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変頭痛

作者: 出雲 寛人

私には変な頭痛がある。


普通の人は気候の変化やストレス等から頭痛に繋がることが多いらしい。


しかし私の頭痛の原因は違う。


鼻毛である。


鼻毛が私の視界に入った瞬間に頭が痛くなる。


別に物理的に目に入って痛くなる訳ではない。


視界に入るだけで痛くなるのだ。


今までで一番厄介だったのは、結婚式である。


父とヴァージンロードを歩き新郎の元に行き、会場は感動に包まれている。


そんな中私は神父の鼻だけを見ていた。


右鼻から3本も出ているのだ。なんてアンバランスな。


この日ほど、私の目の良さを後悔したことはない。


そして右鼻毛神父が誓いの問いかけを言行う。


「汝、病める時も健やかなる時も、常にこの者を愛し、守り、慈しみ、支え合うことを誓いますか」


神父、あんたは鼻毛を守り、慈しみ、健やかじゃない状況を作ってんだよ。


誓いの言葉中だが、神父の鼻毛が出ているままだと私の頭痛が治らない。


なんとか表情で神父に伝えようとしたが、神父は不思議そうな顔して、逆に、「早く問いかけに答えろよ」と言わんばかりの嫌な顔を一瞬こちらに向けた。


しょうがない。私が頭痛を我慢するしかないと思い、


「誓います。」


と言った。


神父は満足げな顔をして微笑んだ。そしてなんと右鼻の鼻毛が4本になっていた。


私は思わず駆け出し、その場から離れた。


あの神父は危ない。


無限に私の頭痛を誘発してくる。


あとで旦那とか家族とか色々な人が追いかけてきたけど、チラッと後ろを見ると先頭を走っていたのはあの神父だった。


なんで足速いんだよと思いながら、必死で駆け抜けた。


私はいつの間にか気を失っていた。


目を覚ますとたくさんの人に囲まれていた。


なんで突然逃げ出したの!と怒る人や、心配したんだよという優しい人、そして、ただじっと見つめてくる旦那がいた。


よかった。もう神父はいない。


「ごめんね。神父の鼻毛に耐えられなかったの。」


すると旦那は言った。


「そんなことだと思ったよ。さ、仕切り直そう。」


そして違う方に神父を頼み、進行してもらい事なきを得た。


と、言うように鼻毛はたまに困難を連れてくる。


しかしこの私の特性とは付き合っていくしかないようだ。


そして今日も祈るのだ。


どうか視界に鼻毛が入ってきませんように。


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― 新着の感想 ―
足の速い神父に笑わせてもらいました。 ありがとうございます。 私も鼻毛には気をつけます。
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