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第1話 最強と最弱

これは、最強と最弱の不器用なラブストーリー。


我は魔王として、数千年最強と言われてきた。

世界の標準の強さを元にしたレベルはカンストし、

日々自分を磨き上げて、魔王の名に恥じないよう、

「完璧」を演じてきた。

だが我にはどうしても分からないことがある。

''恋愛''だ。

自分以外との色恋など…分からない。

心が読めるわけもないのに。難しい…

特に心が読めないのが我の執事だ。

白くサラサラな髪に魔界の人間特有のツノが生えた

スーツを纏った紳士のような外見だが、

「ハァハァ…♡魔王様…私をカーペットにして

ランナウェイを歩き回りませんか!?」

このようなことを毎日言ってくる。

本当に意味が分からない。


ある日、我は偵察という名の散歩に出かけた。

魔界と人間界が和解して以来、特に目立った事件は

ここ数万年無く、何代も前から大きな戦争もない。

こんな事言うのもあれだが、すごい暇だ。

だからこうやってどっかに散歩したりするのだ。

「にしても綺麗だな…」

目の前に広がる泉は圧巻の景色だ。

森の泉は透き通ってて、鏡のように自分を映す。

回復効果もあるらしく、戦争の時代には

大変この泉が助けになったそう。

「飲んでみてもいいだろうか。」

掌で掬う。手のシワが見えるほど透明である。


ゴクッ


なんとなくだが力が湧くような気がする。

「これはいいな。ボトルで保存しておくか。」

保存は大事だ。いつ何時緊急事態に

陥るかも分からないからな。

水の入ったボトルを持ってきたカバンに入れ、

森の奥へとまた歩き出す。

大きな樹林を抜けた先で、彼に出会った。


足をプルプルさせながら、雛を木の上の巣に

返そうとしているデカいダークエルフを。

無表情だが、少しだけ汗をかいている。

彼は我の灰色とはまた違う褐色の肌で、

彫刻のような筋肉が姿を表している。

(なんで上裸なのだろう…)

話しかけてみることにした。

「お、おい…」

何故か足が震える。

「…?…んでしょう?」

彼がこちらを向いた時、周りに薔薇(の妄想)が

舞い踊っており、少し眩しかった。

心が何故かドキドキしてしまう。

「…?なんで…ょう?」

「あっいや、その何をしてるんだって…」

「い…まはさっき子供達に…落とされた

雛を巣に返してるところで…。」

なんと優しい!!

「そうなのか。」


「…」

話が続かないぞ!?やばいな…次の話題…

「そっそういえば、貴様のレベルはいくつ…」

「レベルですか…精密な検査…受けてませんね。」

ダメなのか!?えっと無理やりでも繋げれる方法…

あぁそうだ。カバンに入れておいた科学者の…

そうこれ、テッテレ〜 「レベルレーダー」


普通、レベルは正式な試験を受けないと

判定出来ない。しかしこのレベルレーダーでは、

肌を見るだけで、レベルが分かる様になっている。

最新の技術によって遂に完成したらしい。

「じゃあこれで受けてみるか?」

「…いいですよ。」

あれなんか独りよがりなのではないか?

まぁ…いいだろう。


パシャリ


「さてと、レベルは~」


--Lv 1--


!!?!??!?!??!?!


チラッ

「えっ…バグか?」

チラッ

チラチラッ「何回見るんですか…? 」

そう、この強そうなデカいダークエルフ、

生まれたてクラスの激弱だったのである。

「えっ…その筋肉で…その身長で…Lv1…」

「れべるいち…?ですか」

「確かダークエルフの平均レベルは60だった…

あと蚊の平均レベルは3…」


え、蚊以下なのか?

「確かに力は弱いし、すぐ怪我しますけど…」

あぁそんな悲しい顔しないでくれ…

「と、というか雛を巣に戻す続きやってくれ。」

「は、はい…わかりました…」


戻している途中。


ぐぅ~~

「…?」

「あぁごめんなさい。お腹が空いてしまって…」

「じゃあ…」

カバンをガサゴソ触る。

「この魔王城特製のサンドイッチ食べるか?」

「いいんですか!?ありがとうございます。」

食べ物を見た瞬間、目がキラキラして食いついた。


あむっ。


彼が口をこっちに持ってきた瞬間、

心がドキドキした。

ていうかこれ…


あーんなのでは?

えっえっあっあの、あーんとかそういうのは…


『説明しよう。魔王はあまりにもピュアなため、

あーんは結構破廉恥な行為だと判定している。』


「…?顔赤くなってますよ…?」

「い、いやこれはあれだ。その…」


「魔族の習性だ!」

「…そうなんですね。」

彼は木に戻って雛を巣に帰そうとした。

というか、その身長ならもっと早くできそうな

気がするが、やっぱりLv1だ。

我がほんわかしていた、その時。


「…わっ」

「危ないっ…!」

彼が木から落ちた。

咄嗟に守ろうとした我に神様からの悪戯か、

彼の胸が我の胸と触れ合い、顔が急接近した。

「えっ…あっ、えっ」

彼の体温が身体中に伝わる。

心拍数も上がり、顔が熱い。

「…ありがとうございます。」

彼は何事も無かったかのように、

我の胸から離れた。

「でも…少し足を怪我してしまいました…」

少し草に触れただけだが、切り傷ができていた。

「じゃ、じゃあこれを…!」

我はボトルを取り出し、彼の手に渡した。

「泉の水です。怪我に効くかと。」

「あ、ありがとうございます。この状態では

泉まで行けないと思ってたので。」

彼は水を怪我した部分にかけていく。

怪我がみるみる治っていく。泉の力は本当だ。

「…あ、あの、少し話があるのだが。」

「…?なんでしょう。」

「そ、その…もし良かったらなんだが、また私と

一緒に話をしないか?出来ればだけどな。」

我にはこんな告白が限界だった。

けど…彼は微笑んで、

「いいですよ。ちなみにあなたの名前は?」

と言ってくれた。

「我はゼリス。貴様、いやあなたは?」

「俺はガウルです。」

彼の笑顔が眩しい。この笑顔を守りたい。

それが魔王としての役目だと、我は悟った。

魔界の人間を守る。そうだ。

我はこのダークエルフ、ガウルを守る。


ゼリスさんと別れて1時間。

(あの人かっこよくないか!?)

ガウルは悶絶していた。

倒れて顔が急接近した時、

ガウルも実はドキドキしていた。

「あんな人と友達になれるなんて…」

そう、魔王のあの告白は、

やっぱり「友達になって」にしか思われていない。

「というか…あの人…」


「…何者なんだ?」

ガウルはゼリスが魔王だと気づいていなかった。

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