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炎拳士と突然変異  作者: 作者です
レンガ外伝
78/209

どこにある

薄暗い闇の中、照明玉具が微かに辺りを照らしている。


広くも狭くもないレンガの道。地面は石畳で比較的に新しい造りだと解かる。


男が一人その道に存在していた。片手に火を灯し、手元を明るくしながら何かを描いていた。


姿勢を低く取っているため、男の背格好は良く解からない。しかし布で素顔を隠しているところを見ると、良からぬことを企んでいるのではないだろうか。




作業をしている炎使いの直ぐ傍に、闇に紛れたもう一人の影があった。


炎使いとは違い、その人物は素顔が空気に触れている。頬に傷があり、身長は高いが痩せている。彼は腕を組みながら炎使いを無言で見詰めていた。



その場にいる二人は一言の会話もないため、辺りは静けさに包まれている。


もともと夜は人通りの少ない道だが、組織の協力者により一般人が通れないようにしていた。


私たちにとって敵である夜勤内務の兵士が、どのような経路で街中を巡視しているのかも既に把握しており、この場所に魔法陣を描くことは以前から決まっている。



今から我ら信念旗は、赤の護衛を街中で襲撃する。



もし赤の護衛が戦わず逃げに徹したのならば、目指すであろう場所は恐らく時計台である。


グレンという人物像から考えるに、直接仲間のいる宿に向けて逃走するような真似はしないだろう。


相手は素手でも充分に戦える拳士であることは既に解かっている。走る速度から考えれば、魔力纏いの技術は一流だと考えるべきだ。


仲間に事態を知らせる術がないのなら、頼る相手は夜勤内務の一般兵か、夜勤外務の属性兵しかいない。


グレンという人物が属性兵の存在する西壁か南壁を目指すならば、その方角に味方を用意してあるため、問題はないだろう。だが赤の護衛が夜勤内務の一般兵を頼る可能性もある。


しかし一般兵は固体では能力を発揮させるのは難しい。彼らの力を借りるなら、相応の権限を与えられた指揮官に助けを求めるのが確実な手段である。


ここまで考えれば赤の護衛が一般兵の力を求めた場合、時計台を目指すだろうと予想できる。


私が考えるにグレンが目的地に到着し、一般兵へ助けを求めることに成功したのなら、敵は恐らく治安維持軍に救援を要請するだろう。



以上の理由から対策として、私がこの場所で治安維持軍を迎え撃つことになっている。


治安維持軍は時計台に向かうのに、この道を必ず通る。相手が同じ人間だからこそ、使うことの可能な策が私にはある。




それともう一つ、気になる点がある。


確認したのは数日前。それを以前は持っていなかった・・・だが今は所持している。


恐らく宝玉具だと予想するが、赤の護衛が杭らしき物を隠し持っている情報を入手した。


この事実に一つの可能性が生じる。


勇者一行は信念旗を警戒しており、杭らしき宝玉具により不足の事態に備えている。


今回の戦い、狙うのは赤の護衛ただ一人だが・・・最悪の場合は仲間も相手にしなくてはならない。


仲間が増援として宿をでる事態に備え、幾つかの手は予め用意してある。しかし今回の戦いで仲間に動きがあれば、赤の護衛を討ち取るのは難しくなるだろう。


赤の護衛は単独行動していたため、それなりの情報は入手できている。だが残りの三名は常に責任者が土の領域で警戒しており、今得ている情報は少ない。


敵が都市軍と治安維持軍、勇者一行だけならば何とかなるが、恐らく勇守会が我々の邪魔に入るだろう。



オルクは地面を見詰めたまま、少し離れた位置に立っているガランに語り掛ける。


「逃げ切る前に赤の護衛を討ち取れるのが最善だが、最悪の事態も常に想定しろ。奴を甘く見るな、あの小僧は未熟だが頭は切れる」


油断すれば貴様でも飲み込まれるぞ。


「最悪の事態・・・奴が時計台に辿り付いた場合、情報を仕入れることを最優先としろ。無理に討ち取る必要はない」


ガランはオルクの言葉に小さく頷くと。


「心配してくれるのは嬉しく思うが、始めからその積りだ。俺は自分のすべき事を成す、だからお前は己の役割をこなせ」


その戯言にオルクは含み笑いを浮かべながら。


「貴様に死なれると計画が狂う、危険なときは部下を見捨てようと逃げろ。利用価値が無くなるまでは、死んで貰っては困る」


冗談の積りで言っているのだが、オルクの瞳は死人のように濁っていた。


ガランは心を失ってしまった友へ、精一杯の言葉を伝える。


「今日、俺は久方ぶりに夢を見た」


オルクの背中を確りと見詰めながら、ガランは話を続ける。


「その中でお前は・・・笑っていた」


片腕の灯火を消すと、オルクは表情を上げ、綺麗な星空へ視線を向けた。


「笑おうと思えば、いつでも笑うことはできる。今この夜空を見上ている私は、笑っているではないか」


死人の発言にガランは笑顔で頷き。


「そうだな、今のお前も間違いなく笑っている。だが造っている時点で、それを笑顔とは呼ばない」


夢で見たオルクは、心の底から幸せそうに笑っていた。


その瞳は誰かの為に、その心は誰かと共に。夢の中の男性は、精一杯に今を生きていた。



オルクと名乗る人物は、綺麗な星空を濁った眼に映しながら、乾いた声で返事をする。


「それは良かった。何時かまた、そのように笑いたいものだ」


死人は再び地面を向き、火を灯し手元を照らすと、魔法陣の制作を再開させた。


ガランに視線を向けることもなく、穏やかな口調でオルクは笑いながら語り掛ける。


「貴様がいると集中できん、速く持ち場に戻れ。何時までそこにいる積りだ」


友を想うガランの言葉は決して届かない。これまで何を言おうと、死人の心に彼の声が響くことは一度も無かった。


ガランは友に背を向けると、溜息を静かに吐き、別れの言葉を送る。


「また会おう」


オルクは振り返ることもなく、魔法陣を描きながら心無い返事をガランへ。


「ああ、貴様の健闘を祈る」


友は去り、死人は一人残される。





信念などオルクには無かった。


勇者への憎悪だけで生きているとガランには勘違いされていたが、オルクは己の中で勇者に憎しみなど向けてはいなかった。


彼は探していた。存在するのかも怪しい言葉を。


勇者という存在の中に、己が欲する何かがあると信じ、オルクは一人で勇者を狙っていた。


だから信念旗は仲間ではない。


だからガランは同志でもない。


利用価値があるからこそ、私は連中に協力しているだけだ。


信念旗を邪魔だと判断すれば、この男は悩みなく平気で裏切るだろう。


誰かの為に生きていた。


誰かと共に歩んできた。


心を知り、喜びを知り、欲を知り。そして愛を知った。


誰かの為に一生懸命に生きて。


誰かと共に少しでも前に進もうとした。


そして彼は最後に死んだ。


多くの情を失い、輝いていた瞳は光を失う。



オルクは立ち上がり、ガランが去っていった方角に視線を向ける。


私には信念など無い。だが貴様には感謝をしている。


この忌々しい世界で、生きる希望を与えてくれた。ガラン・・・貴様のことだから、己の死期を悟っているのかも知れん。


既に笑い方も泣き方も忘れてしまったが、友を思う情だけは忘れずに残すことができた。


貴様は私を死人のようだと叱るが、これでも人であった頃の感情は僅かだが残っている。


それにな・・・死人の眼は濁ってなどいない。本当に汚れているのは、今を生きる人間たちだ。


オルクは友を想い、精一杯の言葉を送る。


「また会おう・・・友よ」


夜空は満天の星空だった。


もう彼にはそれを美しいと感じることはできないが、たった一人の友を心配する感情だけは残っていた。





魔法陣




それは古代の技術。


それは古代の文字。


それは古代の紋章。



宝玉は魔力を能力へと変化させる技術。


古代種族が使っていたとされる文字で、能力を決める。


属性紋を組み込むことで、白魔法と魔法陣に繋がりを。


魔法陣の構造を簡単にだが三段階で説明する。




一 まず基礎となるのは、宝玉と関係のある宝玉線である。


宝玉線の上に宝玉を乗せるだけでも効果はあるが、やはりこの場合も玉具と同じように、塗料に宝玉を細かく砕いた物を混ぜ込んだほうが良い。


しかし宝玉を塗料に混ぜ込むのに高度な技術は要らないが、魔法陣は基本使い捨てであり、宝玉の値段を考えれば代償は大きい物となる。



二 宝玉線を土台として、古代文字を加えていく。


古代文字とは言葉の通り、古代種族より伝えられた文字のことをいう。我々の世界で使われている文字とは異なっており、専門家の中では神の世界で使用されている文字ではないのかと考えている者もいる。


もっとも私はこの考えを否定しているが。もし神などと呼ばれる化け物が本当に実在しているのなら、文字など必要としないのではないか。


この魔法陣専用の文字で書いた内容が、そのまま能力として発現される。


魔力と文字を合わせ現実にする・・・これが宝玉だ。


しかし少しの違いで魔法陣の効果は大きく変る。


例え 魔法陣の内側から炎使いが魔法を唱えた場合に限り、魔法の魔力消費を抑える。



成功『魔法陣の内側から炎使いが火属性の魔法を唱えた場合に限り 並位魔法の魔力消費を抑える』


失敗『魔法陣の中から炎使いが魔法を使った場合に限り 魔力の消費を抑える』


大失敗『魔法陣の内より属性使いが魔法を使うと、ほのうの魔法は魔力を消費が少なくなる』



このような僅かな違いで、魔法陣は本来の能力を発揮できなくなる。


一つの簡単な物事でも、古代文字の場合はできる限り細かくした方が良しとされている。


因みにこの能力を実現させるには、濁宝玉では役不足であり、火の宝石玉を使用する必要がある。


[魔獣具職人であったログは、古代文字の代わりに(ねぐら)から入手した素材や、魔獣の好物等を使用することで呪いを抑え付けていた]


古代文字はまだ完全に解読できてないのが現状であり、聖域でそれら資料を得ることで、少しずつ解明されている。




三 最後の仕上げとして、魔法陣の中核となる位置に、属性紋を描くことで完成する。


属性紋は造神との繋がり。白魔法を強化したり、同時・一斉魔法を補助する能力を使用するのに必要となる。


以前は私も使用していたが、実験の結果により魔力纏い補助系統の能力には、属性紋を必要としないことが解かった。


恐らく魔力纏いによる肉体強化は、造られた古代の神とは関係の無い現象だろう。


しかし白魔法を強化する上で、属性紋は重要である。古代文字を完璧としても、属性紋が一般的に知られている位の低い紋章では、使用しているのが純宝玉だとしても効果は発揮されない。




以上の三段階を経て魔法陣は完成される。


これは直陣魔法で使用する魔法陣であり、宝玉具に組み込む魔法陣とは似ているが異なる。


私は玉具職人ではない。宝玉具に関しては専門外だが、宝玉具を含めた武具全般には興味がある。


宝玉具の職人は私のような研究者が開発した魔法陣を何らかの方法で入手したのち、それらに独自の技術を組み込むことで玉具に魔法陣を覚えさせる。


しかし覚えさせるという言葉を使っているのが解せんな。



魔法陣を玉具に入れる。


玉具が魔法陣を吸入する。



似ているようで、少しだが意味が違っている。残念だが、考えてもこれ以上は解からない。ここより先は各職人が命がけで隠している技術だからな。


しかしこの世界には、私など足元にも及ばない天才が存在しているのは確かだ。


過去に伝説と呼ばれた宝玉具職人がいた。


その者は自ら魔法陣を開発し、それを利用して玉具を製作した。晩年は決して己が武具に銘は切らず、自身の名で武具の価値を決めさせようとはしなかったらしい。


無銘の武具はどれも使用方法が異常なほどに難しく、使いこなせる者は一握りしかいなかった。


多くの偽物が世に出回り、少なき本物が世界を震わした。



彼の技術は独自のものが多く、特定の職人派閥にも所属はしていなかったため、恐らく技の殆どは他者に受け継がれていないと考えられる。しかしこの千年で、最も高い頂きに存在する宝玉武具職人だろう。


魔獣具職人 狂気のログ


宝玉具職人 変人のセサル


狂気のログは現在もこのレンガで存命だが、数年前より職人を引退している。


魔獣具への執念、魔獣への愛情。異常者とも取れる数々の行いから、このように呼ばれている。



セサルというのは盾国の専属として武具を造っていた頃の名であり、その後は地位も名誉も捨てて何処かへ消えた。


銘が切ってあるのはその頃に製作した武具であり、晩年は無銘で世に僅かだが武具が出回っている。


剣や短剣の宝玉武具が有名だが、発見されている無銘の武具は、どれも武器とは思えない形状の物が多い。実際に発見されたとき、武具としてではなく、農業道具として使用されていたというのは有名な逸話だ。


それらの理由から、セサルは変人と呼ばれるようになった。




オルクは暗闇の中、ゆっくりと立ち上がり、一応だが完成した魔法陣を眺める。


私は宝玉具が好きだ。今は孤高などを気取ってはいるが、こう見えても過去には相棒がいた。


魔法陣を私が開発し、相棒にそれを提供していた。


属性紋を求めて、私たちは国中を旅していた。それでも私には帰る村があり、待ってくれている家族もいた。


こんな私にも昔は心配してくれる父と母がいて、それが当然だと思っていた時期があった。それが幸せだったと気付くのに、随分な時間を必要としたがな。


私は両親の為に、何かをした記憶が無い。


父は実家の後を継いで貰いたいと願っていたが、私は自分の欲望のまま魔法陣の研究を選んだ。


母は危険な旅を続ける私を何時も心配してくれていた。


二人に恩を返すことはできなかった。息子として両親の為に何もできなかった私だが、一つだけできた事がある。


同じ時代を同じ世界で、私は両親と共に生きることができた。


私には妻や子を持った経験がないため確かなことは解からない。全てではないだろうが、親という者は満足せずとも、それだけで充分だと思えるのではないだろうか。


共に生き、そして己より長く生きてくれるなら、それ以外に何も望まない。




玉具を愛する男は素顔を布で隠しながら、薄い笑みを浮かべ。


過去を想い返したところで何も変らない。過去を想いだすことで、己を知ろうとする。


他にすることが無くなったとき、人は自分を探そうとするのだろうか。しかし自分を見つけることはできなかった。


全て無意味だと気付き、私は意味を求めることを捨てた。


答えが無いことは知っている。


それでも私は答えを求めている。


この行為に・・・意味など無い。ただ欲望のままに、自分の為だけに私は勇者を狙っている。




オルクは少し離れた場所に移動をし、己の荷物からロープと液体の入った中瓶を取り出す。


ローブは細く長い、恐らく暗闇の中では踏んでも人は気付かないだろう。


魔法陣まで戻ると月明かりを頼りにし、オルクは釘と金槌を使い、ローブを魔法陣の決められた位置に打ち付ける。その作業を終えると、中瓶の蓋を外し、ロープへ中身の液体を染み込ませる。




今回の作戦で、私が使用する魔法陣が完成した。


魔法陣はそれなりの大きさだが、成人男性が五名ほど入れるかどうか。


属性紋の大きさは個々によって決められており、魔法陣の大きさに属性紋を合わせる必要がある。


サイズの小さい属性紋を、一回り大きくして使用することはできず、大魔法陣にはそれに見合うサイズの属性紋を選ばなくてはならない。


属性紋が大きいほど強力になるという意味ではなく、紋章の複雑さで属性紋の強弱は決まる。


描いた魔法陣の大小で効果範囲は異るが、小さくても強力な魔法陣は存在している。



属性紋には原図と呼ばれるものがあり、私たちはある程度だが、それを正確に写す必要がある。


今回の魔法陣に使用する属性紋も、過去に私がある所で発見した原図を写したものだ。


かなり複雑な紋章だが、掌ほどの大きさであり、慣れれば正確に写すのも難しくはない。


寧ろ強力な原図を写すまでの方が苦難が多く、時に法に触れてまで原図を求める者もいる。




敵が上手く私の策に嵌まれば良いが、失敗を想定することも重要だ。


己の策が失敗するのを怖れる、怖れないためには自信を持つ。これも一つの手段として充分に役立つ筈だ。


だが私は策が失敗しようが、自分と他人が死ぬだけだと割り切っている。あまり深く考えても、深みに嵌まるだけだ。


冷静を保つ方法はこれ以外にも存在している。自分に合うものを選択するのが良いだろう。



私は策士として、ほぼ全般にオルク(本物)の考えを取り入れている。


策の綻びを徹底的に探し求め、見つけた綻びを新たな策で埋める。それは終わりの見えない作業であり、策に溺れる必要がある。


己が策を成功させる為に、私は敵でも味方でもなく、常に中立の立場として考えるように心掛けている。



敵を勝利させる為に


味方を勝利させる為に


敵を勝たせない為に


味方を勝たせない為に


敵を負けさせない為に


味方を負けさせない為に



私は何をすれば良いのか。


一応これを基本として、私は策を練っている。


溺れ過ぎれば抜けだせなくなり、浅すぎれば綻びは見えなくなる。


危険は大きく、浅はかな見落としが多くなるが、これもまた一つの快楽として己に錯覚させれば良い。


策士として私の考え方は完璧とは程遠いが、できる限りの事を行えればそれで良い。



私の立てる策は勇者への憎悪が篭っていると言われるが、ただ単に策士としての考えが、憎悪と変化して相手に伝わっているだけだ。


確かに私は執念深く勇者を狙っている。正直言えば悪意は否定できないが、強い憎悪だけは持っていない。


怨みはある、憎しみもある。


それでも私は勇者への憎悪に縛られながら生きてなどいない。


不甲斐ない己への憎しみもある、許すことは恐らくできないだろう。



だけど家族は私に望んだ。


約束したんだ。


私の望むままに、欲望のままに生きると。


だからこの命尽きるまで、私は生きるだろう。


私は探し続ける・・・ただ一つの絶対があると信じて。












時は流れ闇は更に深まる。


目前には十名の属性使い。時計台へと続く道を私は塞いでいた。


治安維持軍・・・貴様らが私の求めるそれなのか。


いや違う、私の欲するのは、このような者たちではない。


貴様らは知っているのか、それが何処に在るのか。


私が思うに、勇者が最も近い。


この国が公表している勇者の情報は少ない。だがこれだけは世界が知っている。


神位魔法を唱えることのできる勇者。


白銀の髪は珍しい。だが雷使いの中には白髪の者はそれなりに確認されていた。


それら二つは見分けるのが難しい、だが私は一目で理解した。



彼女を見て、私の欲望が僅かに蠢いた。


私が求める者は彼女なのか、それとも違うのか。




教えてくれ、探しても見つからない。


求めても何処にも無い。



オルクは濁った眼差しで敵を睨みつけながら、片腕に醜い執念の炎を灯す。


敵の属性使いたちは、異常な空気を放つ目前の敵に警戒する。


戦いは始まろうとしていた。


オルクは一人、何かを探す。


誰でも良い、教えてくれ、何処に在るのかを。


他者には聞き取ることのできない、小さな唸り声をオルクは口から漏らす。


「答えろ偽物ども・・・本物の在り処を」


必ずある筈だ、絶対のそれが。



何処に在る












正義は・・・どこにある














オルクという人物を本編で登場させれなかったので、外伝の主役にしました。


自分の中で考えていたオルクという人物と、実際に書いてみたオルクは少し違いましたが、これはこれで良いかと思いました。


人によって正義は異なるのかも知れませんが、オルクが求めているのは絶対の正義です。


それでは失礼します。

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