8.しばらくして
教育係が出勤する日は賃貸システムで入金入力や書類チェック、教育係が帰ったあとや公休日は処理済み書類のスキャンを行うことが多かった。
入金入力は誰から、どの契約の、どの部分に対する入金へ充当するものか。
書類チェックは契約書や重要事項説明書やハザードマップなどの内容が間違っていないか。
書類のスキャンはシステム上に処理済み書類を添付する。
こうやって記載すると簡単な気もするが、実際はそう上手くいかない。
社宅を会社で借上げるため会社名で振り込んできたり、よその店舗の分が振り込まれたり、営業が作成した重要事項説明書が間違っていたり、スキャンする書類のサイズがバラバラであったり。
ごみ捨てと電話と留守電設定は新人の仕事と言われ、行うも上手くいかない。
ごみ捨ては早すぎても怒られ、遅すぎても怒られる。
誰がやっても変わらない気もするが、代わってくれる人はいなかった。
契約センターの電話は社内なので、何度もお疲れさまです!を連呼しなければならない。
留守電設定はめめ担とギャルは帰ってしまう、パン線と藤谷さんは営業電話なので設定できず、私か駿河さんしか設定ができない。
言われた初日に忘れ、急いで店長に電話し設定してもらって以来アラームをかけ、設定後の写真を撮って帰っていた。
休憩は一時間取っても良いと言われても、休憩スペースは使わせてもらえない。
自席で休むしかない上に、一時間は取れない。
急いでおにぎりを一個食べ、仕事に戻っていた。
壁には赤いアリが歩いている。
お手洗いはビル内で共同の上、着任早々壊れてしばらく使用することができなかった。
小さなミスや気がかりが小さなストレスとなり、重なっていく。
私は繁忙期に耐えられない、そう思っていた。