置いて行かないでよ
悪夢にうなされてしまう主人公のお話です…
最近、私は奇妙な夢にうなされていた。
夢に出てくる場所には見覚えがない。けれど、どこか保育施設を彷彿とさせるような、子供のおもちゃや小さな遊具が所狭しと置かれていた。
ただ、一番私が気になっているのは、おもちゃのどれでもない。
天井である。
何かが吊り下がっているように見えるのだが、私には無数の紐と、うっすらとした影しか見えなかった。
よく見ようとすると、いつもそこで目が覚める。
これが数回続くだけならまだよかった。だが今では、毎日だ。
他の人に相談したところで信じてもらえるはずもないし、お祓いに行って解決するかどうかも分からない。結局、私は毎晩その夢を見続けるしかなかった。
目を覚ますと、フワフワした可愛いぬいぐるみのコレクションが、心配そうにこちらを見つめている。
「心配かけさせてごめんね。」
小さな頃から大好きだった可愛い人形たちは、私の宝物だ。
私はぬいぐるみの頭をそっと撫でた。
その日の晩も、私は夢を見る。
(またこの場所か……)
ため息をつきながら歩き出す。
出口を探すのは、とっくに諦めていた。ここはどう考えても広すぎるし、やっと出口にたどり着けたと思っても、同じような景色が続いているだけだと、何度も夢を見るうちに分かってしまったからだ。
(なんで私がこんな目に遭うの……?)
床には、ままごとセットやゴムボール、ソフトブロックなどが無造作に並んでいる。
懐かしいとは思うけれど、とても遊ぶ気にはなれない。
これまで、いろいろなことを試してきた。
おもちゃをいじってみたり、床に寝そべってみたり。
何をしても、現状は変わらない。
目を覚まし、その日眠ると、またこの夢を見る。
(何をすれば抜け出せるんだろう……)
そのとき、天井から音がした。
サワサワサワ……
見上げると、紐がゆらゆらと揺れている。
こんなことは、この夢を見るようになってから初めてだった。
思わず見入っていると、紐の先端にある「何か」の影が、少しずつ薄くなっていく。
ぼんやりとしていた輪郭がはっきりと見えた、その瞬間――私は凍りついた。
吊り下がっていたのは、すべて私が小さい頃に愛用していた、ぬいぐるみや人形たちだったのだ。
もう使わないからと、お気に入りのいくつかを残して、実家に置いてきたはずのものたち。
取り残された人形たちが、首を吊るようにぶらぶらと揺れながら、私を見ている。
「ねぇ…覚えてる?」
ひとつの人形が、そう呟いた。
「なんで、置いていったの?」
なんで? なんで? なんで? なんで? なんで? なんで? なんで?
人形たちが一斉にこちらを見つめ、口々に叫び出す。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
私は全力で走り出した。
両耳を塞いでも、その声は頭の中にこだまする。
なんで? なんで? なんで? なんで? なんで? なんで? なんで?
目が覚めた。
ドクンドクンと心臓が鳴る。眠っていたはずなのに、まるでフルマラソンを走ったあとのような疲労感があった。
シーツは汗でぐっしょりと濡れている。
(洗わなきゃ……)
安堵しながら、毛布をめくる。
その瞬間、息が止まった。
足元には、大量の人形がびっしりと並んでいた。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
リミナルスペースと、悪夢、人形という可愛さを組み合わせたホラー作品を作成出来たかなと思いますφ(..)
気に入ってくださった方は、是非他の作品も読んでくださると嬉しいです!
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(*゜∀゜)




