始まり
その日の目覚めは最悪だった、薄い暗闇の中で三人ほどの人間が僕の顔を覗き込んでおり、床には幾何学模様の淡い光が走っているのが目に映る。
隣にはおそらく二十歳くらいであろう兄さんがボーっとした表情で座っている。
僕が唖然としたまま胡坐をかいたときに淡い光が消え同時に複数の蝋燭に火が灯される。
そして周りで様子を窺っていた黒いローブを着た人たちの後ろから、威圧感のあるおじさんが姿を見せ、いきなり話しかけてきた
意味がわからずお兄さんと顔を見合わせ首を傾げると、黒いローブの人たちが慌ててゴニョゴニョ言い光った手をこちらに向ける。
それを見たおじさんはまた話しかけてきた。
それを聞いて僕はまた首を傾げるが、おにいさんが、ああ解ると言う。
おじさんがまたこちらを見て何かゴニョゴニョ言うが訳が解らず僕は首を傾げる。
訳が解らず呆然としているとお兄さんが解らないのか?と聞いてきたので素直に解らないと答えると、お兄さんがおじさんと何かを話し始めしばらくしてからこっちに話しかけてくる。
「とりあえず俺も信じられないけど今聞いたことを適当に端折って話すぞ」と言って話し始める。
「1、魔王が復活したから勇者を召喚したらしい、2、一回の召喚で二人召喚されるが片方は予備扱いっぽい、3、召喚された人間は加護と力を一つ貰えるらしい、4、魔王が死ねば自動的に帰還魔法が発動し帰れる、ということらしい」と言う
は?っと僕が少し呆けていると思い出したように付け加える
「そうそう何故か君には魔法が効かないから通訳が効かないので少しの間通訳してやる。」等と言われ僕の非常識の日常が始まった。