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第4話 好きの理由

 執筆にあたり生成AIを使用しています。

(食後)


 食べ終えたカレーの皿を片付けながら、僕は玲奈の言葉が気になっていた。

「好きだと言うまで通う」だなんて、本気なのか冗談なのか、いまだに分からない。


 いや、そもそも——。


「……なぁ」


「ん?」


 玲奈が振り返る。僕はスプーンを置き、彼女をじっと見た。


「なんで僕なんかを好きになった?」


 言った瞬間、玲奈の動きが止まる。

 彼女は皿を持ったまま、ふっと笑った。


「その言い方、やめなさい」


「え?」


「“僕なんか”って言うの」


 玲奈は皿をシンクに置き、僕の正面に座る。

 その瞳はどこまでも澄んでいて、少しだけ寂しそうだった。


「……和樹。理由がわかる”好き”なんて、本当の”好き”じゃないわ」


「……どういうことだよ」


「“〇〇してくれたから好き”、“〇〇がかっこいいから好き”、そんなのはね、条件付きの好きなの」


 玲奈は小さく微笑みながら、僕の手の甲にそっと指を置く。

 ほんの一瞬の、優しい触れ方だった。


「“なんで好きなの?“って聞かれて、即答できる好きなんて、ただの理屈よ」


「……」


「私の”好き”には、理由なんていらない。あなたが、あなたでいるだけで好きなの」


 その言葉に、僕は言葉を失った。


 ——こんなにも真っ直ぐな好意を、向けられたことがない。


 玲奈の視線は、まるで僕のすべてを見透かすように揺るがない。


「でも、和樹はそれを信じられないんでしょ?」


 図星だった。

 僕は唇を噛み、視線をそらす。


「……だって、僕は……平凡で、特に取り柄もなくて、カッコよくもないし……」


「またそれ?」


 玲奈は小さくため息をつくと、すっと立ち上がった。

 そして、僕の頬に手を添えて、すぐ目の前まで顔を近づける。


「和樹」


「っ……!」


「私は、あなたのことが好きよ。それ以上の理由なんて、いらない」


 甘い香りがする距離。

 長いまつ毛、真っ直ぐな瞳——逃げられない。


 心臓が、嫌になるほど速く鳴る。

 でも僕は、それを誤魔化すように目を逸らした。


「……信じられないなら、それでいいわ」


 玲奈は僕の頬から手を離し、くすっと笑う。


「でもね——信じさせてあげる」


「……え?」


 玲奈は楽しそうに微笑みながら、くるりと踵を返す。

 そして、玄関へ向かい、靴を履いた。


「今日は帰る。でも来週も来るから」


「……おい」


「覚悟しててね?」


 玲奈は振り向かず、軽く手を振って言った。


 バタン、と玄関のドアが閉まる。


 僕はその場に残され、しばらく動けなかった。


 ——理由のない”好き”。

 そんなもの、本当にあるのか?


 だけど、玲奈の言葉を思い出すたびに、僕の胸は妙にざわついてしまうのだった。

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