十一話 花の香り
早朝の澄んだ空気は、村内に平穏をつくりだす。そんなデマドの修行場を使っているのは、大柄の兵士だけであった。
ほかの属性兵は出発の準備などをしているのに、その者は一人で黙々と修行をしている。彼の鎧は砂埃にまみれており、そこから判断すると、すでに何時間も同じことを繰り返しているのだろう。
大男は前方に岩の壁を召喚すると、地面に突き刺していた双角を抜き、ゆっくりと構えを整える。
壁までの距離は二十m。この位置から走りだし、対象を破壊することが、今の短期目標となっていた。
牛魔との戦いでは、付かず離れずを意識する必要がある。グレンから教わったそれを、彼はこの修行にも取り入れていた。
ボルガは一歩後ろにさがると、大きく息を吸い込んだのち、勢いをつけて走りだす。
巨体が残す足あとは深い。その身体が迫ってくるのは怖い。
しかしそれは見た目だけであり、相手が冷静を保っていれば、これは危うい攻撃といえる。
岩壁と双角は数秒で接触し、乾いた音をその場で鳴らす。
最高速ではなかったとしても、本来は当たれば死ぬ威力である。だがその一撃は壁に突き刺さるだけで、破壊するまでには至らなかった。
そのまま壁を持ち上げようとするが、人間にそれができるはずもない。
ボルガは破壊を諦めると、牛魔双角から離れようとする。だが強く握っていたせいか、硬直により柄から手が放れない。
やっとの思いで指を開けば、血と汗が空気に触れ、痛みが手の平に残る。
今回の突進も失敗であった。長時間の訓練を行っているのに、なぜ壁を破壊できないのか。
時間や金などを筆頭に、決められた制限の中でなら、失敗も経験という言い訳が成り立つ。ただし次に活かそうとしなければ、それらは全て意味をもたない。
結果を残せなければ、信用を失うだけでなく、非難されることもある。
ボルガは先ほどの突進を振り返る。
走っているとき、双角の先端は揺れが大きく、前方の壁に狙いが定まっていなかった。
岩の壁にばかり意識を向けていたせいで、体重が背中側に片寄ってしまい、仰け反った走りになっていた。
これは上位突進系の魔物具だが、専門の職人が制作したものではない。それでも通常の岩壁であれば、破壊だけなら難しくないと思われる。
「もっと離れた場所から走りださねぇと、岩の壁を壊すなんて無理なんだな」
これまでの修行でも、最高速の突進は行っている。だがそれでも破壊できるのは六割ほどであるため、まずはこちらを完璧にするべきとボルガは判断した。
デマドの修行場は立派だが、レンガのそれと比べれば狭い。
ボルガが魔法の維持を止めたことで、岩の壁が崩れ始め、突き刺さっていた二槍が地面に落ちる。
最高速で突撃をするには、離れた場所に岩壁をつくる必要があった。
遠距離になるほど、狙った位置というのは難しくなる。彼が正確に召喚できるのは五十mであり、その数字はガンセキと同じだった。
失敗の原因は自分の魔法にあるのだが、頭が悪いから気づけない。
ボルガは離れた位置に頑強壁を召喚すると、自らも修行場の隅へと足を進める。
肩に乗せた魔物具は、彼の体重を強化する。地面を踏みしめるその姿は、草原の覇者を彷彿させる。
男は立ち止まり、視線を壁へと向ける。大きく息を吸い込むと、担いでいた牛魔双角を握りしめ、走りだすための準備を始めた。
属性兵と岩の頑強壁。これだけの距離があれば、衝突の威力は凄まじいものだと予想できる。
しかしボルガが最初の一歩を踏みだそうとした瞬間であった。それを阻むように、何者かが背後から声をかけてきた。
「力みすぎだ馬鹿。そんなんじゃ突進の再現にもならねえよ」
彼が振り向くと、そこにはグレンが立っていた。
「いきなり失礼な奴だな。おれは馬鹿じゃねぇぞ、ちょっと頭が悪りぃだけだ」
「悪かった、これは癖だから気にすんな。お前みたいに一生懸命な奴をみると、心の底から馬鹿にしたくなるんだ」
ボルガは頭をかきながら。
「おめぇ最低だな。そんなんだから命狙われんだ」
「まぁ良いではないかボルガくん。もしまた襲われたら、そのときは一緒に戦おう」
大きな身体が目立つから、ボルガに注目を集められるかも知れない。このようにグレンは考えているようだが、もちろんただの冗談である。
そんな相手の含み笑いが怖くなり、ボルガは一歩さがると。
「目が死んでるんだな。おれは心が純粋だからよ、腐った性根は臭いで解るんだ」
「へっ 自分で言ってりゃ世話ないな」
などと返事をするものの、なぜかグレンはこのやり取りに覚えがあった。
「おめぇ顔が赤いぞ、変なもんでも食ったのか」
「お前みたいな糞デブと一緒にすんな。落ちてるもんなんか食わねえよ」
すこし前まで元気がなかったようだが、グレンはいつもの調子を取り戻したようである。
「おれはデブだけどよぉ、クソじゃねぇぞ」
「食ったぶん大量に糞してんだろ」
元気になった変わりに、口の悪さも倍増していた。
「ひでぇ奴だな。そんなこと言って、もしおれが泣いちまったら、おめぇは楽しそうに笑うんだな」
「だからお前は馬鹿なんだ、これはお茶目っていうんだよ。そこを理解できないと、俺の可愛らしさを知ることができねえぞ」
頭の悪いボルガにも、グレンの気持ち悪さだけは伝わっていた。しばらく白い目を向けられると、彼も恥ずかしくなってきたのか、話題を最初に戻す。
「お前の走り方を見させてもらったけどよ、確かにそこまで問題はねえが、双角のせいで腕を振ることができてないんだ。牛魔の走り方を思いだしてみろ」
両腕に片手槍をもった状態で、人間の走り方をするのは難しい。
グレンは相手の右腕に指を向け。
「あとそれ……牛魔の左角じゃねえのか」
顔を真赤にすると、ボルガは左右を持ち替えて。
「今おれのことよ、おめぇ馬鹿だと思っただろ」
「気にすんな。お前は少し頭が悪いだけだ」
本当は馬鹿だと思っていたが、グレンは気を取り直し。
「柄の先を握ったら、あまった部分を脇に挟め。肘は直角に曲げたままにして、たとえ壁に衝突しようと、基本はそのまま絶対に動かすな」
相手の口がどんなに腐っていても、ボルガは言われた通りの姿勢をつくる。
自然と双角の先は、足もとの地面に向けられていた。破壊の対象が壁であったとしても、先端をそれに合わせる必要はない。
「お前の腕は角の補助であり、牛魔双角の一部でもある」
両脇を角の生え際として、牛魔の頭をボルガの胸とする。
「利き足と胸部に意識と体重を集めろ。腰はできるだけ曲げんなよ、利き膝と胸だけで構えをつくれ」
ボルガは右足を一歩前にだし、膝の曲げ伸ばしをなんどか繰り返すと、しっくりきた位置で動きを止める。意識せずとも左足の爪先は、大地から離れていた。
グレンは相手の足もとを見つめ。
「左の靴底で地面をこすりながら、牛魔の角に魔力をまとわせてみろ」
始めは姿勢が崩れないように小さな動き。曲げていた右膝を伸ばすと同時に、左足の爪先が土をさする。
黒膜化には高位下級の魔力を必要とするが、人内魔法の燃費は光魔法よりも優れている。
やがて角から闇が発生し、前腕は黒い霧に覆われる。しかし柄の吸い込みは不十分であり、上腕には漏れた魔力が残っている。
闇を目視できることに、ボルガは驚きを隠せない。しかし彼は感じていた、この体勢に牛魔双角が馴染んでいると。
「今はなにも考えるな。自分を牛魔だと思い込め」
残念ながら彼には、グレンのような芸当はできない。
「俺も人のことは言えねえが、闇魔力を恐れんな。それに身を任せるだけでもいい。今は牛魔の角を感じろ」
慣れない動きが身体に馴染むまで、ボルガは同じことを繰り返す。
右膝を動かし、左足で地面をこする。最初はよろめいていたが、徐々に安定が増していく。
異常なまでの前傾姿勢となっているが、下半身と胸部の重さが均衡を保つようになると、右足の付け根に軸が生まれる。
呪いはなくとも、魔物の素材にはなにかが残る。
気づけばボルガの鼻息は荒くなり、靴底が容赦なく大地を削っていた。
壁を壊すことなど、すでに彼の頭にはない。魔法の維持を放棄すれば、頑強だろうと壁は土に帰る。
しかし崩れた壁の先には、進路を妨げる者が立っていた。
となりでグレンがなにかを言っている。その口調には焦りが混ざっていたが、もうボルガの耳には届かない。
平和な村の内側で、ボルガが咆哮する。
その叫びは人間への憎しみ。
その怒りは邪魔者への罵倒。
ただ草原を駆け抜けたいという感情が、魔物の悲鳴には宿っていた。
二足の牛魔は地面を抉ると、妨げる者に向けて走りだす。
人間の体重で大地を揺らすなど、本来はありえない。聞こえるはずのない地鳴りを、ガンセキは肌で感じていた。
盾国は魔物具が禁止されているため、戦場では使っている者を見たことがない。しかしこの国はそれが盛んであり、旅をしていれば目にする機会は多い。
だが今までの記憶とはなにかが異なる。
「闇魔力との相性が良すぎるのか」
突進系の魔物具は使い手を選ぶが、それは体格だけが決め手ではない。
ギゼルの呼吸と走行法を身につけた者は、人間としての限界を超えた速度となる。だがこの男は牛魔との戦いで、グレンに大きく離されはしなかった。
専門の訓練など関係なく、ボルガの足は速い。
責任者は地面に手の平を叩きつけ、大地の壁を召喚する。それにより周囲の様子が見えないため、大地の目で外を確認しつつ、ハンマーで杭の尻を打つ。
魔物の本能を心に宿したボルガは、すでに標的の位置を聴覚で予測していた。
ガンセキが一つの作業を終えるたびに、牛魔は二本足で迫ってくる。
本物の足音が責任者の耳に届いたとき、ただの幻聴が現実へと変化した。ものすごい恐怖は鳥肌となり、臆病者の心を縛りつける。
人間の加速は牛魔よりも優れていた。二足の動きは残像となり、後方に土埃を巻き起こす。
もう有余はない。
双角と大地壁が接触する寸前、その境に水が落下する。だがボルガは事前に気づき、即座に歩幅を合わせると、意識を胸から尻へと動かす。
それだけで体重が操作され、上半身が仰け反り、牛魔双角が高く持ちあがる。
全ては責任者の指示であったが、物事は思い通りには進まない。
ガンセキは焦っていた。
グレンが本物の牛魔にとった方法とは違い、走りながら双角を振り上げる手助けとして、アクアは水塊を落としたのである。
責任者は神言なしで大地の呼吸を発動させ、杭を引き抜くことで盾を造る。それと時を同じくして、牛魔双角が大地の壁に減り込んだ。
デマドに響き渡る轟音こそが、高位防御魔法を突き破った照明となる。
牛魔双角の先端は空に向けられ、大地の壁は土砂となって地面に流れる。
突破によりボルガの姿勢も崩れていたが、決河の勢いは止まることなく、そのままガンセキへと襲いかかってきた。
盾を完全防御形態に変化させる時間はない。責任者は咄嗟の判断で、片足を左前方に動かす。
このまま防ぐことができなければ、責任者は巨大な身体の下敷きとなる。だが成功したとしても、ボルガは大地の盾ごと壊れるであろう。
しかしこの魔法があったからこそ、今もガンセキはここにいる。
互いが触れ合う寸前だった、大地の盾は大きく広がり、そのまま牛魔を包み込む。たとえ手足を封じようと、まだ進もうとする意思は死んでいない。
ガンセキは冷静に身体を捻ると、力の流れを操作して、突進の軌道をそらす。
捕縛形態か解かれると同時に、その巨体は右後方へと投げ飛ばされる。二足の牛魔は宙に舞い、しばらくすると地面に激突した。
呼吸を絶っていた臆病者は、決着とともに恐怖を吐きだす。
左角は地面に落ちていたが、右角はボルガが確りと握っていた。
責任者は額の汗を拭うと、足もとの左角を見つめ。
「教わったばかりで……この威力か」
倒れているボルガと、痺れの残る自分の両手。それらを交互に眺めながら、ガンセキは微かな声で。
「牛魔走法」
レンガ軍からの、ボルガへの異常な扱い。
間近でみた彼の頑強壁は、黄の責任者だからこそ、本物だと一目で理解できた。しかしそれを抜きにしても、今の突進は同盟の武器となる。
ボルガの気持ちはガンセキも承知している。だがそれを知った上で、責任者の顔に闇が差す。
たとえ牛魔の再現だとしても、手放すには惜しい。
「もしアレが、この人材を求めたとすれば」
臆病者はあのとき逃げたから、頭に想いは響かなかった。
「敵にとって、籠城の脅威となる」
ガンセキは考える。ボルガの心境を操作し、戦場へと誘うには、どのように行動すれば良いのか。
気づけばその口元は、片方が吊り上がっていた。余程の悪人面であったのか、近づいてきたアクアは警戒心を抱きながら。
「ごめんよ、ボクも状況に応じて判断すべきだった」
グレンも後から追ってきて。
「だから言ったじゃないっすか」
ボルガは攻撃に決め手がない。しかし彼の身体能力に限っては、グレンにも底が見えない。
ガンセキはそういった反対を押し切ってまで、阻む者として存在することを望んだ。
「お前の言う通り、どうやら俺の判断に過ちがあったようだな。アクアに非はない」
赤の護衛は気づいていた。ボルガは同じ防御型であり、ましてや頑強壁の使い手でもある。
ガンセキは苦笑いを浮かべると。
「ボルガさんが自らの意思で望まなければ、俺にはどうすることもできんさ」
それでもグレンとは違う。三人を死なせないためなら、たとえ道を外れようと、この男は手段を選ばない。
対象はすでに上半身を起こしていた。
ガンセキはボルガのもとへ足を進める。自らが望む方向へ、相手を誘導するために。
「俺の独り善がりで、無理をさせてしまいました」
そういうと片腕を動かす。
「感情に呑まれちまったのは、おれの失敗なんだな」
差しだされた手を握ると、ボルガは自分の力で立ち上がる。
「だから、気にしねぇでくだせぇ」
ガンセキは微笑みながら。
「実に見事な突進でした」
しかしその目は笑ってない。
「ところでグレンから聞いたのですが、もし令状が届いた場合は、治安軍への転職を希望するとか」
治安軍について質問されただけであり、本当はグレンから詳細を聞いていない。
軍からボルガへの異常な扱いや、そのことに対する本人の反応。全ては繋ぎ合わせによる、ガンセキの予想であった。
「まだなんも調べてねぇですが、そうしてぇとは考えてます」
「自分の知識ですと、たしか部署を選ぶことはできません。それにレンガの治安に関しては、ボルガさんの方が詳しいと思います」
レンガ内の犯罪だけならば、現状でも人手は足りている。
そしてボルガの情報が治安軍に伝わっているとすれば、腕の立つ犯罪者を追って、彼は少数で国内を動きまわることになる。
ガンセキは上辺だけの笑顔を消すと。
「最悪を想定すれば、犯罪組織という線も考えられますが」
しかしその点に関しては、ボルガもすでに予想していた。
「そりゃあ運かも知れねぇですが、おれは治安軍を選びてぇ」
たしかにボルガは馬鹿だが、根本まで崩れてはいない。ガンセキの企みに関しては、薄々だが勘づいているのだと思われる。
「活動をレンガ周辺に限定している連中もいんだろ。どこかに入団するってのも、一つの道じゃねえか」
責任者の思惑には、赤の護衛も気づいている。それが自分たちの今後に関係してくることも。
「お前が人見知りなら仕方ねえが、そんな可愛げはねえよな」
それでもグレンはガンセキに牙を剥く。
「なあデカブツよ。母ちゃん大好きでも、別に良いじゃねえか……俺は笑わねえぞ」
青年はその発言を無視すると、小馬鹿にした笑みを浮かべていた。
「やっぱおめぇ腐ってんな」
グレンは必死に笑いを堪えながら。
「でも悪い話じゃねえだろ」
度を越えろば気持ち悪いだけかも知れないが、母親への強い愛情や執着心は、国によって線引が異なってくる。
「おれとしてもそれが一番なんだけどよ、ギルドだけは母ちゃんが絶対に許さねえ。それこそ縁を切られちまうんだな」
ボルガとしても、それだけは避けたかった。
「まあ、事情があんなら探らねえよ」
赤の護衛は素直に諦めた。
邪魔をしたグレンを責めることもなく、ガンセキはこのまま会話を続ける。
「期限が過ぎようと、同盟側の許可がなければ、都市軍への復帰は期待できん。ですがボルガさんの人権が働いている以上は、貴方の要望はいつか必ず通ります」
人類の黄昏から今日まで、国民の権利は少しずつ成長していた。
「もし八年が過ぎても同盟から許可がおりなかった場合は、自分が貴方の権利を主張します」
ガンセキが味方をしなくとも、その年月を生き抜けば、恐らく許可は得られであろう。
もっともその頃には、後戻りができなくなっている可能性もあるが。
「あくまでも決めるのは本人です。判断材料の一つとしてもらえれば良いかと」
ボルガはしばらく悩みながら。
「ちっと考えさせてもらいたんだな。それによぉ、まずは刻亀討伐が先なんじゃねぇですか」
すぐに答えをだす必要はない。彼を誘う時間はまだあるのだから。
アクアはずっと、この話しが終わるのを見計らっていた。
「なにを食べたらそんなに大きくなるんだい」
その瞳は期待で輝いていたが、答えたのはグレンであった。
「こいつは肉が嫌いでよ、そこら辺に生えてる草しか食わねえ。あと冬は干し草が主なんじゃねえか」
「おめぇが勝手に決めんな、それにおれは家畜になった覚えはねぇぞ。そりゃあよぉ、たしかに肉は好物じゃねぇけど、別に嫌いでもないんだな」
グレンは驚いて一歩さがると。
「うわっ マジだったのかよ」
「あっさりしたもんが好きだなぁ。濃い味つけは苦手だな、若い大豆とかを食いてぇな」
アクアは懸命にボルガの話しを聞く。
グレンは誰にも聞こえないように、精一杯の小さな声で。
「報われねえよ……アクアさん」
しかしそれは、相手の耳元から発したものであった。
アクアはグレンの頭を引っぱたく。
「このクソ野郎! 痛えじゃねえか、なにしやがる!」
「人の希望を踏みにじったんだ! 当然の報いなんじゃないかい!」
実に久しぶりの喧嘩である。
「仕方ねえだろうが! 一生懸命な奴みると、心の底から馬鹿にしたくなるんだ!!」
「思っててもそんなこと言っちゃダメだよ! 気持ち悪いよ! グレン君は気持ちがとても気持ち悪いよ!!」
アクアは唾を相手に飛ばす。
「この俺に向かって、二度も言いやがったな!!」
グレンも水しぶきをアクアへと返す。
「臭いじゃないか、汚いじゃないか……この腐ったクズ!!」
「俺のツバは汚くねえ!! きっとお花の香りがするはずだ!」
ガンセキが怒るまで、子供の喧嘩は続いた。
そのあとに待ち受けているのが、いつもより厳しい修行とは、今の二人には知るすべもない。
新しい武器を実戦で使うのは危険だと思っているので、こういった場面を取り入れたほうが良いと考えています。
このあとアクアも魔物具の訓練をして、今後も時間を見ては修行を続けていくと思います。
牛魔双角や水小蛇の腕輪は使い手との相性が良いけど、グレンと逆手重装は互いの戦闘スタイルで考えると、あまり合ってないのかも知れませんね。
組合でのセレスのお勉強は、作中に投稿する予定はありません。これと言って書くこともないので。
やっとですが、次回でデマド出発になります。
あとこの物語は一応異世界なんで、ラフレシアを超えるのがあるかも知れませんね。