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まさかの正体

「よし、こっちだ」


夜の街を走る怪しい姿。

彼らは今、竜の鎧の青年と騎士団、さらに保安隊にまで追われていた。

理由はあの場で賭け決闘なんかをしていたことではなかった。


「よし、ここを右」


と先頭にいる仮面マントが誘導する。

それに従い、後ろの2人も付いていく。

が、10数メートル進むとそこは壁であった。


「……お兄様?もしかして……」

「…………」

「おい!お前の街だろ!」

「まだ俺の街ではない!だが、把握できてないのは問題だな、やはり、街をまわるのは大事だな」

「そんなこと言ってる場合か!ほら、追いつかれた」


3人はその目にイグニスを捉える。


「やっと追いついた。よし、まだ闘いは終わってないぜ!」

「って、闘いにきたのかよ!」


が、イグニスの後ろからすでに騎士団と治安隊が来ていた。さらに屋根の方を見ると、全身を布で覆ったような人影が2つあった。

すると騎士団がその2人組に対し、


「今回は私たちの方が早かったな」


と伝える。

すると、その2人組は少し落胆すると、下に飛び降りた。


すると、袋小路の3人組も少し慌てた様子になる。

その3人組に騎士団が堪忍しろと言う。


「まぁ、待て。今お前達の前には人がいるだろう。そいつは最後の相手だ。それだけは終わらせてくれ」

「……わかりました。では、早く初めて、終わらせてください」

「よし、ラインハルト、あの男にお前の実力を思い知らせてやれ」

「気をつけてください」


と、ラインハルトと呼ばれた男が前に出る。

イグニスもそれに合わせて前に出る。


「よーし、はじめ!」

と、ラインハルトの後ろから合図が聞こえる。

それと同時にラインハルトが走りながら抜刀し、イグニスに斬りかかる。

真上にある月の光を受けた剣は一瞬キラリと光を反射し、イグニスに吸い込まれるように見えたが、イグニスは素早く身をかわす。

ラインハルトは剣を振り切らず、そのまま突きをくりだす。

それをイグニスは半身になりかわし、拳を振るうが、ラインハルトは後ろに跳んで逃げる。

イグニスはすでにラインハルトを追っておりまたしても拳を振るうが剣の腹で受け止められてしまう。

反撃を警戒し、一度後ろに大きく跳ぶとラインハルトも一歩下がった。


「な、なんだ今のパンチ。すごい衝撃だ」

「おい、どうしたラインハルト、手こずっているではないかっ!」

と後ろから煽られているがラインハルトは少し焦っていた。

「竜の鎧の男、すまないがこの仮面とマントを取らせてはくれないか」

「いいぞ、全力でこい」

「ありがとう、すまないね。全力で戦っていなくて」

「言い訳無用だぜ」


後ろの仮面マント

「あいつ、マントと仮面をとったな」

「お兄様、もしかしてあの男、なかなかの腕を?」

「ああ、あの様子を見るにそうらしいな。あいつはあれでも騎士団の中堅ほどの実力はあったはずだ」

「あの男……いったい?」



騎士団

「ラインハルト自分の姿を現したからには騎士団の名を背負いたたかえよ」

と、女性の声がラインハルトにいく。


「わかりました。団長。それでは、私は騎士団準近衛兵隊所属、ラインハルト・バッテムート。改めていざ!」

「お、おう。俺は竜の手のイグニスだ!」


この会話が終った瞬間、ラインハルトは刺突を繰り出す。イグニスはそれをかわし、右腕を当てることにより相手の動きを縛る。

相手が剣を左に少し振りかぶる瞬間に左の拳を振るうがラインハルトは右脚で左腕を蹴り上げるようにガードする。

どちらも瞬時に次の攻撃に移れないと判断し、後ろにさがる。


「イグニス、なかなかやるな。僕の剣に素手でここまで耐えるなんて」

「そんなことはない、この身体が武器といったはずだ!」

「そうか」

「ああ、そろそろ本気を出させてもらうぜ!」

「何!?まだレベルを上げてくるのか」

「いくぜ!『奥義・闘魂纏装』」


月明かりしかないこの空間でイグニスの身体が淡くだが赤く光を纏う。


「な、なんだそれは」

「御意見無用!」


イグニスはラインハルトに向かって走りながら左腕と右の拳に闘気を集中させる。

ラインハルトは逃げ場はないと見て剣を鞘に収め、鞘ごと抜き、両手で受け止めようと構える。


「受け止められると思うな」


イグニスは左肘を相手に向け突撃する。


「『我流・防崩竜拳(ぼうがりゅうけん)』」


イグニスの闘気を纏った左肘が剣に当たる。

凄まじい衝撃に踏み止まろうとしたラインハルトが後ろに滑るように動く。

イグニスの攻撃は終わっていない、左肘が当たった瞬間に左腕を大きく自分の後ろに振るうように振るとラインハルトの剣が空高く舞う。その大きく左腕を振るった反動で踏み込み、本命の右を振る。

すでに防御手段のないラインハルトの鎧の腹の部分に拳が当たる。

ガコンと嫌な音がする。

イグニスは腕を振り切る瞬間にその闘気を解放する。

ラインハルトはその衝撃をくらい袋小路の方に吹っ飛んでいった。その場の2人はその光景に固まっていたが、すぐに動きだし、それを避けた。

そして、ラインハルトを救いにいく。


「おい、大丈夫か!ラインハルト!」

「え、ええ、大丈夫です。もしかしたら、またしても手加減されていたかもしれません。それに、鎧も……」

鎧を見ると鎧の腹の部分が砕け、なくなっていた。

そこに、後ろで見ていた騎士団の人間がラインハルトのもとに駆けつける。

「大丈夫か?なかなか綺麗に吹っ飛んだが」

「あなたは本当に心配しているのですか!」

と騎士団の2人が言い合いをしている。

すると、仮面マスクの1人がこちらにくる。

その声は指示を出していた仮面マスクのものだ。


「いい戦いを見せてもらった。と、せっかくそんなものが見せてもらえたんだ。これは取るか」

と、仮面を取る。

その下は銀髪銀眼の好青年であった。


「我が名はセイリオス、セイリオス・フレアドル。いずれはこの国を治める者だ」

「『解除』ということは、王様ということですか?」

「おお、不思議な鎧だな。まあそうだ。今はまだ騎士団に所属して修行中だがな。そして今、俺はお前を気に入ったぞ。どうだ?それほどの腕があるなら騎士団に入らないか?我が友よ」

「お兄様、突然すぎます」


と、もう一人の仮面マントがくる。

そちらも仮面を取る。

兄と同じで銀髪銀眼、背は少し小さいくらいか、これも兄と同じで顔は整っていた。

お兄様と呼んでいることから妹、王女様であろう。


「すまない、俺には俺の仕事がある。今はそちらの方が魅力的なんだ」

「そうか……それは残念だ」

と、落ち込んでしまう。

「すいません、面倒臭い性格で、でも、本当に優しい人なのでこれからもよろしくお願いします。あ、それともう夜も遅いですし、そこの2人、イグニスさんを家まで送って行ってあげなさい」

「ハッ」


と、後ろにいた布巻きの2人が返事もした。

すると、騎士団の2人がラインハルトを抱えていた。


「王子、王女、そろそろ城に戻りましょう」

「わかった」

「そうね」


「では、またいつか」

「じゃあな!」


「では、行きましょうか」


そして歩いて家に着く。そこで護衛としてついてきた2人にお礼を言うと、せのたかい方が紙を渡してくる。

そして、こう話し出す。


「今日はいいものを見させてもらったよ。よければここに来てくれ。まあ、飯くらいおごるよ」


と、言われてから、手紙を見てみると、どうやらギルド街、西大通りにあるらしい。


2人はその後、屋根の上に飛び、西の方に帰っていった。


今日はいろんなことがあったなぁと驚きつつも家に入った。






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