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原罪  作者: 梨藍
Overture
22/54

第一節:はじまりのうた②

それは、ヒトが生んだ罪


欲から生まれしヒトの業

世界樹……ユグドラシルの育んだ、海と空と大地の三界には等しく生命の恩恵は下った。やがて、世界は森羅万象を統べる覇者を必要とし、導かれるように二人の王が現れた。王達は世界を西域、東域と世界を二分し治めるようになった。


淘汰の伯父にあたる東を統治する天帝こと帝釈天 真武と、キリエの父である西を統治する神聖王ことラスティ・エッダ・ヴォータン。


淘汰は東の覇者天帝は帝釈天 真武の義弟にして、天帝補佐である焔摩天 焔祁(えんき) の次男にあたる。桔梗も東域の住人だ。東域の幹部である十二天の中でも天帝補佐の次に位置する、四極天と呼ばれるうちの一人梵天 迂鵠(うこく)の次男坊で、この二人は自由気ままなものであった。


それと引き換え、キリエはラスティの嫡子でゆくゆくは神聖王の地位を継ぐ事を約束された身分である。レヴィもまた然り、西域の四聖天と呼ばれる中の一人、ラグエル・ヤヌス・セラヒンの一人息子として、将来の期待をその一身に受けていた。


まあ、だからといってそれをプレッシャーに感じたことなど露ほどもなければ、身分の違いを気にするほど繊細な心は持ち合わせていない2人であったが。


本来ならば、ここにもう一人幼馴染の少女 ―― 名をアオラという ―― がいるのだが、今は淘汰の姉、志杏椶(しあんしゅ)に付き従い葦原の地に降りて、修行をしている。今回は、どうやら葦原の地に残り、志杏椶不在の穴を埋めるべく同志達と奔走している様だ。


東域と西域……呼び名は違えど牽制しあう仲でもなければ、細かい境界線があるわけでもない。ただ、ユグドラシルを中心に西と東に城を構えているくらいのものだったこともあり、淘汰、桔梗、キリエ、レヴィそしてアオラは、幼少の頃から仲が良かった。


志杏椶 が「良く飽きないわね」と飽きれるほどには、彼らは懇意な間柄である。

早くに母を亡くした淘汰にとって志杏椶は、姉というよりも“母”に近い存在であった。必然的に、志杏椶は五人の保護者として共に行動することが多かった。


―― 否、剣の師匠として…点と言った方が良いだろうか。


“女傑”


その言葉がこれほど似合わない女性もいないだろう。それくらい、見目麗しい女性である。


だが、その容姿に惑わされ痛い目を見た男は星の数ほど。それというのも、そこいらの武将よりも剣の腕は立つ。志杏椶を“外見似菩薩内心如夜叉”とのたまった者が居たとか居ないとか。正に、言い得て妙である。


とにかく、彼女は五人の保護者であり、剣の師匠であった。過去形で言ったのには理由がある。


―― 彼女は今、天空の宮<忉利宮 (とうりきゅう)>を離れ地上に降り立っている。


“ヒト”は“知恵”と同時に“感情”を持った生命として進化を続けた。だが、“欲”を覚えた時、歯車が軋み出した。いつしか天と対をなす地上“葦原の地”では、ヒトの“欲”から生まれた闇が蔓延り、やがて大地は争乱の絶える事のない、混沌の地と化してしまった。


事は急を要した。すぐに天帝、神聖王、四極天そして四聖天をはじめとする統制陣によって話し合いの場が設けられた。その結果、天帝補佐 焔摩天 焔祁 (えんき) の長女にして十二天の一人、地天 志杏椶が西域神聖王ラスティの元へ養子として迎え入れられた上で伊和大神 (いわおおかみ) の名を戴き、地上鎮定の任を受けたのだった。


志杏椶が西域の王の養子となり第三の地である“葦原の地”と呼ばれる地上へ赴いたのにも、とある思惑が潜んでの事だ。


“東西双方に同等の権利がある”


その事を世に知らしめる為に行う事を提案したのは、志杏椶の実父 焔祁その人である。

とにかく、それから三年……次期天帝 ――

帝釈天が嫡子 尚武(しょうぶ) (しょうぶ) の成人の儀を祝う為に、志杏椶は今日のこの日に帰郷を果たす。

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