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第一節:はじまりのうた④
それは、ヒトが生んだ罪
欲から生まれしヒトの業
同時刻、葦原の地 ―……
「やっ、やめ……助けてっ……」
懇願する男の首が、宙を舞う。
「ひっ……」
ただの肉塊と化した男の仲間であろうか。腰を抜かして目を見開く。知らず、身体が震えていた。心臓の音が、やけに大きく聞こえる。
「たっ……頼む、命だけはっ……」
―― だが、その瞬間……
鋭い痛みと共に、煩いほど耳に響いていた鼓動が止んだ。
「……か……が、み……」
男はそう言い残して、息絶えた。
「どうして君たちは……どうしてボクは……」
血に濡れた己の手に視線を落とす。
ふと、聞こえてきた歌に顔をあげる。
「帰らなきゃ……呼んでる……」
ポツリと呟くその囁きを聞くものはいない。
「ボクの世界に必要なのは、羅睺 (らこう) だけ。羅睺さえ居てくれたら……もう何もいらないんだ」
祈りにも似たその絶望。望むことすら諦めたその心に一筋の光が射すのは、それから間もなくの事である。
<第一節:了>
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