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炎拳士と突然変異  作者: 作者です
4章 源は、誇りか呪縛か執念か
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六話 笑顔の素敵な友達へ



私とアクアは今まで喧嘩をした事がない、アクアは何時だって私の味方をしてくれていたから。


アクアは15歳と、私たち4人の中では一番若い。


だけどね、アクアは誰よりも人を見ているの、人に気を使える優しい女の子なの。


周りの人から期待の眼差しを向けられていた私にとって、始めてできた女の子のお友達。


いつも素の自分を曝け出して、私のお友達として付き合ってくれた。



アクアは私の事を、どう思っているんだろう・・・やっぱり馬鹿な子だと思ってるのかな。



私は馬鹿だ、そんな事は私でも分かってるもん。


でも・・・アクアに私の事どう思ってる? その一言が、怖くて聞く事がずっと出来なかった。


・・

・・


武具屋を出てグレンちゃんと離れると、アクアは行きたい所が在ると言って何処かに行っちゃった。


私は1人になちゃった・・・グレンちゃん知ってる? 1人はとても怖いの、1人はとても寂しいの。


グレンちゃんに始めて逢うまで、私にはオババしか居なかった。


だけどオババは偉い人だから、何時も忙しくて・・・私は何時も一人だった。


他の子達と遊ぼうとしても、周りの大人たちが怪我をさせたら大問題に成るって遊ばせてくれなかった。


次第に私は人見知りになって・・・人が少し怖くなった。



私にはオババしかいなかった、もしオババが消えちゃったら・・・私は1人になっちゃう。


凄く怖かった、オババが帰ってくるのを何時も震えながら待っていた。



八歳の時、私は1人じゃなくなった。


男の子のお友達が出来た・・・口が悪くて怖い男の子だった。


私の頭を殴るし、私を虐めるの。


でも・・・何時だって私の傍に居てくれた。


・・

・・


9歳になると悲しい事が在った、私にはグレンちゃんやオババが居るのに、本当の意味で1人になっちゃった。


真実を受け止められないで、1人で蹲ってた・・・グレンちゃんは何も言わずにずっと傍に居てくれた。


グレンちゃんは私が優しくすると凄く怒るくせに、本当に困っているときは私に誰よりも優しい。


・・

・・


12歳になるとグレンちゃんが私から離れて行った。


お仕事だってわかっていたけど、グレンちゃんが居なくなって私は寂しくなった。


その頃、アクアに始めて出逢った。


当時のアクアはまだ8歳でとても小さかった。


でも私は他人と話した事ないから、アクアにどう接したら良いか分からなくて。


アクアとの始めての挨拶は、こんにちはでも、おはようでもなくて・・・怯えていた私にアクアが笑顔を向けてくれて、私はぎこちなく笑顔を返しただけだった。



それから毎日じゃないけど、アクアは私に合いに来てくれた。


7年間、アクアが傍に居てくれて、私は寂しくなかった。


・・

・・


アクアが私を置いて何処かに行っちゃって、1人行く当てもなく人通りを歩く。


この道から外れて裏道に入ると、私はきっと馬鹿だから迷子に成っちゃう。


だから今歩いている道からそれないように歩く。


わたし・・・アクアに嫌われちゃったのかな?


やっぱり1人は寂しい。


歩いていると、ガラス張りの店屋が目に入って来た。


セレスは何気なくその店屋に近づくと、店のガラスに両手を添えて店内を覗き込む。



うわ~ おもちゃ屋さんだ~ 木彫りの動物や、可愛らしいお人形さん。


グレンちゃん、好きな物を買って良いって言ってた・・・入っちゃおうかな。


・・

・・


セレスは木で出来た変わった形の扉を開ける。


扉を開けたのと同時に鈴の音色が聞こえた。


素敵な扉、アクアと一緒に来たかったな。


おもちゃ屋の店主さんは、お客さんが来ないからかお昼寝中のようだ。


私は店内を見て回る。



ブリキの車、ネジを回したら動くのかな? 勝手に回したら怒られちゃうかも知れない。


鳥かごの中に住んでいる鳥のおもちゃ、鳥かごを少し揺らすと両方の羽を広げる、どんな仕掛けなんだろ?


セレスはグレンの真似をして考えるポーズを取る。駄目だ・・・わたし馬鹿だから分かんないや。


鳥のおもちゃの仕組みを考えるのを諦めると、再び店内を見て回る。



商品の棚の上に乗った、男の子と女の子のお人形。


少し歴史を感じる2体の人形、夜になると動き出すような気がする、見る人によっては不気味と感じるかも知れない。


だけどセレスは人形に対し、そんな感情は抱いていないように見える。



可愛いな・・・でも値札を見ると一方しか買えない、離れ離れにするのは可哀想だから買わないよ、安心して。


お人形たちに笑顔を向け、心の中で話し掛ける。


こんな事してるから、グレンちゃんに馬鹿にされるのかな? でも楽しいから良いもん。


おもちゃ屋さんの中は何時まで居ても楽しい、沈んだ心を楽しい心に変えてくれる。


見て回っていると、一つのおもちゃに目が留まる。



確りとした鞘が付いた、本格的なおもちゃの剣・・・私が持ったら短剣かな?


自然とセレスの表情が笑顔に成る。


勇者の村には此処みたいなおもちゃ屋さんがない、だから皆は自分で造るか、家族の人が隣村に訪れる商人さんに頼んで買って来て貰うしかおもちゃを手に入れる方法がない。


私も持ってた・・・オババが買ってくれた。


でも私が大きくなると、オババはお仕事が忙しくて、何時も古いおもちゃで遊んでた。


グレンちゃんにお願いしたら、文句言いながら造ってくれた。


だけど・・・お人形をお願いしたのに不恰好な剣を渡されて、私泣いちゃった覚えがある。



セレスは目の前の剣のおもちゃを見ながら、当時の事を思い出す。


「にへへ・・・グレンちゃんに酷いこと言っちゃった」


お人形が欲しかったのに、剣を渡されて。


『こんなの要らない!!』


木製の剣を投げ捨てて・・・グレンちゃんの手を見たら傷だらけで・・・それ見てまた泣いちゃって。



私はまだ、あの時の事を謝っていない。


でもグレンちゃんは私が謝るときっと怒る。


グレンちゃんは何時もそうなの、私だけじゃない・・・


誰かに謝られると嫌そうな顔をする。


誰かに心配されると辛そうな顔をする。


誰かが泣くと痛そうな顔をする。


誰かに迷惑を掛けると、苦しそうな顔をする。


グレンちゃんの心は複雑で・・・難しくて・・・壊れそう。


壊れても無理やり繋げ直して、崩れても立て直して、重荷に押し潰されても背負い直して、また重荷を増やして行く。


だけど私がグレンちゃんを心配すれば、グレンちゃんは辛そうな顔をする。


そんな自分が私は嫌い・・・グレンちゃんに嫌われてでも、グレンちゃんを心配する事が出来る私に成りたい。


グレンちゃんに嫌われるのが怖くて、私には何も出来ない。




アクアは本当に凄いと思う、怒る時はお腹の底から怒って、心配な時はちゃんと口に出して心配して。


私よりも4歳も年下なのに、私よりも自分を持っている・・・アクアは私にとって憧れだから。


・・

・・


おもちゃ屋の一角でセレスは足を止める。


布に綿を詰めたヌイグルミが置かれていた。


青い髪の毛のつぶらな瞳な掌サイズのお人形で、可愛らしいワンピースを着ている。


その人形を手の上に乗せる。



何度かあった事のある、アクアのお姉ちゃんに何処となく似ていて優しそう。


値段もグレンちゃんから貰ったお金だけで足りると思う。


アクアはお姉ちゃんのことが大好きだから・・・喜んでくれるかな?


・・

・・


・・

・・


アクアは小走りに来た道を戻る。


前を行く人を追いこす、前から来る人に当たらないように気を付ける。


ボクに視線を送る人が幾人かいるけど、もうそこまで気にならない。



武具屋に向かう途中に気になるお店が在ったけど、そこに寄りたいとグレン君に言うと文句言われるから黙っていた。


彼はお金にケチな訳じゃない、ずっと生きる為にしかお金を使ってこなかったから・・・グレン君はお金の使い方が分からないんだ。


だからボク達にお金を渡して、好きな物を買えって言ったんだと思う。


グレン君は我侭を言わない・・・言ったとしても、その裏で理由があるんだ。


野宿の時に見張りをガンさんと一緒が良い、そんな我侭を言った時だって、本当は自分の武具の事をガンさんに相談したかったからだし。


グレン君が我侭を言うのは、多分誰かに頼りたくない時だけ。


闇のランプの件だって、グレン君は本当に嫌そうだった。


セレスちゃんが渡したお婆ちゃんのお金・・・多分まだ、グレン君は納得していない。



今回の事だって、グレン君が完全に悪い訳じゃないんだ。


言ってしまえばあの程度の事で、喧嘩に成っちゃうボクとセレスちゃんだって悪いんだよ。



ボクはずっと、セレスちゃんを傷つけないように、まるで腫れ物を触るように接して来た。



セレスちゃんはボクと始めて会ったのは、グレン君が仕事を始めてからだと思っている。


でも本当は違うんだ・・・ボクはセレスちゃんとグレン君を、ずっと隠れながら見てたんだ。


あの時の2人は、おとぎ話のお姫様と王子様のように、何時だって2人一緒で、何時だって楽しそうだった。


ボクはおとぎ話を聞く感覚で、2人を影から見てたんだ。


あの2人を見てるとさ、まるでお母さんがボクの傍で・・・お話ししてくれている気がして。



でも、ある日を境に王子様が、お姫様から離れちゃったんだ。



ボクがセレスちゃんに近づいたのは・・・ボクのおとぎ話を・・・お母さんを取り戻したかったからなんだ。


お父さんとお母さんが消えちゃったボクには、お姉ちゃんしかいなくて、でもお母さんが帰って来てくれた気がして。



でも気付いたんだ、お母さんはやっぱり・・・何処にも居なかった。


悲しくなかったよ、その時にはボクには友達が居たから。



セレスちゃんはどう思うんだろう?


ボクがそんな理由でセレスちゃんに近づいたって知ったら。


嫌われたくない・・・セレスちゃんに嫌われたくない。


・・

・・


そこは装身具を売っている店だった。


装身具はネックレスや指輪などのアクセサリーの事で、装身玉具を売っているお店なんだけど、中には玉具とは関係のない、お洒落の為の装身具も売っている。


宝石などが付いた装身具はとても高いけど、鉄か何かで出来た安いのも在る。


安いと言っても5千円以上はする・・・でも、ボクのお金を合わせれば買えない値段じゃない。


何を買えば良いのかな? セレスちゃんに似合うのを買いたい、喜んで貰いたい。


良く考えたらボクも誰かと喧嘩した事がないんだった・・・仲直りの仕方が分からない。


だからこんな手段しか思い付かなかった。



アクアが何を買うか悩んでいると、店の店員? が話し掛けて来た。


「君は何を買いたいのかな?」


優しそうな人だった。


「えーと、贈り物かな?」


店員? は笑顔を返しながら。


「そうか・・・指輪、それともネックレスかな? ピアスやイアリングも在るけど指輪の場合はサイズが分からないと買わない方が良いね」


ボクは装身具は買った事がないから・・・とりあえずはサイズも知らないし指輪は無しだね。


「店員さんは何を贈れば良いと思うんだい?」


店員は苦笑いを浮かべながら。


「いや・・・私は一般の客なんだけどね」


そう言うと話し掛けてきた知らない人は腕を組んで悩みながら。


「ん~そこの所は私も詳しくないんだけどさ・・・ネックレス何て良いんじゃないかな?」


確かにそれなら間違いはない、決めたネックレスにしよう。


「ありがとう助かったよ、ボクはネックレスに決めた」


アクアがそう言うと、知らないし人は軽く笑いながら。


「それは良かった、それじゃあどのネックレスにするか選ばないとね」


アクアが悩んでいる間、知らない人はレジの方に向かい、頼んでいたらしき物を店主から受け取ると料金を支払い、再びアクアに近づいて来た。


「言うの忘れてたんだけどね、この店は直接工房と繋がっているから、頼めば数分でネックレスに名前とか入れて貰えるよ・・・此処で逢ったのも何かの縁だし、良ければ文字入れの値段交渉してあげるけど、どうする?」


アクアは目の前の知らない人を見詰めながら。


「良いのかな・・・ボクお金そんなに払えないよ?」


知らない人は表情に自信を浮かべると。


「文字入れくらいならタダで押し通す自信が在る、こう見えても商売仲間として私はこの店のお得意様なんだ」


それじゃあ、頼んじゃって良いかな・・・アクアは素直にお願いする。


・・

・・


店主は困った顔を造りながら、苦笑いを知らない人に向ける。


「まったく・・・レンゲさんには適いませんよ・・・今回だけにして下さいね」


どうやらこの店の店主は装身玉具の職人で、自分で造ったアクセサリーを売っているようだった。


「何時もお世話に成って上げているんだから良いとしてよ、今回だって高い物依頼たんだからね」


店主がレンゲと名乗る人に質問する。


「ところであんな長い手袋を何に使うんですか・・・何時も無理な注文されるけど、今回は本当に使用方法が分かりません」


レンゲはニヤケながら。


「そりゃあ言えないね、企業秘密」


店主が溜息を付きながら。


「企業って・・・レンゲさん基本1人じゃないですか」


この店主は何時も、レンゲと言う人に無理難題を頼まれているらしい。



アクアはレンゲの服を掴むと軽く引く。


「文字入れ・・・まだかな?」


話しに華を咲かしている所悪いんだけど、ボクはセレスちゃんに速くネックレスを渡したいんだ。


店主はアクアに質問する。


「ごめんね・・・それで、なんて文字を入れたら良いですか?」


・・

・・


店の前にレンゲと立つ。


アクアは両手で小箱を大切そうに持ちながら、レンゲに笑顔を向けると語り掛ける。


「ありがとう・・・ボク凄く嬉しいよ」


レンゲも上気分で返事を返す。


「きっと貰った相手も喜んでくれる、君の気持ちが入っているんだからね、物造りは技術と心と魂で造るんだ・・・あ、私いま良い事言ったね」


レンゲの言葉に笑顔を返すとアクアはそのまま小走りで走り出した。





「なんか・・・若いって良いな・・・まあ、私もまだまだ捨てた者じゃないけどね」


自分で言ってて照れくさくなったレンゲはそのまま歩き出す。


・・

・・


・・

・・


セレスはアクアを探して道を行く。


速くアクアに渡したくて・・・良く考えたらアクアに物をプレゼントするの始めてだった。


オババには良く手作りの何かをプレゼントしていたけど。


アクア喜んでくれるかな・・・袋に入った小さな縫い包みの人形を抱かえながらひた走る。




暫く走って一つ気付く。アクアが何処に居るのか分からない。


周囲を見渡しながら道を行く。


・・

・・


確りと前を見て歩いていなかったセレスが悪い。目の前を歩いていた男性にぶつかってお尻から転んでしまう。


ふえ~ と目前の男を見上げる。


見てくれは旅人風で埃っぽいが落ち着いた服装、だが眼つきが鋭く怖そうな人だった。


怖い旅人は突然ぶつかって来たセレスに驚きながら声を発する。


「何事だ・・・すか」


見下ろす形になった男は、より一層に怖い。


セレスは立ち上がると、体に付いた埃を払いその場から逃げ出そうとする。


そんなセレスの態度を見た男性が注意する。


「ちょっとお嬢さん・・・ぶつかったんだから、何処か行く前に一言必要なんじゃないだすか」


ビックっと立ち止まったセレスは、振り向き様にもう一度男を視界に入れる。


やはりその男の顔は怒っているように見える。


只でさえ人見知りする上に相手を怒らせてしまった、謝って許されないのなら、攻撃魔法でやっつけるしかない。


涙目に成りながら頭を深く下げる。


男は動揺する・・・人が大勢いる訳ではないが、それなりの人目が在る中で大の男が女性に頭を下げさしているように周囲の目には映るだろう。


「い、いや自分は一言貰えればそれでいいだけで・・・頭を下げられたら逆に困るだす」


男がアタフタしていると、周囲の人々もそれに気付き男は弁解を始める。


「じ、自分は無実だす! ただぶつかったのに謝らないのは駄目だと言っただけだす!」


周囲のヒソヒソ声が男の耳に入る・・・ぶつかっただけで頭を下げさせる屑な男、それが周囲の自分に対する印象の様だ。


「陰謀だす!! 自分は悪くないだす!! 正論を言っただけだす!!」


セレスよりも男の方が泣きそうな顔になる。


周囲に人が集まるような事はないが、軽蔑するような眼差しが男に突き刺さる。


「ひ、酷いだす・・・自分は・・・ただ・・・」


男は耐え切れずその場から逃げ出そうとした・・・その時だった何者かに蹴飛ばされて地面に顔を削られながら停止する、暫く何が起きたのか分からない。


アクアは呆然と事の成り行きを眺めていたセレスを抱きしめる。


「セレスちゃん大丈夫!! 何もされなかった?」


当のセレスは何が起きているのか理解できていない。


「ボクがあいつを懲らしめるから、セレスちゃんは其処で待ってて」


男は顔を擦りながら立ち上がると、半泣き状態で許しを請う。


「もうしないだす・・・見逃して欲しいだす」



セレスはアクアの腕を掴むと事情を説明する。


「・・・行こうかセレスちゃん」


セレスが首を振るう。


「でも、私が悪いから・・・」


アクアはセレスの手を掴むと。


「器の小っちゃい、グレン君みたいなあの人が悪いんだよ・・・蹴飛ばしたボクも悪いけどさ」


アクアに連れられてその場から離れようとするセレスに、被害者の男が助けを求める。


「待つだす、周りの人にも事情を説明して欲しいだす!」


まだ周囲の民からの軽蔑の眼差しが男に突き刺さっていた。



セレスは大きく息を吸い込むと、お腹の底から言葉を吐き出す。


「その人は悪くないもん!! 悪いのは私だもん・・・ごめんなさい!!!」


アクアも蹴飛ばした男に頭を下げると、セレスと共にその場から逃げ出す。


とても酷い事をしてしまった。


・・

・・


・・

・・


息を軽く切らせながら、2人は手を繋いで走る。


走っていた道を外れ、細道に入る。


セレスが少し心配そうな声で。


「あの人に悪い事しちゃった・・・大丈夫かな?」


アクアが苦笑いを浮かべながら。


「それならボクなんて、思いっ切り蹴飛ばしちゃったよ」



2人は笑い合う、確りと手は握られていた。



少し落ち着くと2人は無言。


アクアが暫く続いた沈黙を破る。


その言葉は、ただ一言。


「ごめんね」


セレスは一生懸命に首を左右に振り。


「私も・・・ごめんね」


2人は同時に笑い会う。




アクアが手に握っていた小箱から銀色のシンプルな丸みを帯びた、小さいプレートが付いたネックレスを取り出すと、セレスの首に腕を回し、残った小箱をセレスに持たせると照れくさそうに笑う。


セレスはそのネックレスを少しの間、ボーっと眺めると。


「良いの?」


アクアは顔を真っ赤に染めると頷く。



セレスはモジモジしながら片腕で抱きしめていた袋から、小さな人形を取り出す。


「そ、それじゃあ私からも・・・何時も傍に居てくれてありがとう」


アクアはより一層顔を染めると。


「ボクは嬉しい・・・一生大切にするね」


セレスは何時もの気持ち悪い笑顔を。


「にへへ~ わたしも~」


セレスの胸元には、こう書かれていた。




『笑顔の素敵な友達へ』




4章:六話 おわり

遅くなりました。


投稿時間を守れなくてすみません。


明日は予約で入れて置きます。



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