1.一次面接
6月某日。
小雨が降る中、私は指定された契約センターの最寄り駅にいた。
早く着きすぎても失礼。
ギリギリすぎても失礼。
そんな風に転職サイトに書かれていたため、駅のベンチで暇をつぶしていた。
私はノートにメモをしてきた志望動機等を何度も何度も読み返していた。
そんなことをしていたら、約束の10分前になっていた。
急いで改札を出て、契約センターまで小走りをする。
なんとかちょうどいい時間に着くことができた。
「失礼いたします、10時より面接を約束しております田中と申します。」
『少々お待ちください。佐々木部長、…』
すると、奥から眼力の強いイケメンが現れた。
『田中さんですね!佐々木と申します!どうぞおかけください!』
テストを受けさせられたあとは、佐々木部長から志望動機や長所短所など、転職サイトで見た質問が続く。
「地元密着の御社で貢献したく…」
『当社は積極的出店をしているため、地元で働けるとは限りません。契約センターも県内はここ小船と春風台と盾浜のみです。』
えっ…聞いてた話と違うんだけど…。
その違和感も飲み込み、急いでどこの配属になっても大丈夫と答えた。
『お渡しはできませんが、これが当社の処遇です。ボーナスは1か月分、目標シートによるボーナスは一万円ぐらいです。』
お世辞にも高いとは言えない月給。
宅建手当で上手くごまかしている印象を受けた。
それに、ボーナスの低さに驚いた。
私、ここで踏みとどまるべきだった。