第十一話
〜紅蓮視点〜
紅蓮は事件の犯人を届けるために能力庁に来ていた。
(直接来るのは久々だな。いつもは分署に届けているし。)
(そうだ、久々にあいつに会いに行くか。)
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皇スザク 二年前の外宇宙生命体戦線で敵の本拠地を破壊し、全滅させたことによって能力庁の能力制圧組織のトップとなった。紅蓮とルルとは、昔からの友人。
天帝の白兜
発動中は空中浮遊が可能、動きが高速になる。また、2ndtcと同時発動も可能。
【2ndtc:生きるための剣】
発動時に込める魔力量によって鋭さ(とお好みで大きさも)が変化する剣を召喚する。一応斬れないものはない。
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「すいません。スザクの友人の不知火紅蓮です。今日はスザクに会いに来たんですけど、会えますか?」
「はい。構いませんよ。今日は殆ど仕事が入ってないとおっしゃっていたので。」
「ありがとうございます。」
紅蓮は扉を開け中に入る。
「よ!久しぶりスザク。」
「紅蓮か!久しぶりだね!」
「いつぶりだ?一年くらいか?」
「だいたいそれくらいだね。僕がラウンズに入ってからだから。」
「いや~スザク、俺誇らしいよ。古い友人が今じゃ能力界のトップに立ってるなんて。」
「いや、君もすごいよ。外宇宙生命体戦線で、僕達と一緒に戦いを終わらせたじゃないか。」
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外宇宙生命体戦線
2年前に起こった、外宇宙生命体『TELS』による侵略戦争。スザク、紅蓮、ルレリオルが参戦し、1年で戦争は終決した。
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「まぁ、ね…そういえば、ルルが帰ってきたんだって。」
「本当か?!」
「ああ、俺の友人が友だちになってたみたいでな。前回受けた依頼で協力してもらったんだ。」
「そうだったのか…」
「なぁ、今日仕事ほとんどないんだろ?今から会いに行かないか?」
「いいね。僕はそのまま帰るから準備するし、ちょっとまっててね。」
「おう!」
(思ったんだが、ルルはなんでイギリスにとどまってたんだろう…)
「準備できたよ!行こう!」
「ああ。案内するよ。」
(まあ、なんか事情があったんだろ。)
ールル宅ー
「此処だよ!」
「なんか…ルルらしい家だね。」
ルルの家は外壁が黒で統一されていた。
「まあ、入ってみようよ。」
ピーンポーン
「はーい。誰ですか…ってスザク!紅蓮!久しぶり!」
「やぁルル。久しぶりだね。」
「そういえばルル、俺の友達がお前を頼ったって聞いたんだが、本当か?友達の名前はすいせいとみこって言うんだが。」
「本当だよ。僕の能力を頼りに来たんだ。まぁ立ち話もなんだ、中に入りなよ。」
「それじゃあお邪魔するね。」
二人はルルの家の中に入りリビングの椅子に座った。
「ルル、家に上がって早速なんだけど聞いてもいいか?」
「あぁ、いいよ。なんだい?紅蓮。」
「ルルはなんでイギリスにとどまっていたんだ?日本に帰ってきてもよかっただろ。」
「…これは少し嫌な話なんだが、誰かに親、両親を殺された。」
「「!!」」
「その犯人を追ってイギリスに残ってたんだ。」
「そうだったのか…それで、その犯人は捕まえられたの?」
「いや、まだだ。だが、絶対に見つけ出してやる。」
「気持ちは分かるけど無理はしないでよ?そんなことしてルルも死んじゃったら次に悲しむのは僕たちだからね。」
「わかっている。まあ、せっかく日本に戻ってきたんだ、日本での生活を楽しむとするよ。」
「そうだね。それじゃあ僕たちはそろそろ帰るとするよ。」
「ああ。今日は来てくれてありがとな、二人とも。」
「どうってことないさ!なんなら依頼がなければいつでも俺は遊びに来れるから、気にせず呼べよ!」
「僕は仕事がきついときはあるけど、たまには遊びに来れるよ。」
「それじゃあな!」
「バイバイ!ルル。」
「ああ、またな!」
この話は、スザク、紅蓮、ルルが終決させた外宇宙生命体戦線の話である。
五年前の1月14日。アフリカ大陸に一つの隕石が落下した。最初はただの隕石落下として報道されたが、1月20日に隕石内部から大量のエネルギー生命体『TELS』が出現し、侵略を開始したことにより、世界的な戦争へと発展した。TELSは少しの知能を持ち、世界の主要な都市を攻撃した。対抗して国々は能力者によって国を防衛していた。戦線は拮抗していたが、イギリスの一人の能力者によって奴らの本拠地が判明したのである。その能力者は、ルレリオル・ランペルージ。ルル本人である。これにより作戦が立てられ、戦争は終盤に差し掛かることになる。その作戦の基盤は、日本の能力者であるスザクと紅蓮、アメリカの能力者であるサレス・テアレンス、中華連邦の能力者である趙 信陵、そしてルルの5人の能力であった。サレスは能力を珍しく2つ持っているそれは感覚共有と複数捕捉。信陵の能力は拡張感覚である。敵であるTELSは大量にいるためこの二人の力と、ルルの蜃気楼によるオールレンジ攻撃が必要不可欠であった。作戦としてはまず、本拠地付近にいるTELSを殲滅した後紅蓮とスザクが本拠地を叩くというものである。なぜスザクと紅蓮が選出されたかというと、まずスザクはこのとき能力庁の能力制圧組織の第4席であった。他のラウンズはスザクとは別の地域で戦闘を行っていたので、スザクが選出されたのだ。次に、紅蓮が選出された理由は紅蓮の持つ輻射波動はこの世界で唯一の力だったからである。その力に触れたものの内部から爆散させるというのは近距離で戦うと不利になるTELS戦で有利になる力だったのである。各々の覚悟を背負い、5人は戦場であるアフリカ南部の南アフリカに向かった。
〜ルル視点〜
「…よし、着いた。ここから先は重要戦闘区域だ。あとは作戦通りにいくぞ。」
「スザクと紅蓮は指定した本拠地に向かってくれ。俺とサレス、信陵はここから先にいる全てのTELSを殲滅する。」
「「「「了解!」」」」
スザクと紅蓮は本拠地の真下の位置まで駆けていった。
「…サレス、信陵。本当は来なくてもよかったんだぞ?俺一人でも十分だし…」
「そんなことはないよ!」
「ああ。それに、今回来ているのは上からの命令じゃなく、自分の意志で来ているからな。」
「…二人とも…ありがとう。」
ルルが二人が来るのを心配した理由は、二人の能力にある。二人の能力は、強力であるがゆえに代償も大きい。その代償とは、寿命である。ルルは、これ以上二人の命を削りたくないと思い、最初は拒否をしていた。だが、勝つことしか考えていない上の連中は、二人の寿命など関係なかったのである。
「でも、俺はこんなところで二人を死なせない。死なせたくない。だから、無理はしないでくれ。」
「わかってるよ!」
「無論、承知だ。」
「そうか…じゃあ、行くぞ!」
『複数捕捉!』
『拡張感覚:拡張先=サレス 拡張量=最大』
サレスは重要戦闘区域にいるTELS全員をロックオンした。
「な?!おいまて、やめろ!」
「止めても…無駄だよ!これも…二人の意志だから!」
「意志と無謀は違うだろ!今すぐやめろ!そうじゃないと…そうじゃないと死んでしまうだろ!」
「元から…俺たち二人の寿命は…もうない。この…戦いに参加しなかったとしても…もってあと…数ヶ月であろう。」
「それくらい…二人の体は弱かったってわけ!」
「だが、このまま何もせずに死ぬよりも…何かして死んだほうがいいだろう?」
「違う…俺が…俺が二人に生きて欲しかったのは、こんなところで死んで欲しくなかったからだ!死ぬなら俺たちが最初に会ったあの思い出の地で安らかに眠ってほしかったからだ!」
「叶いそうに…ないね。でも…ルルなら埋めてくれるでしょ?そこに。」
「?!でも!」
「ルル!俺たちがここに来たのは、お前が一人で来て言葉の通り死ぬ気で戦うのを防ぐためだ!」
「?!」
「俺たちはお前に…明日を見せたいんだ!そこに俺たちはいない。だとしても、お前には明日がいるんだ!」
「その覚悟を、ルルは踏みにじるつもり?友達ならその思いに応えてよ!」
「……わかった。その思い、受け取った!」
覚悟を決めたルルの目には涙が浮かんでいる。泣きたい感情を抑え、友として友人の思いに応えたのである。
「よし!行くよ!」
『感覚共有:対象=ルレリオル・ランペルージ』
「…よし、殲滅を…開始する!」
『蜃気楼:対象=ロックオン中のTELS』
ルルは飛び上がり、ロックオンした全てのTELSに向かってレーザーを放った。それに当たったTELSは、熱に溶かされ消滅した。
「やった…んだ…」
「ああ…これで…終わるんだ…」
「二人とも…今まで…友人で居てくれて、ありがとう…」
「こちらこそ…ありが…とう…」
能力を使用し、寿命を縮めた二人はその場で息を引き取った。
「…まだ、全部が終わったわけじゃないんだ。二人が繋いでくれた明日、それにたどり着くには…行かなきゃ、スザクと紅蓮のところへ。」
〜スザク視点〜
スザクと紅蓮は本拠地真下に到着し、本拠地を防衛しているTELSと戦闘を行っていた。
「…ちょっと数が多くないか?」
「同感だ。ルルの情報は信じてるけど、如何せん数が多い。」
「どうする?一旦ルルと合流するか?」
「う〜ん…」
「その必要はない。」
「「!?」」
「ルル!そっちはもう終わったのか?」
「ああ…」
「サレスと信陵は?」
「…俺に、明日を託してくれたさ。」
「…そうか。ルル、作戦は続行するか?」
「続行も何も、作戦は最終フェーズに移行する!」
「「!!」」
「俺の指示に従い、敵の本拠地を叩き潰す!」
「「了解!」」
「まず、奴らの本拠地の場所だが、頭上700キロメートルの上空だ。」
「それじゃあどうやって行くんだよ?」
「ここは紅蓮に頼みたいんだが、ここらへんの全てのTELSを輻射波動で一掃できるか?」
「!!ちょっとまってくれ、」
(今持っている輻射波動でなら行けるか?いや、行くしかない!)
「ルル、行けるよ!」
「よし。紅蓮が一掃した瞬間、スザクは能力を使用し飛び上がり持つ全魔力を込めた生きるための剣で叩き斬れ!」
「「了解!」」
「二人とも、生きて皆の明日を手に入れるぞ!」
「「ああ!」」
「紅蓮、行けるか?」
「準備万端よぉ!」
「良し!真上に向かって撃ってやれ!」
「ああ!」
『輻射波動窮極終焉撃覇砲』
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
紅蓮は、自身の持つ全ての輻射波動を右手に込め真上に向かって放った。輻射波動の効果で触れたTELSは爆散した。
「良いぞ紅蓮!今だスザク!飛び上がれ!!」
「わかった!」
『天帝の白兜』
スザクは高速で飛び上がった。
「この一撃に、死んだサレスと信陵の思いを込める!」
スザクの手には、自身の持つ全ての魔力を込めた【生きるための剣】が握られていた。その大きさは敵の本拠地を一刀両断できるほどである。
「ゼロノス、カリバァァァァァァァァァ!!!」
その剣を振り、空中に浮かんでいたTELS の本拠地を叩き斬った。その瞬間、本拠地は光を発し爆発した。
「やった…これで終わったんだ。」
そう安堵した瞬間、スザクの能力が急に停止した。
「まずい!能力を使いすぎた!」
スザクはそのまま落下していく。
(くっ…どうする?一瞬だけでも良い、能力を使用できれば…せっかく、終わらせられたのに…)
その時、スザクの身体を謎の光が包みこんだ。
「これは…もしかして、サレスと信陵の思いの光なのか?」
その光はスザクの傷を癒やし、スザクをゆっくりと落下させていく。
「肉体は滅びても思いは滅びないってことか。ありがとう、二人とも。」
「おーい!スザクー!大丈夫かー!」
「紅蓮!こっちは大丈夫だよー!」
「そりゃあ良かった。それにしても、すごかったぞー!スザクの最後の技!」
「ああ、スザクが居てくれたからこの戦いは終わらせられたんだ。」
「いや、最後の一撃は僕だけじゃない、サレスと信陵の思いもあったんだと思う。」
「そうなのか…二人も助けてくれたのか。ありがとな!」
「よし、帰ろう!」
「「おう!」」
ー翌日、ルル宅ー
〜ルル視点〜
戦争が終決してからルルは自分の家に帰ってきていた。およそ5ヶ月ぶりの帰宅である。戦時中は家に全く帰れなかったからであるが、ルルは自分で手に入れた明日で両親とまた楽しい思い出を作りたいと考えていたのだ。だが、その思いは無情にも引き裂かれてしまったのだ。
「と…父さん?母さん?」
家の中では血まみれになって倒れているルルの父親と母親が居た
「な、なんで…?なんで、こんな事になってるんだ?」
「…ル、ルルか?」
「!!父さん!何があったんだ?」
「襲撃者だ…」
「誰なんだよ…そいつは…でも、父さんだけでも今助けて…」
ルルは父親を担いで家を出ようとした。その瞬間、家は音を立てて爆発した。
「うわぁぁぁぁ!」
爆発の衝撃でルルは父親を落として吹っ飛んでしまった。爆発した家は今、燃えている。
「なんでだよ!なんで…どれだけ俺から奪っていくんだ!」
「せっかく手に入れた明日なのに!サレスと信陵が、命をかけて、俺に託した明日なのに!」
「殺してやる…絶対に探し出してこの手で殺す!」
そう決意したルルは、一年間イギリスに滞在したまま犯人を探した。だが、イギリスには見つからず仕方なく日本に帰ってきたのであった。果たしてルルは犯人を見つけることができるのか…




