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第9話 涙と、約束

 執筆にあたり生成AIを使用しています。

(夜・アパート)


「小学校は和樹と別だったけど、私はずっと覚えてたよ」


 玲奈は穏やかに語る。

 少し昔話をするような、懐かしさを含んだ声で。


「高校に入って、また会えて、本当に嬉しかった」


 僕は何も言えなかった。

 視線を落とし、ただ、彼女の言葉を聞いていた。


「……」


「2年生になって、やっと告白できた」


 玲奈は静かに続ける。


 僕が玲奈の気持ちを信じられなくても。

 何度拒絶しても。

 彼女の気持ちは、変わらなかった。


「もう一回言うね……」


 玲奈は、僕をまっすぐに見つめる。

 そして、はっきりと言った。


「白石玲奈は、友川和樹くんが大好きです」


 ——その瞬間。


 視界が、歪んだ。


 ……あれ?


 腿に置いた手の甲に、温かい雫が落ちる。


 涙——?


 なぜ?

 なぜ、僕は泣いているんだろう?

 なぜ、こんなにも胸が締め付けられる?


「……」


 言葉にならなかった。

 喉の奥が詰まって、声が出ない。


 それでも、堰を切ったように涙があふれる。


「う……うう……」


 止まらない。

 息が詰まる。

 そして——


「うわああああん!」


 自分でも驚くほどの大声で、泣き叫んだ。


 玲奈の告白にも、答えられないまま。

 彼女の顔を見ることすらできず、ただ、泣き続けた。


(恋なんて、二度とするものか——)


 傷つくくらいなら、最初から好きにならなきゃいい。

 中学でのあの出来事から、そう決めていたのに。


 だけど。


 玲奈の「好きです」は、僕の中の何かを壊してしまった。


 ——その夜。

 僕は、玲奈が帰るまで泣き通しだった。


(翌日:朝の教室)


 昨日、あれだけ泣いたのに、不思議と体は軽かった。

 そして僕は、玲奈に向かって、はっきりと口を開いた。


「……もう、自分いじめはしない。少なくとも、口に出さない」


 玲奈は、少しだけ驚いた顔をした。

 それから、すぐに微笑む。


「約束する?」


「……約束する」


 玲奈は満足そうに頷いた。


「よろしい」


 少しだけ、いつもの調子で。

 まるで”勝った”と言わんばかりの、得意げな表情で。


 僕はまだ、玲奈に「好き」とは言っていない。

 それでも——


 教室の空気が、少し変わった。


 クラスメイトたちは、僕と玲奈をチラチラと見ながら、ひそひそと話している。

 どうやら、もう公認カップル扱いになっているらしい。


(……悪くない)


 今のところは。


 玲奈は、僕をまっすぐに見つめて、にっこりと微笑んだ。

 まるで、すべて分かっているかのように。


 僕は小さく息を吐き、ぼそっと呟いた。


「……やれやれ」


 玲奈が楽しそうに笑った。

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