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異世界で手に入れた等価交換の力で俺がこの村を発展させてやる!!  作者: 松原太陽
異世界で過ごした一週間
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帰ってきたら

 「あっ! 見てカケル、村に着いたよ」


 既に日は沈み辺りが真っ暗になっているなか、リーナの指す方はうっすらと仄かな光が点々と見えていた。


 「なんとか無事に帰ってこれたな」


 「そうだね。帰りは結構順調に走ることが出来たからね」


 村が見えたせいなのか一定のペースで走っていたリュオも少しだけスピードが上がっていた。


 「もうこんな時間かぁ……たぶんみんなは寝てるんだろな」


 スマホの時間を見ると時刻は二十二時を過ぎていた。


 「全員じゃないと思うけど……ほとんどの人は寝ていると思うよ」


 帰ったらまずはみんなに結果報告をしようと思っていたが、寝ている人がいる以上明日の朝にするべきだろう。


 「なら俺達も帰ったらとっととご飯を食べて寝るか」


 「それでいいよ。私もうヘトヘトだから」


 そうこうしているうちにカケル達は村の中にへと入っていた。

 早く家に戻りたい気持ちで一杯だったカケル達だったが、家の周辺まで行ったとき予想外の出来事があった。


 「あっ、リーナちゃんが帰ってきたわよ」


 「おっ、ホントだ! しかもサザンの言う通りマジでユニコーンが居るじゃねーか」


 家の周辺には大人の村人達がドアの前に集まっており、一人の女性村人がカケル達に気づくと連鎖するように他の村人達に伝わっていきドアの前からカケル達の周辺に集まってきた。


 「なんだなんだ」


 数を見るだけでも恐らく村の大人全員は居るはずだ。てっきり寝ているもんだと思っていたからこんな風に待ち伏せされているとは思ってなかった。


 「みんなどうしたの?」


 この状況を全く理解することが出来ないカケルとリーナだったが、村で一番背がでかいサザンが村人達の間をのしのしと無理矢理進んできた。


 「見ての通りみんなカケル達の帰りを待ってたんだよ」


 「帰りを待ってたって……一体なんで」


 わざわざこんな遅い時間までカケル達の帰りを待っていてくれたことは嬉しかったが何故そんなことをしてくれたのかが分からない。


 「なんでってそんなの決まってんだろ。俺達が作ったタオルがどのくらい売れたか知りたいからこうやって集まってんだよ」


 「正確には俺達じゃなくて私達(・・)だけどね」


 余程サザンの言い方に腹をたてたのか一人の女性がサザンの発言に間髪入れずに訂正する。


 「そんな細かいことは今はいいだろうが」


 「よくないよ! 実際にタオルを作ったのは私達なんだから」


 「「そうよそうよ」」


 一瞬で仲間を増やした女性にサザンはなすすべもなく口ごもる。


 「まぁまぁみんな落ち着いてって。サザン達だって私達のために作物を育ててくれているんだからお互い様だよ」


 「リーナ……」


 リーナのフォローにより周りの空気が良くなってきたので話題を戻すなら今しかない。


 「はいはいはいはい。揉め事はそこまでにして、本題に入ろうか」


 手をパンパンと数回叩き話を戻しながら話の主導権を自分に持っていく。


 「そうだったわ。それでどのくらい売れたの?」


 静まる空気のなかみんなの目線がカケル達に向けられる。

 カケルは勿体振るつもりもなかったのでさっさと言うことにした。


 「八百枚あったタオルは無事……」


 「完売しましたぁー!!」


 リーナの声とともに村人達は凄まじい歓声が聞こえた。


 ――いやいやいや何でリーナが一番おいしい台詞を言うんだよ

 

 しかもこの盛り上がりのせいでカケルが口を挟むことも出来ない空気になっていた。


 「次は二日後に持っていく予定なのでこれからもみなさんよろしくお願いします」


 「えぇ任せといてリーナちゃん」


 「よしッ、なら俺らも女達に負けずに頑張るぞッ!」


 「「うぉぉおおー!!」」


 リーナが次の販売日を伝えると村人達は互いを励まし合いながら気合いを入れていた。


 「それではみなさん。もう夜も遅いので今日はこの辺に」


 「そうだな。よしみんな帰るぞ」


 結果を聞いたみんなは満足して家に帰っていく。


 「みんな明日もよろしくお願いします。……あれどうしたのカケル?」


 「えー別にー何でもないけど」


 正直に言えば自分の用意した台詞を全部言われたのはショックだったが自分はもう大人だ、この程度でリーナを嫌ったりはしないと心の中で言い続ける。


 「さっ、早く家に入ろう。俺なんか急に疲れたよ」


 「えっ、う、うんそうだね」


 リュオを移動式屋台から解放し、小屋に入れてやるとカケルとリーナは家の中に入りご飯を食べて今日はもう寝ることにした。

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