出してしまった。


 「……いやいやいや今はそんなことを言っている場合じゃない」


 取り合えず、先にテントを出して彼女を休ませるかそれとも起こして何があったか聞くべきかのどちらにするか迷う。


 「と、取り合えず起こすとするか。もし誰かに襲われた後とかだったらまだ近くに居て危ないかもしれないしな」


 彼女の傍に座り起こそうと手を伸ばすと彼女の瞼がゆっくりと持ち上がる。


 「ん、あれここは……?」


 目を覚ました彼女は視野を回復させようとしたのか何回か目をパチパチさせキョロキョロするとようやく俺に気づいたのかカケルの目をじっと見ていた。


 「あっこれヤバイ気がする」


 たぶん周りから見るとこれからカケルが彼女の寝込みを襲うようにしか見えないだろう。それは目覚めた彼女から見ても同じなはずだ。


 「貴方はここで何しているの?」


 上半身をお越し彼女はこちらを怪しい者を見る目でじっと見ている。


 「いやいやいやこれは誤解で倒れている君が心配でそれで……」


 だが彼女はカケルの必死の弁明を聞いていないようだった。これは不味いと思い何か別の方法はないか考えていたらぐぅ~と気の抜けた音がなった。

 何の音だろうと思い周りを見ると彼女がお腹を押さえていた。


 「もしかして君……お腹が空いてるの?」


 どうやら図星のようで彼女の顔がみるみる赤くなっていく。


 「ううぅ。そうよ悪い! 今日は何も食べていないんだからしょうがないじゃない!」


 ――えっ逆ギレ?


 純真で無垢とはほど遠い彼女は涙目で開き直ったようにカケルを怒鳴り付ける。


 「いやまあ、何も食ってなかったらそりゃあお腹は空くよな」


 カケルはそう言いながらコンビニのおにぎりを三つくらい出し彼女に見せる。


 「お腹空いているならこれ食べるか?」


 「別にいいです。知らない人から物を貰うなと言われてきてますので……」


 だが彼女のお腹は正直で自分の意思に反してお腹が鳴っている。


 「無理をするなって別に俺は君をどうこうするつもりはないし。それにこのままだと君も辛いだろ」


 仕方のないことだが彼女はかなりカケルのことを警戒しており中々おにぎりを取ろうとしなかったがやはり空腹には勝てなかったようでコクンと頷く。


 「フッ、はいどうぞ」


 彼女におにぎりを渡すと彼女は不思議そうに見ている。


 「あっしまった。ここは異世界なんだからコンビニのおにぎりの開け方を知らないよな」


 カケルはもう一個おにぎりを出し彼女におにぎりの開け方を教える。


 「まずここの先っちょにあるヒラヒラしたところをつまんで下に引っ張るだろ」


 カケルの動きを見ながら彼女はぎこちない形で真似をする。


 「んで次に左側を軽く押さえて右下の先っちょをつまんで横に引っ張る」


 さすがにここの作業は難しかったようで少し海苔が破れたが何とか取り出せていた。


 「それで最後に反対側も同じようにしてっと」


 少し慣れたか彼女は海苔を破らずに取り出せた。


 「これを食べるのにこんな作業がいるなんてこれホントに食べ物なの?」


 「食べ物だよ。ほら証拠に」


 おにぎりを疑う彼女にカケルは目の前でおにぎりを口にし飲み込む。


 「ほら食べれてるだろ」


 彼女は恐る恐るおにぎりを口にした。


 「……っ!」


 「どう? 美味しいか?」


 無心でおにぎりを食ったる辺り気に入ってもらえたのだろう。カケルは彼女がおにぎりを食い終わるまで傍で待つことにした。

 

 「ごちそうさまでした。とても美味しかったです」


 「そうかそれなら良かったよ」


 おにぎり三つを食べ終えた彼女の顔は幸せそうだった。


 「こんな美味しいもの初めて食べましたよ。一体何処で手に入れたのですか?」


 「えーと……それは俺の住んでた場所では簡単に手には入るものとしか言いようがないな」


 「つまり貴方は王都(おうと)から来たということですか。いやでもそれならこの場所にいるのはおかしいですしそれに王都では見かけない服を着てるしうーん」


 ギクッ。この世界に来たばかりで土地勘のないカケルには王都が何処にあるのかは皆目検討つかないがこの荒野にないことだけは分かる。


 「えっと俺は王都から来たんじゃなくてその……もっと遠いところから来たんだよ」


 さすがに別の世界から来たとは言えない。


 「そうなのですか王都や魔都(まと)以外にそんな都市があるのは初めて知りました。良ければ今度案内してくれませんか」


 「ごめんそれは出来ないんだ。とある理由で俺は今は帰れないんだ」


 帰れるのなら今すぐにでも帰りたい。だが神様と約束した以上カケルは村を救わなければならない。


 「そうなのですか。それは残念です」


 「それはそうと君は何でこんなボロボロになって倒れていたの?」


 「えっボロボロ?」


 どうやら彼女は自分の格好に気づいていなかったらしく改めて自分の服装を見ると悲鳴を上げながら自分を抱き締めるように両手を交差し足を閉じ丸くなる。

 さすがにこのまま話を続ける訳にはいかなそうなので等価交換で彼女が着ている服の綺麗なものを出した。


 「はい。俺は後ろを向いているからこれに着替えなよ」


 「えっでも……」


 「そんな格好だとまともに歩けもしないだろ」


 そう言うと彼女は申し訳なさそうに服を受け取るとありがとうと言った。


 「絶対にこっちを見ないでよ」


 「はいはい分かってるって」


 近くに大きめの岩があったため彼女はその裏側で着替えることにしカケルは他に人が来ないかの見張りを頼まれた。


 「ねぇホントに私達以外に人はいない」


 「ああ大丈夫だよ」


 「分かった。……ホントに見ないでよ」


 かなり用心深く念を押した彼女はやっと静かになったので今、着替えている最中なのだろう。

 カケルはずっと立っているのも嫌だったので彼女が着替えている岩の影の反対側に座ることにした。

 じっと座っていると動物の鳴き声も聞こえない荒野で彼女の着替える音しか聞こえない。


 ――ヤバイヤバイこんな状況で意識するなという方が無理だろ


 姉や妹もいないカケルにとって女性と接する機会はほぼなくカケルの理性が保てるのかどうかで不安が過る。


 ――そうだこういう時は別の事を考えるべきだ


 心を落ち着かそうとカケルは必死に自分が今後どうなるのかを考えてみたら嫌な考えしか浮かばず、落ち着くどころが逆に萎えてしまった。


 「おまたせ」


 そんなことを考えているうちに彼女の着替えが終わったらしく岩影から出てきた。

 半袖の白いブラウスは少しフリルの量が多く胸元に付けているピンクのリボンと桃色のミニスカートが彼女の可愛さを引き出していた。


 「うんとても似合っているよ」


 「ご飯だけでなく服まで貰って貴方にはお世話になりっぱなしね」


 「別に俺がしたいからやっているだけだから気にしなくていいよ」


 こうして見ると整った顔立ちに腰まであるベージュの髪は美しく、時おり見せる笑顔がとても可愛らしい。さすがは異世界、女の子がとても可愛い。


 「それにしてもよく私の着ていた服と同じがあったよね。それはどうしてなの?」


 「やっぱ聞いてくるよなー。……まあこれは隠すことでもないしいっかな」


 カケルが何を言ってるのか分からないみたいに首を傾げる彼女に等価交換の説明をする。

 中々信じてくれなかったので目の前でカケルの着けている紺色のネクタイを等価交換で出すとかなり驚いていたがどうやら信じてはくれたようだ。


 「驚いた。貴方、錬金術師だったのね」


 「ま、まあな。だいぶ話がそれたけど何で君はここで倒れていたんだ?」


 「う、うんあのね、空から何かが落ちるのが見えてそれを確認しにここまで来たんだけど」


 彼女の言うそれは確実に神様が落としたカケルだろう。


 「で、その途中で三びきのゴブリンに出会ってしまって」


 「襲われたと?」


 恥ずかしそうに頬を赤らめながら彼女は頷く。


 「それで隙を見て逃げ出せたんだけど途中で意識が朦朧として倒れてしまったの」


 「大変だったんだな」


 ここが異世界なのでゴブリンが居てもおかしくはないが道中で出くわして襲われてたらと思うとぞっとする。


 「それで貴方は何でここにいるの?」


 「えっ、あっああ俺はハンデルっていう名前の村にようがあってどこか分からなくて迷っていたところだったんだよ」


 「えっ貴方ハンデルに行くところだったの。そこ私の住んでる村だから案内してあげるよ」


 「ほ、ホントか!」


 彼女が村人でホントに助かったなと心の底から思う。


 「じゃあ早速行こうか。えーと……」


 「ん? どうしたんだ」


 「いや、よく考えたら私達ってまだお互いの名前知らないよね」


 「あっ……」


 ホントその通りだ。初めて同士なら普通は名前を聞くのが最初なのにすっかりと忘れていた。


 「俺の名前は村上翔。カケルって呼んでくれ」


 まず自分から名乗り握手をするため手を差し出す。


 「私はリリエラーナ・ハルヒューム。長いからリーナって呼んだのでいいから」


 名前を言い終わるとリーナは差し出すカケルの手を握った。


 「じゃあ道案内よろしくなリーナ」


 「ええ、もちろんですよカケル」

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