腕を差し出す。
アジアンビューティー選手権の一次予選を通過したナミちゃんの唇に付いた米粒を僕が食べた。ナミちゃんは僕に米粒を取ってもらうまで、ずっと米粒を唇に付けていた。だから、僕の口に米粒が入った時、それは冷たかった。僕が取らなかったら、どうするつもりだったのだろう。
ナミちゃんは自分のことをナミと呼ぶ。ナミつらい、とか、ナミ頑張った、とか言ってるのを聞くと、ナミちゃんの中にはまだ子供のナミちゃんがいるように思えてくる。
背中の写真を撮って、とナミちゃんに言われた。日に日に背中が大きくなっている気がするらしい。昨日は、顔にシミができたかもしれないと言っていた。
ナミちゃんが、うまく立てないから手を貸してくれと言った。そんなことではアジアンビューティー選手権の一番にはなれないだろう、と思いながら、僕はナミちゃんに腕を差し出した。
キーワードはたくさん登録した方がいいと聞きました。