第3話 カレーと、侵略者
執筆にあたり生成AIを使用しています。
(アパート・友川和樹の部屋)
「……いいわね、思ったより散らかってないわ」
僕の部屋に入るなり、玲奈はそんなことを呟いた。
勝手に靴を脱ぎ、まるで自分の部屋のようにズカズカと上がり込む。
「いや、待て! 入るな! 帰れ!」
慌てて止めようとするけど、玲奈は全く聞く耳を持たず、部屋を見渡して頷く。
「うん、まずは掃除ね」
「いや、掃除って……!?」
僕の言葉を無視し、玲奈はクローゼットを開け、勝手に掃除道具を探し始めた。
その堂々とした動きに、僕はただ呆然とするしかない。
「掃除機は……あった。次は洗濯物……山になってるわね。あとで洗っておくわ」
「あ、ちょっ、やめ……!」
「はいはい、静かにしてて。私、こう見えて家事得意なのよ」
「いや、だからって——」
僕の抗議は、掃除機の轟音にかき消された。
(30分後)
僕の部屋は、見違えるほど綺麗になっていた。
床のホコリはなくなり、散乱していた衣服は洗濯機へ。
テーブルの上も整頓され、洗い物まで片付けられている。
「ふぅ、こんなものね」
そう言って満足げに頷く玲奈。
僕はベッドの端に座りながら、まだ現実を受け入れられずにいた。
「……おい、何なんだよ。何でここまでするんだ」
「言ったでしょ? あなたが私を好きだと言うまで、通うって。」
玲奈はさらっと言う。まるで当たり前のように。
僕は頭を抱えたくなった。
「それじゃあ、次は夕飯ね」
「えっ」
「お腹すいたでしょ? カレー作るわ」
「ちょっ、勝手に決めるな!」
「だって食材、ちゃんとあるし」
玲奈は冷蔵庫を開け、中を覗く。
僕はぎょっとした。
「……なんで知ってるんだよ」
「さっきチラッと見たから。男子の一人暮らしって、だいたいカレーの材料だけは揃ってるのよね。」
「ぐっ……!」
何も言い返せない。確かに、カレーは作りやすいし、数日分持つから買い置きしていた。
玲奈はすでにエプロンを手に取り、袖をまくっている。
「安心して、料理は得意なの。和樹は適当に座ってて」
「いや、お前、僕の名前……!」
「ふふっ、やっと名前で呼んだわね」
玲奈は微笑むと、そのままキッチンへ向かった。
(20分後)
キッチンから漂うスパイスの香りが、部屋中に広がる。
玲奈は手際よく鍋をかき混ぜ、ルーを入れて仕上げていた。
「はい、できた」
テーブルに置かれたのは、湯気の立つカレーライス。
美しい見た目に、思わずゴクリと喉を鳴らしてしまう。
「いただきます」
スプーンを持ち、一口食べる。
その瞬間、口の中に広がる香ばしさと旨味——
「……うまい」
「ふふっ、当然でしょ?」
玲奈は得意げに腕を組んで笑う。
正直、このレベルのカレーを食べられるとは思わなかった。
「……お前、何者なんだよ」
「何者って……ただの、あなたが好きな女よ?」
玲奈は真っ直ぐ僕を見つめて言う。
胸の奥がドキリと鳴った。
「……」
だけど、まだ僕は彼女の気持ちを信じられない。
何かの冗談なんじゃないかと、心のどこかで疑っている。
だけど。
このカレーの味だけは、間違いなく本物だった。