第六話
今日は大会二日目、デュオの部。出場するのはすいせいとみこのペア。二人は難なく対戦相手をボコし決勝まで駒を進めた。
「二人とも〜頑張ってね〜」
「決勝も全力でボコってやれ!」
「対戦相手は分かんないけど全力で楽しんでね!」
「「了解!」」
〜すいせい視点〜
すいせいとみこは、決勝のフィールドに来ていた。
「対戦相手の人もういんじゃん…すいちゃん?」
「ん?ああごめんごめん。」
「どうかしたのかにぇ?」
「いや、なんかあの二人"変"だなぁって。」
「変?どこが?」
「気のせいかも知んないけど二人の体に流れてるエネルギーがなんか知らないものなんだよね」
「う〜んわがんない!」
「それでは今からデュオの部決勝戦を行います。試合開始!」
〜一方その頃大会本部では〜
「お、決勝始まったぞ…なにぃ!」
「ん?どうかしたか?」
「こ、これ見てください。魔力波の受信ができてないんです。このままだと勝敗が決まってもフィールドから離脱できません!」
「なぜだ?誰か分かるか?」
「わかりません、ですが異常が発生したのには変わりありません。今すぐ止めに行かなくては。」
するとそこへ一本の電話がかかってきた。
「こんな時に、誰からだ?」
「能力庁からです!」
「能力庁?!今すぐ出る。」
「もしもし、こちら能力技能大会本部です。何かありましたでしょうか?」
「おお、よかったここはまだつながるみたいだ。すまない、大事なときに。要件は一つだけだ、今すぐ大会を中止にしてくれ。」
「?!なぜです?」
「先日ニュースにもなっていたアフリカ大陸への隕石の落下があっただろう、あの隕石から「エネルギー生命体」が生まれていたんだ。」
「それは本当ですか?!」
「ああ、紛れもない事実だ。現在アフリカを中心に世界各地でエネルギー生命体が増殖し侵攻を始めている。各国は軍を挙げて応戦している。そして日本に上陸した奴らが向かったと推測されるのがその会場だ。」
「会場内をスキャンしろ!すみません、エネルギー生命体とは今のところ何体と思われますか?」
「3体のはずだ。」
「スキャン結果、でました!会場内に3体の膨大なエネルギーを持つ生命体を確認エネルギー生命体で間違いありません。」
「どこにいる?」
「一体は中央広場、もう二体は…フィールドです。」
「フィールド?どこのだ?」
「決勝戦のフィールドです…」
「クソ!止められんのか?」
「現在外からの干渉は不可能となっています。」
「とりあえず、外にいる一体を生徒たちに連絡しどうにかしてもらうしかない…」
〜すいせい視点〜
「ん?なんかおかしくねえか?」
「みこもわかったにぇ遮断されてるにぇここ」
「有線通信はできる?みこち」
「やってみるにぇ…できた!」
「あーもしもし?聞こえてます?」
「おお!よかった連絡がついた!」
「あの、どうなってるんですか?」
「今、目の前にいる二人に違和感を覚えなかったか?」
「はい、まあ。」
「その二人はエネルギー生命体と言って人間ではないんだ。」
「結論、倒せばいいの?」
「まあそうなる。」
「なら、楽じゃん。すいちゃん達が勝てないとでも?」
「すまない…無理を言うようだが倒してもらいたい。」
「了解だにぇ!」
ブツッ
「で?あんたたち喋れる?」
「…」
「なんか言ったらどうだにぇ!」
「われわれエネルギー生命体は天命に従いこの星を滅ぼしに来た。」
「今、魔力障害が起き魔力ががほぼ使用できない状態であるのはわれわれが持つ超越神垓力による効果だ。」
「人間は魔力がなくなればただのデクになる。そこを叩こうというわけだ。」
「我ら二人はエネルギー生命体の指導者「テル」と「ミナス」である。」
「貴様ら二人がこの星で今一番強いものだと判断し殺しに来た。」
「すいちゃんたちがホイホイやられるとでも?」
「では手始めにそこの弱い方から潰しましょうか。」
『神垓穿』
テルの右腕からビームが放たれ、みこに飛んでいった。
「そんな攻撃受け止めてやるにぇ!」
『神桜巫術:盾桜』
みこは盾を展開した。放たれたビームはみこの盾に当たり相殺された。
「そうか、貴様らは魔力持ちではないようだな。」
「なら、あんたら二人殺すね?」
「やれるもんならやってみるがいい。」
「みこち。」
「わかってるにぇ!」
『##3彗星は天球の夜を跨ぐ』
すいせいはみこに彗星力を渡した。
「みこの全力みせたるにぇ!」
【2ndtc:神桜星術:天を穿つ神桜星槍】
「おお!これが部長の言ってた2ndtcってやつかぁ!」
「みこちやったれ!」
「わがった!いっけぇぇぇ!」
みこは神桜星槍を投擲した…上空に。
「馬鹿なのか貴様は?」
「ああそうなんどろうやつは馬鹿なのだ」
「バカバカバカバカうっさいにぇ!今に見てろ死ぬほど痛い攻撃をしてやる!」
「…!みこち、下がるよ。」
「わかった!」
その頃投擲された神桜星槍はというと、宇宙空間しかも太陽系の端にいたのだ。みこは投げるときに「ありったけ遠くに飛んでいって落ちてこい」と念じたのだ。太陽系の端に到達した神桜星槍は方向を転換しものすごい速さで落ちてきた。
「あ、あんたら二人避けてももう無駄だよ。だって、もう投げちゃったからね。」
「何を言っt」
ズバッ
「「馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿なぁ!」」
「なぜそれは刺さるのだ!」
「我らは絶対なのだ!」
「あーもー無駄無駄それ絶対急所に刺さるから何ならもう死んでるも同然なんだけどね。」
「まあいい、我らを倒しても侵攻は止められんぞ我らの同胞が貴様ら人間を滅ぼしてくれるわ!」
「あーはいはい早く死んで」
テルとミナスは塵となり消滅した。
〜ポルカ視点〜
(デュオの決勝始まったんだろうけど見れなくなってるなぁ。あと、部長が言ってたんだけど魔力が練りにくくなってる)
「なんかあったのかねぇ」
「そうですね一回本部に行ってみたほうがいいですかね?」
「そうしたほうがいいよ。」
「じゃあ行ってきます。」
「すいませーんデュオの決勝戦が見れないんですけど」
「あ、ちょうどいいところに。チームのメンバーに伝えてくれるかな「中央広場と西広場にエネルギー生命体がいる」って。」
「え、あ、ハイ」
「部長、戻ったよ〜」
「あ、おかえり。どうだった?」
「それがなんか中央と西広場にエネルギー生命体がいるって伝えろって言われて…」
「エネルギー生命体?!だからか…」
「何なんです?それって」
「エネルギー生命体っていうのは、外宇宙から来た体のすべてが超越神垓力で構成されている奴らなんだ。それがここにいるってことはいずれみんな魔力が使えなくなる!」
「それけっこうまずくないすか?!今一応西広場にはノエル先輩がいますけど。」
「じゃあ私はノエルに合流してくる。ポルカは中央広場に行ってて」
「了解。」
ー中央広場ー
「来たはいいけど、どれがエネルギー生命体ってなんだよ…ってん?なんか同じ見た目のやつ多くないか…てかここ同じ見た目のやつしかいねぇ!」
「「「「「「「われわれは外宇宙からの侵略者である。天命に従いこの星の住人を抹殺する!」」」」」」」
「やばいって!とにかく応戦しなきゃ!」
『偽写像:不知火フレア』
『慧耀の火柱』
エネルギー生命体たちの足元に魔法陣が展開されそこから火柱が上がった。
「これで何人かは…うそぉん」
結果は傷一つついておらず何なら奴らのヘイトを買ってしまった。
『『『『『『『テルミナセントフェル:真球』』』』』』』
奴らは巨大な球体を作った。その中には高密度の超越神核力が込められている。
「あんなもんあたったらたまったもんじゃない!」
『廻転』
「ギリギリ受け止めてくれ!」
ポルカの手に真球が衝突する。
「うおおおおおいてぇぇぇ!」
(これはまずい…受け止めきれn)
諦めようとした瞬間、横から誰かが蹴りを入れ真球をふっとばした。
「助けに来たよ、おまるん。」
「その声は、獅白ぉ!」
「最強の助っ人の登場だ!」
「でも獅白、どうやって勝つのさ?」
「私の能力をフルで使えばなんとかなる。」
「頼もしいね。」
「よし、行くぞ!」
『WVS』
『VVV』
獅白は触れた生命体と同じ生命体であれば周囲もまとめてエネルギーを消去させる弾を放った
「まかせんしゃい!」
『偽写像:獅白ぼたん』
『穿獣覇弾』
ポルカはその球を空中に打ち返した。
「獅白!最後の締め頼むぞ!」
「ああ!いっけぇぇぇえ!」
『穿葬獣撃覇滅弾』
ポルカの打ち返した弾をぼたんは空中に飛び上がり自身のすべての力を込めて奴らの中心に向かい放った。その弾は超高速で飛んでいき中心にいるエネルギー生命体の一体に衝突した。その瞬間周りにいたやつからエネルギーが消去されていき次第に中央広場いにたすべてのエネルギー生命体が消滅した。
「よっしゃ!」
「やったね獅白!息ぴったりじゃん!」
「あとはたしか西広場だけだね。」
「あーたぶん先輩がもう倒してくれてると思うよ」
〜フレア視点〜
フレアはポルカと別れた後、中央広場へと向かった。そこに広がっていたのは大量に増殖したエネルギー生命体達だった。
「ここはもうこんなに…あれは!」
「ノエル!」
エネルギー生命体達の中で、一人戦う相棒の姿を見つけその名を叫んだ。
「…!フレア!」
『秩序の銀騎士・地壊絶剣』
ノエルは、絶剣をハンマー状にして周りの敵を薙ぎ払いフレアのところまでジャンプした。
「ノエルごめん!遅れちゃった。」
「大丈夫だよ。それで?あいつらどうやって倒す?」
「…ノエル、あの技使える?」
「うーん頑張ればかなぁ」
「なら私が時間を稼ぐからその間に発動準備を整えて。」
「わかった!」
ノエルは、絶剣を構え集中状態に入った。
「さーて、私も本気でやらないとね!」
【2ndtc:天地忘却の太陽神】
「イメージしろ私が、私こそが太陽だ!」
フレアは、能力の拡張を行い自分自身を太陽として扱い空中に飛び上がった。
「…よし、準備完了!」
『銀獅子の天陽斬』
銀獅子の天陽斬は、太陽との距離によって火力が大きく変動する。近ければ近いほど高火力となる。そして、今のフレアは擬似ではあるが太陽となっているため距離は最大。今の火力は目の前にいるエネルギー生命体を滅ぼすのには十分すぎるものだった。
「うぉぉぉぉぉぁ!」
ノエルは、為剣を振り下ろし巨大な斬撃を放った。その斬撃に当たったエネルギー生命体やその近くにいる敵たちも、灰となって消滅した。
「ふぅ…疲れたぁ…」
「お疲れ様でしたフレア。ありがとね。」
「こっちこそ、やっぱりノエルは頼りになるなぁ。」
「えへへそれほどでも♪」
〜すいせい視点〜
「あの二人は倒したけどやっぱりまだ出られないよね〜」
「あいつらの話は本当だったってことだにぇ」
「どうするかなぁ」
「そうだにぇ〜」
「いっそのことすいちゃんたちの力混ぜてみる?」
「面白そう!じゃあみこの力すいちゃんに渡すね?」
「うん。頼むよ?」
「まかせんしゃい!」
『神桜巫術:渡星の夜桜』
桜神力がすいせいに渡される。
「よし、受け取ったよ。じゃあ彗星力供給開始!」
『##0|宇宙の真ん中で夜を歌う(stella・stella)』
すいせいの体の中に彗星力が流れ込む。二つの力はすいせいの身体の中で反発しあい、すいせいの身体を蝕んでいく
「くっ…ちょっとキツイかも…」
「大丈夫だにぇ!すいちゃんならできるにぇ!」
「ありがとね、みこち。」
すいせいは目をつぶり集中状態に入る。
(思えばみこちとは初めて会った気がしなかったな。)
(もともと二人でいたかのような…そう、前世があったみたいに)
(無理に混じり合わずでも反発することでもない、私達はそんな関係だった。)
(でも、なんで今二人は一緒にいるんだろう。前世があるなら会うことなんてほぼほぼないのに…)
そう考えたときすいせいの頭の中に一つの記憶が蘇る
「すいちゃん、今言うのは何だけど来世ってのがあったらまた会いたいよにぇ」
「会えるよすいちゃんたちなら!」
「そうだよにぇ!」
「もしかしたらまた同じ人生かもよ?」
「そうだとしても、次は最初から一緒になりたいよにぇ」
「そうだね~できれば高校ぐらいから一緒になりたいかなぁ。ほら、高校が一番人生に関わってくるっていうし。」
「たしかににぇ…」
(そうか、すいちゃんたちって約束してたんだ。やりたいことも見つかってないし、みこちともっと仲良くなりたい。)
(だからここで諦めたらだめだ!)
すいせいは目を開いた。その目はいつもの星空のような色ではなくピンク色になっていた。すいせいはみこの目の色が自分の星空のような色になってるのを見て確信した。「みこちも思い出したんだ」と。
「みこち、行くよ!」
「わがった!」
二人は手をつなぎ力を全開にした。
《《始まりは知らずの二人》》
《《共に過ごし互いを知る》》
《《今も紡ぎし二人の絆》》
《《認めずともわかり合う》》
《《終わり迎えしその時は》》
《《絆を深め認め合う》》
《我が彗星よ》
《我が桜の巫女よ》
《《互いに深めたその絆》》
《《いま全世界に知らしめよ!》》
《二人が紡ぐ絆の桜星》
二人から流れ出る力は反発することもなく混ざり合い一つの力となった。その力はこの星を覆いエネルギー生命体を消滅させていった。
「ふう、疲れたにぇ」
「うん、そうだね久しぶりに全力を出せた。」
「やっぱり楽しそうだったにぇ。」
「まあ、みこちと一緒に戦えたからかな。これからもよろしくね?」
「うん!よろしく!」
〜大会本部〜
「これは…本部長!システムが復旧しました!」
「本当か?!」
「はい、会場内とフィールドにいたエネルギー生命体をすべて討伐した模様です。」
プルルルプルルル
「いま出る。」
「もしもし、能力庁のものです。大会本部で間違えありませんか?」
「はい、私は大会本部部長です。何でしょうか?」
「今、この星からエネルギー生命体が消滅しました。」
「す、すべてですか?」
「はい。そしてそれらを消滅させたエネルギーの発生元はその会場なのです。なにか心当たりますか?」
「あるとすれば今大会デュオの部優勝者の星街、さくらペアでしょう。あの二人からは可能性しか感じません。」
「そうですか。ご協力ありがとうございます。」
プツン
「あの二人すごいですね。そこまでの効果範囲を持つ力は聞いたことがありません。」
「ああ、これは期待大、だな」