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炎拳士と突然変異  作者: 作者です
10章 朱の火
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三話 争いの炎

森の中。木々の間隔は広いのだが、地面には雑草が生えている。しかし土の質は良く、草も刈ったばかりのようだ。


道なき道。それでも昔は道だった。


人がその道を使わなくなっても、獣はそこを通るかも知れない。そもそもこの地はまだデマドに近いため、人気がなくなったのも二十年ほど前の話しである。


町と村の中間ということは、住人もそれなりに多い。


デマドという村にも、やはり歴史があるのだろう。



野宿地から離れた二人。夜という闇の中で、明かりは青年の両手だけ。


千年の時が流れても、人と魔物の関係は、殺すか殺されるか。それと本気で遊ぶのなら、どんなに力があったとしても、死ぬ覚悟は必要である。


「どうやら敵さん、動きを止めたね」


火炎団には土使いが少ないため、明火から魔物具をいくつか支給されており、フエゴもそれを所持している。


手持ち式の魔物具は左手に。


木の杖は右手に。


「練習が必要なんでしょうけど、やっぱ探知に優れた魔物具は凄いっすね」


土の領域は便利な魔法だが、意図して存在を隠す術も多く確認されている。それと違い野生の勘は魔法とは別物であるため、そういった見落としの対策になる。


「ですが。夜でも理性を保つことができる魔物ってのは、ちっと厄介です」


ここは祈願所でもなければ、あらかじめ用意されていた野宿場でもない。


「そりゃ優劣はあるけどさ、どの魔物も危険の察知くらいならできるのよ」


町や村。そういった安全と引き換えに、人はその能力を退化させた。


「グレンちゃんの左腕だって、やろうと思えばできるんじゃない」


「言われてみれば、確かにそうっすね」


むしろ犬魔は探知系の魔物具として有名である。



ガンセキの提案。その真意。


まず逆手重装を黒手へと変化さる。


全身の魔力を一度消し、再びまとう。


「すんませんが、明かりを消して良いっすか」


「嫌だ。おいちゃん暗いの怖い」


グレンは無視すると、両手の火を消したのち、闇に身をゆだねる。


恐怖を糧に。音を肌で感じ。臭いを探る。


「ボルガよりも小さい。でも体重は奴より上だな。属性は解らねえけど……豚か?」


「豚の場合は群れじゃないの? 狂化種にしては小さいしさ、それにさっき自分で言ってたじゃない」


二人の存在に気づき、相手は足を止めている。


闇の支配が強まる空間で、人間への憎しみよりも、警戒心などが上回る魔物。それが狂化種とは考え難い。


「今まで豚と戦ったことある?」


現状で明かりなしは危険なため、グレンは両手に火を灯すと。


「勇者の村周辺にはそんないませんが、ユカ平原から時々流れてくるんで、戦った経験ならあります」


「まあ草の多い平原だし、昔は農業が盛んだったんだろうね」


牛魔の数が少ない理由はわからない。


「獣が人の手により家畜となり、黄昏を迎えて再び野生化した」


では。家畜とはならなかった獣は、どのような進化を遂げたのか。


「古代種族の中には人と交わったのもいるけどさ、それを拒んだ連中も多い。一緒にすると神官さまに殺されちゃうんだけどね、良い例えだと思わない?」


どんなに姿は似ていようと。


「猪であることを誇りとした魔物がいる」


豚の狂化種ほどではないが、雄は雌よりも体格が良く、鋭い大きな牙をもっている。


「同じ魔物と勘違いして挑めば、グレンちゃんでも死ぬかも知れないよ」


それは緊張感のない声だったが、次の瞬間にフエゴは動く。



まるでグレンの微かな明かりを掻き消すかのように、周囲の木や雑草が燃え始め、一気に視界が開ける。


赤の領域。山中の風が火を揺らし、闇を彩る。


そこに一体。家畜に似た、見覚えのある魔物。会話をしているうちに、いつの間にか猪は二人に接近していた。


炎魔豚の雄よりも一回り大きいが、やはりそれはどう見ても豚の魔物である。


一瞬、雌かとも考えた。だが雌は強靭な顎で噛み付いてくるぶん、これほどの牙を有していない。


「強化種に成りかけの雄も理性は残ってるけどね、まだその頃は群れであろうともがいてる」


気がつくと、グレンはいつものように笑っていた。



拳はそこまで強く握らずに、今の喜びを猪に向ける。


「視界を確保してくれんのは有り難てえが、ここまで派手に燃やしといて、魔法炎を維持できんのか」


「そうは見えないかも知れないけど、火力は低位のままなのよね。それにこんくらいの制御ができないと、着火眼を次の段階には移せんよ」


オッサンの言葉を鼻で笑うと、もうグレンの目には猪しか映っていない。


「豚じゃねえ」


戦いたい。


「女も男も関係ねえ」


興奮したい。


「狂化種ですらねえ」


勝ちたい。


「それでも、強い」


今を、実感したい。



この一時だけで良い。


自分が、赤の護衛だという事実を。


「豚が動かないことを条件として、俺なら直線で四秒もあれば接触できる」


この位置から着火ができるか否か。


「できんなら、オッサンは一瞬でいいから奴の動きを止めろ」


言うと同時。いや、言ってる最中にグレンは走りだす。


正面からでは猪には敵わない。たとえ突進の隙を与えなくとも、この相手には牙の振り上げがある。


ならば周りこんで、相手の側面を狙う。牛魔ほどの巨体ではないため、身体を倒してくる程度であれば、グレンでも対処は可能だろう。



オッサンは黙って従う。彼が杖先で草の茂る地面を小突くと、猪の大きな鼻が火元となって、炎魔豚のように顔面が燃え始める。


だが相手は驚かない。というよりも、炎の熱に気づいていない。


フエゴはこれまでの経験からなにかを察し、今までとは違う口調で叫ぶ。


「こいつは土属性だ、表面に岩がこびりついてるぞ!!」


腕だけならば岩篭手。


頭だけならば岩兜。


足だけならば岩靴。


全身を岩で包めるのなら、それは並位上級であり、土の領域からも身を隠す。


魔物に岩の鎧は使えない。だがそのかわりとして、岩の皮膚という黒魔法を使う種が確認されていた。



グレンは考える。自分の攻撃が猪に通じるのかを。


この戦場。土は乾いているが、草は湿っている。


走撃打は威力が落ちる。本気・一撃の拳打は隙が大きい。


岩の皮膚を有しているのなら、蹴りも猪の一歩手前で踏みこむ必要がある。


鎧(皮膚)の内側だけを破壊する。そういった人内魔法が存在するかも知れないが、グレンには練りこんだ魔力をどのように動かせば良いかわからない。


そもそも相手が猪である以上は、豚が死ぬ攻撃を耐え切る肉体をもっていると考えるべき。



顔面の炎は少しずつ火力を上げながら、胴体へと燃え広がっている。しかし岩の皮膚により熱が地肌に届いていない。当然、それでは猪も怯まないため、迫ってくるグレンのほうに牙を向ける。


相手が身体を動かすとき、各関節から土が落ちているのを確認した。恐らくそこが脆いのだと思われるが、下顎から突きでた牙が、グレンにその部位を狙わせない。



ここで止まればその隙を突かれ、突進の餌食となる。


速度を落としたり、進行方向を変えるのも危険。


《……どうする》


牛魔のときとは違い、この場にはボルガはいないため、地流しは使えない。


岩鎧の特徴。着火眼。断熱の皮膚。


「おい、ハ……オッサン!! たぶんこいつ靴履いてねえぞ!!」


魔物具はすでに腰袋に閉まってある。もう片方の手には未だ杖が握られているが、それは宝玉具ではない。


義足玉具という可能性もあるが、彼は別に足が悪いわけではなく、杖も肩に担がれていた。



物語の魔法使いが持っていそうな杖。フエゴはそれを夜空に向けて振り回しながら。


「いつかの契約により、今ここに召喚する。いでよ、炎の性悪小僧……グレンチャン!!」


恐らくフエゴは召喚獣なるものに憧れているのだろう。しかし残念ながらグレンは最初からこの場にいた。


そのかわりかどうかは不明だが、猪の前足が燃え始める。それは直接焼いているのではなく、地面から発生している炎であった。



岩の鎧は関節部を土に変化させるため、動きだすのに手間どる。靴底が岩のままでも移動は可能だが、足首や指の力を地面へと送るのが難しい。


突進を武器としているのだから、その部位もまた弱点の一つであり、炎の熱も地肌に届きやすい。手型の炎放射で足裏を狙うのは困難だが、炎走りと着火眼ならば用意に実行できる。



猪は熱さに怯み前足を燃える地面から遠ざける。その動作により生じた隙を、グレンが見逃すはずもない。


接近することはできたが、相手は未だ硬い皮膚に覆われている。


草が邪魔で足が滑るため、拳打での致命傷は難しい。


近づけたといっても、蹴りの動作に移って良いのかを悩んでしまったせいで、すでにその機会は逃している。


グレンは相手の胴体に手の平を添える。感触は生物のものではなく、命の鼓動を感じる岩だった。


だが触れたことで確信できた青年は、心の底から嬉しそうに。


「岩の皮膚も鎧と同じで、内側には隙間がある」


掌波。触れた位置が下部であったため、猪は一度宙に舞ったのち、後方の樹木を圧し折って地面に激突する。


岩の皮膚には亀裂が入る程度であったが、恐らく中身は相応の手傷を負ったはず。



だがまだ勝負はついていない。オッサンはグレンの背中に向けて。


「岩の鎧と岩の皮膚はさ、重鎧と軽鎧みたいなもんだ」


皮膚・鎧系統の魔法は共進型といえるため、猪が身体を起こすと同時に亀裂は修復されていた。


「まあ、でもなんとなく中身の想像はできたからさ、グレンちゃんは下がっとくれ」


そう言うとフエゴは顔面の炎を鎮火する。そこに残っていたのは焦げ跡のみで、中身は火傷を負っていないと解る。


「ざけんな。この状況で下手にさがると、こいつ俺を狙ってくんだろ」


戦いに興奮していたとしても、グレンだって人の話は聞いている。


「そりゃそうだね。ふんじゃさ、おいちゃんがまた隙つくるから、この戦いの締めは任せるよ」


フエゴは杖を両手に持つと、今度は夜空に円を描く。恐らく、この行動にはなんの意味もない。




数秒後。なぜか炎は未だ発生していない。だが猪は、その場で悶えていた。


次の瞬間だった。岩皮膚の弱点と思われる部位から、真っ赤な炎が噴射する。



グレンは声を発する。それは笑い声だが、いつもの不気味さはない。


「逆手っていうぐらいだから、刃物を逆手にもった状態で炎を灯すのかなって考えてた」


思い返せばガンセキは、あのとき逆手重装の構造を観察していた。


左腕だけ重装備。この武器にも、弱点ではないが隙間がある。


「内側からってことかよ」


グレンの左手は戦闘が始まる前から黒手となっている。


油断はしない。相手に止めを刺すために、ゆっくりと足を進める。



岩の皮膚や鎧をまとっていると、魔力の発散が難しい。だからといってそれを解いた瞬間に、炎ではなく拳打の連撃を受けるだろう。


構えを崩さないまま、グレンの間合いに猪が入る。


しかし相手はまだ諦めていなかった。体中から炎を噴射させながら、猪はグレンに体当たりを仕掛けてきた。


だが拳士はその攻撃を読んでいた。魔犬の爪は硬い皮膚を突き破ると、内側の柔らかい皮膚ごと引き裂く。



黒魔法に魔犬爪を使わないほうが良い。そう考えていたとしても、実戦でルールを守れるほど、彼は人間ができていない。


岩の皮膚は共進型の魔法であるため、相手は嫌でも動きを止めるしかない。それが僅かな隙だとしても、グレンからすれば充分な時間であった。




戦闘には予想外の事態はよくある。


それでも今回の失敗は、原因が簡単にわかる。


魔犬の爪。グレンとガンセキは、これの能力を完全に把握していなかった。


岩・氷からは魔力を奪えるが、水・炎・雷からは不可能だと、二人は思い込んでいた。




燃え移った物体を爪で引き裂けば、その魔法炎から魔力を奪える。


魔物の命を蝕んでいた炎が、先ほどの攻撃により消えていた。思わぬ現象に驚いたせいで、止めの一撃がわずかに遅れ隙となる。


猪は胴体をグレンから遠ざけると、その反動を利用して顔の半面をぶつけてくる。とっさの判断で逆手重装を動かし、相手の顔面当てを防御するが、予想以上の衝撃にただの人は吹き飛ばされた。


だが所詮は苦し紛れの反撃である。互いに魔力をまとっており、威力も呼吸法と身体の捻りで大分流すことに成功した。


それでも問題は別にあった。この状態は掌波に近く、激突するのが地面ならば受け身をとれるが、残念ながらここは山の中である。


樹木を圧し折る速度で吹き飛んではいないが、全身を打ち付ければゼドと同等の怪我は免れない。




グレンは心のなかで、憎き相棒に語りかける。


さっき魔物の生身を引き裂いた。魔力は自分のものをくれてやる。


助けてではない。力を貸せと、真面目な馬鹿は訴えた。


・・

・・


地上二m。


燃えさかる黒炎が木とグレンを一つに繋げていた。全身の魔力は樹皮に吸い付き、地上と違い重さはあまり感じない。



まずは近場の木に飛び移る。


予想以上に枝が邪魔で、予定していた地点からかなり外れていた。


地上三m。まだ上がある。グレンは左腕と残りの手足を使いよじ登る。



フエゴは最初に彼が跳び乗った木の下で、そこにいるはずのグレンを探していた。


猪は先ほどの場所から動いてない。岩の皮膚はすでに剥がれ落ち、今は焦げた毛と火傷した皮膚が外気に触れている。


相手は自分に気づいていない。なにより側面をこちらに向けている。


まだフエゴは周囲を炎で照らしてくれていた。


この体格で木々の間を動き回れば、猪に勘づかれてしまう。






気づけばグレンは夜空に向けて飛び上がっていた。


地上十m。漆黒に包まれた化け物が、星と月の輝きにより全貌を晒していた。


まだ猪は自分に気づいていない。


己の身体と魔物の肉体が激突する位置を計算すると、グレンは地面に魔力と拳心を混ぜたものを向ける。


闇の塊は赤い線を描きながら、物凄い速度で猪に引き寄せられていく。


だが猪は野生の獣。危険を感じとったのか、一瞬の判断で前に跳ね、グレンの激突を免れる。


湿った草が舞い散り、乾いた土が黒い塊を隠す。


全身が重くなり、痛みも残る。だが二度目ということもあり、対策は立てていた。


闇魔力で攻め、光魔力で我が身を守る。



グレンは現状と軽鎧の重さを合わせると、猪の存在する方向に赤眼を向ける。しかしそこに魔物の姿はない。


「後ろだ!!」


フエゴの叫びに助けられ、振り向きざまに逆手重装を振る。


爪と牙は音を立てて重なり、化物と魔物の力が拮抗する。


気づけば辺りの明かりは消え、完全な夜が一人と一体を包んでいた。







その手に闇を練り込み 誇りを引き裂け








力と強度は拮抗していたとしても、切れ味はこちらが断然上。


牙は音もなく切断され、虚しく地に落ちる。


禍々しい姿となった左手は、鞘へと帰るかのように、もとの形に戻っていた。



グレンの身体から闇が消えた。


魔物は未だ立っていた。


その瞳にはすでに感情はない。


怒りもない。


憎しみは。


誇りを失い、狂化する。


青年の脳裏に女性の笑顔が映る。


敗北の言葉を拒み、グレンはその一瞬で必死に考える。


だが、答えはでなかった。




その時であった。本物の化け物となった猪の足下に、小さな火が灯る。


山の中で風が吹く。


だがその明かりに、変化はない。


突如燃え上がった炎は柱となり、一体の化け物を包みこむと、天に向けて聳え立つ。


「グレン……その場から離れろ」


振り向けば、そこにはフエゴが立っていた。


餓鬼は戦いが終わったことを察知し、素直にうなずくと大人の隣までさがる。



恐らく高さは周囲の木々と変らない。


周囲には強い風が吹いていた。しかし、その炎に揺れはない。



グレンは瞬きも忘れ、立ち上がる炎の柱を見つめながら。


「触れる……炎」


「硬度や重さを上げる方法は今のところ不明だけど、所詮はただの炎だよ。防御に重点をおいた魔法と比べれば、簡単に壊されちゃうね」


現に自我を無くした猪により、炎柱は今にも倒れそうである。


「でもおいちゃんはこの魔法をね、文明として表現してんだ」


炎の柱を倒すのなら、相応の危険を覚悟しなくてはいけない。


「この国が王政になったとき、今でも世間向けの知識では、無血だったと言われている。でもさ、ちょっと調べりゃ解るじゃない」


剣と剣だけが、戦争とは限らない。


陽の光が当たらない場所で、多くの争いが繰り返されていた。



猪は炎柱の幹を圧し折る。だがそれは地面には倒れず、周囲の木々に引っかかって止まる。


「触ることができても、炎という事実は変らないのよ」


傾いた炎柱は、支えていた枝を焼きながら、少しずつ大地へと迫っていく。


猪は岩の皮膚をまとうことも忘れ、近くにいるグレンとフエゴを探す。しかし濁ったその瞳に、彼らの姿は映らない。


化け物は誇りを失ったその顔面を、先ほと自分が倒した炎柱に打ちつける。



ゆっくりと、フエゴの魔法は地面に触れた。


それはまるで高位魔法のように、轟音をまき散らしながら周囲に燃え移り、ついには狂化種の肉体を焦がし始める。


文明。政権。支配。



男は炎の領域を見つめながら。


「知ったようなことは言えないけどさ、そういったもんが崩れるときは、どんな形であろうと炎は燃え上がるのかなって。そんなおいちゃんの妄想が、この魔法なんだ」


魔力で火力を上げるのではなく、発展と衰退の力で炎を燃やす。


「手型も足型も、おいちゃんたちも。炎使いは虫に好かれる」


その言葉で我に帰り周囲を見渡せば、炎の領域に吸い寄せられたのか、小型の魔虫がこの場所に集まっていた。


「おいちゃんたちはさ、自分たちの守りたいものを護るために、ほかの生き物を焼き殺すんだ」


争いの炎が静まる。そうすれば新たな文明が、政権が、支配層が誕生する。


一つとは限らない。


気づけば炎の領域から、五本の炎柱が生まれていた。


「この数を倒すとなると、おいちゃんにはもう制御できない」


フエゴは発生した炎柱を三本消すと、残った二本を倒し、魔虫ごと周囲の木々を飲み込んだ。


争いの炎は、新たな柱を出現させることもなく、そのまま鎮火した。






全てが終わり、再び二人は闇に包まれる。


グレンでなくとも誰でも気づく。



赤の護衛は火炎団の団員に問う。


「あんた……魔獣と戦ったことはあんのか」


先ほどの魔法は並位どころか、すでに高位下級をも突破していた。






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