我流奥義
「イグニス、今日はお前に儂の……いや、我流の奥義を伝授する。儂を倒したほどの腕前があれば簡単に使用できよう。みておれ」
そう言うと師匠は腰を少しおとし構えた。
「はあぁぁぁぁ」
と貯めると、師匠の身体が淡く光はじめる。
「これが『我流奥義・闘魂纏装』これは自分の闘う意思……闘魂を闘気にかえ我が身に纏い自分を強化する技じゃ。やってみろ」
「はあぁぁぁぁ」
と自分も真似をしてみるが、師匠のようにはいかなかった。
すると師匠がそれを強く叱咤する。
「イグニス、儂を今から叩き潰すくらいのつもりでいけ」
「はい、うおおおおおおおおお」
だんだんと全身に力が湧き上がってくる。
「それをコントロールしろ、その闘気を自分の思い通りに動かすのじゃ」
と師匠が叫ぶ。
それに応えるようにイグニスも叫び、腕にその闘気を集める。が、その後がわからない。
「師匠、どうすれば」
「普通に消すか発散するかどうにかせい」
発散させようとするがまだどうにもいかない。
遠くの木を殴るように腕を振るうと闘気が木の方向にとんでいった。
バギバキと木が折れる。
「おお、そんなことまでできるようになったか」
と師匠が呆れている。
自分でも驚いているうち意識が薄らいでくる。
「な、なんだ……目が……まわ……」
ばたんとそのまま倒れてしまう。
「なれぬうちに使いすぎたか、しかし、流石の才能か……あの日からすでに10数年。我流をここまで覚えるとは、しかし……そろそろかのぅ。さて、イグニスを家まで送るか」