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第七話 「完全対人型科学兵器 The Ball」

俺が穴へ落ちていくと、視界が突然暗闇に包まれる。そして、何も見えない暗闇から、声が聞こえてくる。

〔かつての天才科学者《Dr.ジェイク》が作り上げた数々の発明品…。〕

暗闇の中、突然、目の前に赤い血のような文字と

機械音が聞こえてくる。


(なんだこれ…まさかゲーム内ストーリー!?やっぱり存在してのか?)


〔いずれ訪れる“その結末”に向け、《Dr.ジェイク》は1900年間….数にして約12万台の傑作を作りあげた。〕

さっき戦った《オールドウェポン》もこの《Dr.ジェイク》とやらが作ったのか!?

そして、文字は消えて、また新しく目の前に現れる。

〔その中にもずば抜けた攻撃性・特異性を持ったメカ…。唯一自身の脳を分け与えた最高傑作…!〕

最後に、闇が光で晴れていくと共に、脳に声だけが残る。

〔【完全対人型科学兵器】またの名をThe Ballという。〕




「ハッッッ!!!」



俺が目を開けると、そこは穴から落ちた地の底であった。穴から一筋の光だけが照らされており、手元だけが見える。

俺は横たわっているハセシュンを揺らして起こし、周りを見渡す。


「なんだ…ここ」


暗闇に視界が順応していき、次第に全貌が明らかとなる。

20メートルはあるであろう高さの天井。床も天井も鉄製でできている。破壊はできないだろう。

俺は立ち上がり、奥へとゆっくりと歩いていく。

液体の溜まったガラス張りの機械…。

常に「バチバチ」放電している音が聞こえる。

左手を見るとレールがあり、見えなくなるほどの奥まで進んでいる。


「にしてもだな。」


ここは何がなんでもデカすぎる。全てが規格外。

暗い照明を頼りに進んでいたが、俺は一度引き返してハセシュンの元へ行く。

このデカさの機械を扱うとしたら…最低でも10メートルは必要となるだろう。

ハセシュンはすでに座り込み、アイテムを出していた。


「マップは開かなかった。ただここは普通ではいけない場所なのは確かだ。モンスターを倒すことが出現条件とするなら、モンスターの出現方法を探らなければならない。そしてこのゲームは完全PvPゲーム。敵モンスターの存在自体がおかしいんだ。」

「俺はモンスターに今日で二回遭遇した。しかし、少なくともネットではまだモンスターとの遭遇情報は0。つまり最低でも世界には知られていない情報。」

「楽しそうなのに間違いはないが…とりあえず戻る方法を探さなきゃな。」


俺たちが話していると、視界が暗くなった。いや違う。でっかい影が現れた。

大量のオールドウェポンだ。


「あ、これはまずい。」


豆電球が言い切る前に、二人のHPは0になった。

そして、最後に「タリンっ」と音が鳴った。

〔進捗【地底に眠る殺意を呼び起こせ。】を達成しました。〕



俺が目覚めたところはさっき訪れた村の噴水前であった。


「………うわぁ…死んだ。」


圧倒的数を目の前になす術なくリンチにされた俺はまだ混乱状態の心を一度落ち着かせてから、アイテム欄を開く。

アイテム欄には《オールドウェポン》のドロップ品がしっかりと入っていた。やはり俺は戦った。


「これってもしかして大発見?」


俺とハセシュンは《オールドウェポン》討伐後、突如として現れた穴に落ちていき、謎の文章と施設を発見した。


(《Dr.ジェイク》とか《The Ball》とか地底にある建物とか…色々多すぎだろ!?)


とりあえず頭を整理するために俺は死んだ穴のところに向かう。しかし穴はどこを見てもなかった。


「ハセシュンに合流しようにもログアウト状態か……?」

流石にハセシュンはアイテムを幾つかドロップしちまってるだろうし萎えたか?俺は時間もないしもう少しプレイすることにする。


ここで今起きていることを整理しよう!ほんまにリリース当日に色々起きすぎてやばいんだ。

まず今の目標は【P5戦の勝利】。そのためにアイテムや武器・レベル上げをしたい。


そして今追っている情報は【モンスター】だ。

まずまず、理由はともかくモンスターと遭遇しているのはほぼ俺たちだけと考えていいだろう。

まだネットにも掲示板にもそれらしき情報は載っていかったし、何より他のプレイヤーが遭遇していたとしても、全世界に共有していないのであれば、まだ情報としての価値は高い。

そして、さっき穴に落ちる時に聞いた声・見た内容。あれは確実にストーリーに関連すると見ていいだろうな。これに関しては地上世界でも幾つかすでに発見されている。ネットの考察サイトなどではゲームとしての世界観を深めるためのものと言われているが、俺からしたらボス級モンスターへの伏線にしか感じないがな。


「【完全対人型科学兵器】………その名もThe Ballか…!」

初めて半日経とうとしているのにPvPをほぼ満喫していないが、それもまた一興!このゲームは確実に“ナニカ”裏があるぜ!


「その裏、俺がひっくり返してやるよ…!」

俺が《Dr.ジェイク》と《The Ball》とやらを突き止めて、このゲームの真相を暴いてやる!!!




て、意気込んでたのが2日前の話。

それから二日間、一度もログインできませんでした!!!!!!!

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