表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/25

無間序曲

何も投稿しないのも寂しいので、久しぶりにアップします。細かい齟齬などあるかもしれませんが、書き上げてはおりますので、とにかく完結まで日々更新していきます。お付き合いいただけましたら幸いです。

 名前だったか、番号だったか、わからない。

 ただ、自分が呼ばれたことはわかった。

 独房から出され、手錠と腰ひもをつけられた状態で歩かされる。

 いよいよ時が来たのだ。

 死刑。

 裁判所によって決められた運命だ。

 周囲には刑務官が何人もいる。暴れたときに取り押さえるためだ。

 恐怖はある。しかし、そこまで理性をなくしてはいない。

 ある部屋に通された。

 部屋の両側では、何人もの制服を着た人間が椅子に座って、こちらを見ている。

 視線の先の壁には祭壇があり、中央に仏の絵が飾ってある。

 具体的にどんな仏かは知らない。

 祭壇に向かい合う椅子に座らされた。

 すると、誰かがお経を唱え出す。

 自分は神を信じていないと言って、止めさせた。

 今度はいかめしい顔をした男が、祭壇にある菓子を指さし、好きなだけ食べなさいと告げる。

 首を横に振った。今は腹が減っていない。

 もう一人、柔和な顔の老人が近づいてきた。

 何か言い残すことは、と問いかけてくる。

 くそくらえ。

 答えるとすぐに、袋のようなものを顔にかぶせられた。

 そして、腕を抱えられ移動させられる。

 立ち上がらされた。

 両足を誰かが押さえている。

 縄が首にかかった。

 もうそろそろだ。

 あと少しで、死刑が執行される。

 こんなふうに人生が終わることに、後悔はない。それだけのことをしてきた自覚はある。

 ただ、もし生まれ変わることがあったとしたら、そのときは真人間になりたい。

 憎しみを持たず、恨まれることもなく。人のために生き、笑顔に囲まれた毎日を過ごす。

 まっとうな人間になりたい。まっとうな人間になりたい。まっとうな人間に――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ