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炎拳士と突然変異  作者: 作者です
プロローグ
2/209

戦争の終わり

夜明け前。眠る都市の北門には兵士が立っている。



ここまで旅をしてきた男女。女性はこの都市に残り、男性は故郷へと帰る。


二人は恋人ではない。友と呼べるほど仲が良かったわけでもない。魔族と戦った仲間であった。


かつて少女だった女性は、ただ一人生き残った同郷の仲間に。


「私も一緒に行かなくて大丈夫なのかな。もし魔物に襲われても、昔のようには戦えないよね」


その言葉に男は苦笑いを浮かべ。


「せっかくお前のために国が工房を用意してくれたんだ。俺の心配をする暇があるなら、自分の道を進むことだけを考えろ」


たくさんの勇者が戦場に向かい、若い命を散らしていく。私たち護衛は、勇者がいなくなればその役目を終える。


「こうやって生き残ることができたんだ。俺もお前のように、なにか生きがいを探そうと思っている」


いつだって彼は嘘をつく。同じ場所に立っているのに、彼は私を見ているのに、この人は今も戦っていた。



その身を焦がしながら、暗闇の中で勇者を照らし続けた炎使いは、仲間に背を向けて歩きだした。


未だあどけなさの残る土使いは、去っていく男性に別れの言葉を。


「遠回りになっても、生きることを優先させないと駄目だからね」


夜明け前の薄暗い世界を、太陽の光が暖かく包み込む。


照らす存在を失った炎使いは、仲間に向けて別れの言葉を返す。


「俺たちの戦争は終わった。まずは故郷に帰って、セリアに謝らねえとな」


彼はいつだって嘘をつく。


自分を偽って。


平然な顔をして。


己の本心と戦って。


どんな姿に堕ちようと、たった一つの約束を守るために戦った。


それが正しいなんて思ったことは一度もない。



だけどそんな彼こそが・・・私たちの炎拳士だ。





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