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炎拳士と突然変異  作者: 作者です
2章 黒く、誇り高き獣
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五話 後編 犬魔対雷水土

犬魔は徐々に4人への距離を詰めて行く。


グレンへのサポートは、お前が敵中を走り抜けてからだ。


自力だけで敵の中を突き抜けて貰う。


4人を囲んだ犬魔達は、姿勢を一斉に低くして攻撃態勢に入る。



ガンセキはその一瞬を突いた・・・


「今だ!! グレン、行け!!」


グレンは走り出す。


・・・

・・・

・・・


グレンが走り出した方向の犬魔は、彼に標準を向けたようで、グレンを追いかけて走り出す。


俺達の居る場所に残った犬魔は、そのまま3人に飛び掛る。


ガンセキは3人を護るように、大地の壁を召喚する・・・飛び掛った犬魔数体が、壁に激突する。


壁に激突しただけで犬魔を殺す事は出来ないが、ぶつかった衝撃で少しの間だけ動けなくする事は可能な筈だ。


ガンセキは大地の目で周囲の様子を確認する。


グレンを追っていったのは約15体・・・此処には約25体が残った。


「ガンさん、ボク達は今からどうすれば良いの?」


「俺はグレンのサポートと、自身の守りに入る・・・アクアは水の領域を、セレスは電を剣に纏わせろ」


アクアは俺が壁を消すと同時に、一番近くに居る犬魔数体を氷の捕縛で動けなくする。


セレスは動けなくなった犬魔に斬りかかる。


「とりあえず俺を狙う魔物が増えて、俺1人で対処が出来なくなったらセレスを呼ぶ、それまでは犬魔と戦っててくれ」


「俺から離れ過ぎるなよ、敵を殲滅させる事がお前等の役目じゃない、敵の注意を俺達に向ける事が重要なんだ」


敵の数を減らすのは、グレンと俺の役目だ。




ガンセキは大地の目で、グレンの様子を見る。


・・・よし、グレンが敵中を抜ける事に成功した。


「準備は良いか、大地の壁を消すぞ」


「私は私の役目を果たす、それだけだもん・・・」


セレスは自分に言い聞かせるように。


「グレン君だけに、良い格好させてられないよ」


アクアの足下から地面に面して水が流れ出す。


・・

・・


壁を消した・・・。


アクアが3人の付近に居る犬魔4体を、捕縛の氷で動けなくする。


セレスは動けなくなった犬魔に斬り掛かる。


1体の犬魔をセレスが斬り、残り24体・・・アクアも動きを封じている犬魔に矢を放つ、それにより1体撃破する。


まだ捕縛していた犬魔は2体残っていたが、アクアは一度捕縛を解きセレスの下に向かう。



セレスは1体を斬り殺した後、近くに居たもう一体に向け雷撃を放つ。


犬魔は横に飛び、雷撃を回避した。


その時だった、セレスの後ろから別の犬魔が飛び掛りながら牙を向ける。


アクアの声が聞こえた。


「セレスちゃん!! 一ヶ所に留まってたら狙われるよ、動き回らないと!!」


氷の壁でセレスの背後を護っていた。


セレスは背中から雷撃を放ち、後ろから自分を狙って来た犬魔を感電死させる。


「う、うん ありがと!!」


セレスは走り出し、その後をアクアが追う。


・・

・・


ガンセキは自身を囲う4本の杭・・・地の祭壇の中で姿勢を低くしたまま動かない。


地の祭壇・・・その中心、地面に刺された杭を片手に持ち、もう片方の手を地に添えていた。


動かないガンセキを、犬魔達が狙わない筈が無い。


一体の犬魔がガンセキに飛び掛る、ガンセキは地面に添えた腕で、岩の壁を召喚し自身を守る。


杭を握った方の腕でグレンのサポート、地面に添えた方の腕で自分の身を守る。



ガンセキが言葉を発する。


『そのまま行くと、俺の目が届かなくなる・・・目の前に在る岩を超える前に、左側に回れ』


グレンに大地の声で、言葉を送っていた。


犬魔はガンセキの左右から、2体同時に飛び掛ってきた。


左から仕掛けて来た犬魔には岩の壁を。


右から仕掛けて来た犬魔は、一度握っていた杭を離し、ハンマーを持つとそれで地面を叩き、岩の腕を召喚すると、右から飛び掛ってきた犬魔を岩腕で叩き殺す。


ハンマーを腰に戻すと、再び杭を握りグレンのサポートに戻る。


・・

・・


アクアは走りながら犬魔に向けて矢を放つ・・・外れた。


動きながら敵を狙うのは難しい・・・だからと言って、下手に止まって敵に矢を向けていると、別の犬魔に死角から狙われてしまう。


そんな様子を見たガンセキが。


「アクア! 敵中で弓を使うのは得策じゃない、接近戦で戦えるか!」


「うん! 分かった、やって見るよ!」


アクアは弓を背中の矢筒に引っ掛ける・・・それにより両腕が自由になる。


片腕に氷の盾を、片手に氷の爪を造る。


アクアはそのままセレスの背中側に走り、セレスの背後を護る。


セレスは背後をアクアに任せ、前方の敵を狙う・・・。




ガンセキはグレンの様子を見る。


『外側に走り過ぎだ、今から壁を造って犬魔の行く手を邪魔するから、その隙に俺達の居る方に近づけ』


今、俺の周りに居る犬魔は4体・・・少しキツイか。


セレスを此方に呼ぶ。


「セレス!! こっちに来れるか!!」


「う~ 少し時間掛かる!!」


待っている時間は無いか・・・。


「今は俺が何とかする!! だけど今後の為に、もう少し俺に近づいて置いてくれ!!」



俺を狙う犬魔は4体・・・離れた場所に壁を1つ召喚する場合、俺を守る為に召喚出来るのは、地の祭壇を利用しても2つが限界だ。


何とかするしかないか・・・ガンセキはグレンを追う犬魔に向け、行く手を遮るように岩の壁を召喚する。




ガンセキを狙う4体の犬魔は、その隙を見逃さず一斉にガンセキに向けて飛び掛る。


2体の攻撃を岩の壁で防ぐ、一体はそのまま壁に激突したが、もう一体はギリギリの所で壁に前足を着き、激突を免れる。


壁に攻撃を邪魔されなかった他の2体はガンセキに向け、そのまま飛び掛る。


ガンセキは手に握っていた杭を地面から引き抜き、立ち上がりながら岩の剣で犬魔1体を、下から上に叩き斬り、そのまま遠くへ吹き飛ばす。


残る1体の噛み付きを、岩の剣で防ぐ・・・岩の剣に噛み付いたまま犬魔は離れない。



その時だった、岩の壁への激突を免れた1体の犬魔が、ガンセキの背後から飛び掛って来た。


ガンセキは岩の剣に噛み付いている犬魔だけで精一杯だった、もう一度後方に壁を造り出す余裕は無い・・・噛まれる事を覚悟する。


だが、背中に痛みが走る事はなかった、岩剣に噛み付いた犬魔を振り払い、自分の後方を見る。


自身の後方にいた犬魔には、矢が突き刺さり息絶えていた・・・ガンセキはアクアを見る。


アクアはニヤケながら。


「意外と敵中でも弓は使えるでしょ、ガンさん!!」


ガンセキは苦笑いをアクアに向け。


「返す言葉も無い・・・助かった!」


ガンセキは再び杭を地面に突き刺し、ハンマーで深く打ち込むと、グレンのサポートに戻る。




セレスは犬魔に向けて斬り掛かる、犬魔は回避に移るが避けきれず、片方の前足を浅く斬られる。


犬魔は斬られた事により、動きが鈍くなる・・・セレスの片手剣には電が纏っている、その所存により傷が浅くても、痺れを敵に与える事が出来た。


セレスは動きの鈍くなった犬魔に追い討ちを仕掛ける。


だが別の犬魔がそれを邪魔しにセレスに近づく。


「セレスちゃん!! 左から狙われてるよ!!」


アクアの声により、気付くのが速かった・・・セレスは一度その場から離れ、アクアに近づく。


「アクアありがと・・・でも、上手く戦えないよ」


確かにボク達の役目は敵の殲滅じゃないけど、それでも敵を減らさないと。




ガンセキは2人の様子を見ていた。


「セレス!! 敵を深く追いぎるな、浅くても一撃で敵の動きは鈍るんだ!!」


ここまで言えば、後はアクアが何とかしてくれる筈だ・・・。



アクアは暫く考える・・・そうか、氷塊を使えば良いんだ。



セレスの片手剣をアクアが指差し、言葉を発する。


「セレスちゃん敵の動きを鈍らせて、後の事はボクが何とかするからさ」


少し戸惑いながら、セレスが言葉を返す。


「う、うん・・・やってみるね」


セレスは走り出し、敵に斬り掛かる。


犬魔単体は其処まで強くない、だけど仲間意識が強いから、仲間の危機を見ると助けようとする・・・それが一種の連係になっている。


だから手傷を負わせた後に、追い討ちを仕掛けるのが難しかった。


浅くても傷を負わせるだけなら、そこまで難しくない。



セレスは3体の犬魔に手傷を負わせる事に成功した。


「アクア! あとお願い!!」



セレスの電剣で痺れさせていられるのは大体30秒。


「その間に・・・決めるよ!!」


アクアは空気中の水分を一ヶ所に集める・・・低位上級魔法、水の凝縮。


水の凝縮により空中に水の塊が出来る、それを即座に凍らせる・・・並位下級魔法、氷塊。


アクアは氷塊を3体の犬魔、その頭上に造り出し、重力を利用して落とす。


氷塊は威力は高いが、回避が容易な為に、動きが速い犬魔には向かない。


だけど動きが鈍くなっている犬魔が相手なら、命中率が格段に上がる筈だ。



空中に造り出された氷塊が、音も無く地面に落ちる・・・地面に追突した瞬間に音が鳴る。


3体の犬魔の内、2体が氷塊に押し潰されていた。


「あー 外しちゃった」


それでもアクアは満足そうだった。


「アクアすごい!!」



喜ぶ2人にガンセキが叫ぶ。


「2人とも、油断するな!! 敵はお前等を殺そうとしているんだ!! これは遊びじゃない、殺し合いだぞ!!」


アクアとセレスの顔が引き締まる。


忘れるな・・・15体を相手に、たった1人で戦ってる奴が居るんだ。



だが、俺もセレスとアクアの事を言えた者じゃない・・・グレンのサポートを怠たった。


グレンを追っている15体、それが2手に別れていた。



気付くのが遅すぎた・・・グレンが挟み撃ちを喰らってしまう。


ガンセキはアクアとセレスに呼びかける。


このような自体は予測していた。


だが、現れた群れが予想以上の大きさだった、まだ俺達の周りには15体以上の犬魔が残っている。


俺が攻撃魔法を離れた場所からすると成ると、自身の守りが薄くなる。


その分をセレスに補って貰う積もりだった。


俺の周りの敵をセレスが減らしてくれたら、薄くなる俺の守りでも対処できるから・・・だけど、敵がこの数だとセレスだけでは無理だ。


だからと言って、2人を俺の護衛に回してしまうと・・・敵に囲まれる。


今まではセレス,アクアと少し離れた場所に俺が居たから、ある程度敵を分散しながら戦う事が出来た。



一人を残し、もう一人が俺の援護に回る必要がある・・・防御魔法の使えないセレスでは、俺を守り切れない、俺がダメージを喰らうとグレンに危険が及ぶ。


アクアを俺の護衛に向かわせれば・・・セレスが危険に晒される・・・どうする・・・。


考えている時間は無い・・・俺が旅の責任者なんだ・・・決断を!!



「セレス!! 一人でそのまま戦えるか!! グレンの援護に入る、アクアには俺の護衛に回って貰いたい!!」


勇者であるお前を危険に晒すのは、俺としても避けたい・・・だが、お前なら何とか耐え抜ける筈だ」



アクアが叫ぶ。


「駄目だよ!! 防御魔法が使えないセレスちゃんを一人残すなんて!!」


セレスはアクアに笑顔を向ける。


「大丈夫・・・護られるだけが、勇者の使命じゃないもん・・・グレンちゃんは1人で戦ってるんだから、勇者の私が確り戦わないと」


ガンセキが叫ぶ。


「時間が無い、グレンが危ないんだ!! アクア・・・俺達の勇者を信じろ!!!」


アクアは口惜しそうに。


「もう!! そんなこと言われたら、従うしか無いじゃないか!!」


ガンセキの援護にアクアが回る。



セレスは1人その場に取り残される。



怖いよ、グレンちゃん・・・でも、グレンちゃんはもっと怖い思いしてるんだもん。


セレスは走り出す。


一体の犬魔がセレスの前方より走って近づいて来た。


セレスはグレンの言葉を思い出す。


『良いか・・・あいつ等は、仕掛けてくる時に飛び掛かる癖がある、怖がらないで飛び上がる寸前を確り見るんだ、タイミングさえ合えば、必ず一撃で殺せる筈だ』


頭では分かってるんだけど、それでも怖くて、確り見ようと思ってもタイミングが外れちゃう・・・その所為で浅い傷しか敵に与える事が出来なかった。


でも・・・私は勇者なんだから・・・勇気を持たなくちゃ。


セレスは走りながら、片手剣を構える。


ギラギラと鋭い目線を前方の犬魔は向けてくる・・・必死に何かを護ろうとする犬魔の目が怖い、でも怖くない!!


走りながら敵を斬る時、合わせるのは剣じゃない、腕でもない・・・合わせるのは、足の位置。


セレスは犬魔が飛び上がった瞬間に片足を一歩前に出し、残した足を前に出しながら斬り掛かる。





それは一瞬の出来事だった、犬魔が両断される。




・・・感覚が・・・掴めた・・・




セレスの纏う空気が変わる。


其処に今までの恐怖に満ちた、彼女の姿は無い・・・静かにその場に立ち止まる。


立ち止まったセレスに、4体の犬魔が彼女を囲い、逃げ場を塞ぐ。


静かに片手剣を構え、残った片手を前方に翳す。


その一瞬・・・セレスの造り出した空気が、犬魔4体を飲み込んだ。



後方より1体の犬魔がセレスの背中に向け飛び掛る。


セレスは片足のみを動かしそれを避けると、すぐさま片腕を前に出し、通り過ぎた犬魔に雷撃を放つ。


それを見た他の犬魔は、一斉に姿勢を低くする。


3体の犬魔が同時にセレスに飛び掛る・・・セレスは両腕を左右に広げる。


その瞬間、セレスの体が光に包まれる。



全身放雷、全身雷撃発射。


セレスに飛び掛った犬魔達は、同時に地面に落ちる。



・・・私は・・・勇者だから・・・。



セレスは走り出す。


今ので、何か精神力持ってかれちゃった・・・上手く戦いに集中できない。


護られるだけの勇者なんて・・・やだ。


・・

・・

・・


ガンセキは杭から一度手を離し、アクアに語りかける。


「グレンはもう大丈夫だ、セレスの護衛に戻ってくれ」


「ガンさん・・・大丈夫?」


ガンセキの疲労は他の3人とは比べ物にならない、大地の目で戦闘範囲を把握し、グレンと自身を守り、尚且つ全体の指揮を取る。


「大丈夫だ、セレスの援護に回ってくれ」


セレスちゃんを一人にして置く訳にも行かない・・・。


アクアはセレスの下に向かう。


・・

・・

・・


その後も戦闘は続く・・・だがセレスが予想以上に戦ってくれた。


一人取り残された状態で、5体の犬魔を撃破するとは。


そのお陰で戦いが、かなり有利になった。


残り10体前後まで俺達を狙う犬魔は数を減らしていた。



ガンセキはグレンの様子を見る。


先ほどの危機を抜けてから、グレンは逃げては戦い、その戦法を繰り返す事により、あいつを追っていた犬魔は残り3体まで数を減らしている。


・・・残った3体の犬魔、特に小さい奴は・・・他より強いな。


ガンセキは、セレスとアクアに叫ぶ。


「グレンが敵を殲滅出来そうだ!! 俺がサポートに入る、2人とも俺の護りに回ってくれ!!」


俺達を狙う犬魔も、残り10体前後だ・・・3人が一ヶ所に固まっても、この数なら囲まれようと何とか出来る筈だ。


2人がガンセキの下に到着する。


「俺は完全にグレンの方に回る、自身の身すら護れなくなる・・・頼んだぞ2人とも」



ガンセキはグレンに言葉を送る。


『グレン、他の2体は俺が相手をする、お前はヤバそうなのを相手にしろ』


グレンは頷く。


恐らくだが、俺が相手をする2体も、小さい犬魔ほどではないが、群れの上位に位置するツワモノだ。


工夫をしないと仕留められない、その為には完全にグレンのサポートに回る必要があった。


・・

・・

・・


グレンを追っていた15体の殲滅に成功した・・・間違いなくボスが来る筈だ。


いや・・・既に最初から居る可能性がある。



ガンセキは1体の犬魔を見る。


俺達を狙っていた25体の中に、最初から攻撃を一度も仕掛けてこない犬魔が居た。


・・・だが、奴がボスとは俺には思えない・・・何故なら、その犬魔は年老いて戦力とは思えない程に弱々しいからだ。


でも間違いなく40体の犬魔を指揮しているのは、この老犬魔だ。


2体の犬魔が老犬魔を護るように、常時傍に立っているからだ。


力こそが全てである、犬魔の群れに置いて・・・考えられない事だ。




老犬魔は静かにグレンの方を見ていた・・・グレンを追っていた15体の殲滅を確認すると、次は全体を見渡した後、目を閉じる。


この老犬魔は確かに戦力としては、もう使えないかも知れない、知能も所詮は他の犬魔とは変わらないのかも知れない。


だが年老いたその体には、これまで生きて来た道が刻まれていた。


老犬魔は少し前に進む・・・どうやら後ろ足に完治出来ない傷を持っているようだった、上手く歩く事すら出来ないのか。


老犬魔が立ち止まる、次の瞬間だった。


その鳴き声は、見た目からは想像出来ないほどに強く、誇り高き者だった。


「ボスを・・・呼んだのか?」


間違いない、この老犬魔が若い頃は、ボスを務めた程の強者だったのだろう。




偉大なボスは歳を重ね力を失うと、その誇りを護る為、若い者に後を託し、自ら群れを離れ最後の時を孤独に迎える。


この群れのボスは・・・そんな老犬魔の誇りをも屈服させ、自らの群れに留まらせたのか。





・・・普通じゃない・・・異常だ・・・





この群れも!! この群れを纏めるボスも!!





ガンセキは大地の声を使うのを忘れ、グレンに叫ぶ。


「グレン!! 気を付けろ、ボスが来るぞ!!!」



ガンセキは両腕を大地に添えて、塒の動きを調べる。


塒には動きがあった、大きな闇魔力が此処に向けて動き出している。


・・・馬鹿な・・・ガンセキは驚きを隠せない。


塒にはボスを含めた数体の犬魔が居ると思っていた。



一ヶ所に固まっていたから、勘違いしていた・・・此処に向かっているのは1体のみ。




「これだけの群れを率いるボスだ!! 単独と同等か、それ以上の力が有ると見て、間違いないぞ!!」




ボスが到着する前に、此処に居る犬魔を全て片付けなくては。








2章:五話後編 おわり










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