第三節:たゆたうきずな⑤
初めて生まれたこのキモチ
何と呼ぼう?
落とされた小さな波紋は、静かに……確実に広がって、闇は深まり全てを侵食してゆく。星一つない闇の空に瞬いた不穏を告げる星の瞬きに気が付いたのは、屈指の占星術師。九曜族の族長 イザヤ・レイ・ラスール、ただ一人だった。
「それは、真か?」
報告を受けた時の西域の神聖王 ラスティ・エッダ・ウォーダンは、イザヤの言葉を聞いて愕然とした。
「はい。全ては、もう始まっていること。止める事は叶わぬでしょう」
だが、イザヤのそう告げるいつもと何ら変わらぬ冷静な声が、ラスティを現実へと引き止めていた。
「これから、東西を分かつ大きな諍いが起こります。死者多数……これを止めることは、叶わない」
だが、ラスティは諦めるつもりは更々ない。意思を込めた強い瞳で、見えない相手に宣戦布告する。
「好きには、させない。運命なぞという、目に見えぬものに翻弄されてたまるものか。道は、自分で切り開く。手を、貸してくれるな?イザヤ……」
主の、その強い信念に、イザヤは深く頭を垂れた。
「御意」
短い、しかし強い意志の篭った返事に満足したかのように頷くと、ラスティは空をもう一度仰ぎ見た。
<第三節:了>
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