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原罪  作者: 梨藍
Overture
26/54

第二節:うまれるこころ②

純粋な願いは


時に鋭利な刃となる

「淘汰様!淘汰様はどこにおられますか?」

 

 女官が泣きそうな声が忉利宮(とうりきゅう)の西館に響き渡る。


「どうかしたのか?」


 ちょうど淘汰を尋ねてきた桔梗が、その声を聞いて女官に尋ねると、涙ぐんでその女官は振り返り、そして相手が桔梗だと知れると頭を下げた。


「いえ、あの……伊舎那天(いしゃなてん)様より淘汰様をお呼びするように言付かったものですから……」


 それで、桔梗は理解した。様はするに、逃げたのだ。先程まで実父である焔摩天 焔祁に呼び出されていた事を考えれば、昨日の事で咎めを受けたは必然で。父に認めてもらう為に必死になっている淘汰にしてみれば、酷く落ち込んだ事だろう。そして、父に咎めを受けたとなれば、兄からも呼び出されるは必至。だから逃げたのだ。


 伊舎那天 法会と淘汰は異母兄弟にあたる。もともと地天 志杏椶と淘汰の母にあたる今は亡き吉祥天(きっしょうてん) 珠依姫(たまよりひめ) を慕っていた法会は、淘汰を快く思ってはいなかった。淘汰も、父に認められ成人した証である“天名”を既に持っている兄は、苦手な存在であった。


 その複雑な淘汰の心を察し、桔梗は溜息を付いた。


「俺が、伊舎那天様にお伝えするから、お前はもう下がれ……」


 そう言うと、踵を返した。淘汰の身代わりとなるべく、法会の待つ部屋へとその重い足を向けたのだった。


「淘汰、この借りは高く付くぞ……」


 今はいない相手に、そう恨めしそうにのたまった。


「!?」


 急に背筋に走った悪寒に、淘汰は思わず振り返る。


「……やっぱり、俺の代わりに桔梗が捕まったかな……」


 しかし、あの場にいる事が出来なかった。留まりたくなかった。出来の良い兄姉、比べて劣る弟……囁かれる噂……



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