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世界最強になりたくて  作者: ちも( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
1/9

〜プロローグ〜

「なぜだ…なぜ生きている…こんなことが…っ!我がこんな所で…。」




魔王を名乗る男はなぜこの男は自分の攻撃を正面から受けて生きているのか。


なぜ自分が胴体を貫かれているのか。


それが理解もできぬままその命が終わろうとしてた。




「絶対に避けられなかったはずだ…いや確実に当たったはずだ…なぜっ!」




「なんでってそりゃあ…お前が攻撃したの俺そっくりの偽物だし。」




上は白のTシャツにネイビー色のジャケット、下は少し暗めのジーパンにスニーカーを履いた魔王を倒す勇者と言うよりは高校生にしか見えないこの男『ナル=ブルーム』が隣に名前そっくりの分身を作り出し答えた。




「これが俺のBランクスキル【 マイフェイク 】


自分そっくりの偽物を作るだけで動かすことも喋ることも出来ないんだけど…十分だったでしょ?」




魔王城の椅子に腰掛けながら魔王に自分のスキルの説明をする。魔王の死と勝ちを確信しているからこその余裕である。




「認めん…こんな…こんな…。私の…せ…か…い」




命を終えると肉体は魔石となる。それを飲み込むことで新たにスキルを手にすることができる。


ナルは魔石を体に取り込みようやくこの世界の戦いが終わったのだとふぅっと一息を着く。




「意外と時間かかっちゃったな。この世界。頼むからいいスキル来てくれよー」




ナルは手を合わせて神に祈りながらそそくさと魔王城を去りこの世界で1番大きな都市『エルドロス』へ向かう。


スキルというのはすぐに分かるものではなく1度全世界、中心都市にのみある世界を移動する扉。世界樹という巨大な木の中にあるので【ユグドラシル】と呼ばれている。そこにある結晶に触れる事で自分のステータスを確認することができる。自分に与えられるスキルがどれだけ強力かでこれからの生活が左右されるほどスキルとはその者にとって何よりも大事なものなのである。そのため大抵の人は魔王を倒し魔石を取り込んだらすぐにユグドラシルに向け中心都市へ向かう。もちろんナルもその1人だった。




「ササッとスキル確認して次の世界次の世界。」




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世界という物の構造は不思議だ。




いくつあるのかもわからない。




どの世界にもなぜか必ずその世を滅ぼそうとするものが現れる。




それは脅威と呼ばれその脅威から世界を救う勇者が現れる。




勇者は己のみが使える力【スキル】、そして魔法、剣技それらを駆使して世界を救う。




そして救われた世界は100年という期間魔王も魔族も世界を滅ぼそうとする存在がいなくなる。




なぜか?そんな事誰にもわからない。




まるで誰かに操られているような。言うなれば誰かが操作するゲームのキャラクターのような人生。




生まれた時から決まっている。自分の存在価値までも。




人間、獣人、妖精etc…。全種族生まれた時に世界を移動できるものかどうか決められる。




神か?




悪魔か?




誰が決めるのかは誰にもわからない。




誰も気にしない。いやそんなことを考える者がいなくなった。






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生まれた時ユグドラシルの前にある結晶に触れるとことで自分が選ばれたのかそうでないのか確認できる。


選ばれた者のステータスには生まれながらにしてすでにスキルを持っている。


それが世界を救う者にのみ与えられた力であり使命である。


なぜ自分以外のために世界を救わなくてはいけない?




怖い。死にたくない。




などといった感情は認められなかった。


皆選ばれた時点で世界を救う勇者として教育される。


どの世界でもそれは必然だった。


もちろんナルも生まれてからずっと勇者とは何なのかと教え込まれてきた。


しかし他の勇者とはすこし違っていた。使命だから。周りの人を守りたいから。


ナルの活動源はそんなありきたりな物ではなかった。


ただただ強くなる自分が好きだった。


スキルを使い魔法を覚えあらゆる武術を覚え人はもちろん獣人や魔物、魔族といったものに戦って勝つのが好きだった。


13歳の頃初めて世界を救いスキルを習得してからナルは今も自身が強くなるため世界を救い続けていた。


そして世界のために戦い続けているうちにある疑問が浮かんだ。




なぜ自分は勇者なのか。




なぜ自分はスキルという能力を持っているのか。




なぜ皆勇者にはなれないのか。




魔王はどうして生まれどうして人々を襲うのか。




考えれば考えるほどまるで自分は誰かに操られているのではないか。そう思えて仕方がない。


いろいろな考察が交差する。しかし納得のいく答えがわからずもやもやする。当然だ。正解など誰もいらないのだから。


正解があるのかどうかすらわからない。だがナルにはこの世界の仕組み、現状がどうしても納得ができなかった。


ならば突き止めよう。この世界の仕組みを自身が納得のいく答えを。


魔王をすべて倒し世界を救いつくした先に何があるのか。そこに自分の望む答えはあるのか。


結果いつしかナルの勇者としての活動理由は変わっていっていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「はぁ〜遠かった…お腹すいた…。ユグドラシルに行く前に腹ごしらえでもするか」




エルドロスへはナルが全力で飛ばしても三時間はかかる。しかしスキルを早く確認したかったため魔王を倒したばかりだというのに残る体力をフル使い街へ戻った。そのためお腹が空くのも当然と言える。




「魔王を倒したからかな?街が賑わってるなぁ美味しそうなものがたくさんだ…


お、この魚の串焼き美味そー!いや〜こっちの煮込み料理も美味そうだ…でもやっぱり…」




その世界の脅威がいなくなったことはユグドラシル結晶の色が変わる事ですぐにわかる。


そのためユグドラシルを警備している守護官たちがすぐ気づき街へ知らせたというわけだ。


街の住人はそれはもう喜び歓喜しこの通りまるでお祭り騒ぎだ。


ちなみに誰が倒したのかは住人には分からない。一つの世界に複数の勇者が現れることもあるため誰が倒したかは誰もわからないのだ。しかし世界は救われた。それだけの情報で十分だった




「おい!兄ちゃん!どうだい?うちは今絶賛サービス中だ!バレルリザードのステーキが銅貨10枚!世界が平和になったんだ!出血大サービスだぜ!」




銅貨100枚で銀貨1枚銀貨10枚で金貨1枚である。




「んーー!!!そうそう!やっぱ肉だよなあぁ!!


おっちゃんバレルリザードのステーキ1つくれ!」




「おぉ!いっぱい食べるやつは嫌いじゃないぜぇ!


そこで座って待ってな!とびきりに美味いやつを用意してやるよ!」




店主に案内され席で待っていると


大賑わいの街中からいろんな声が聞こえてくる。




「ママーあれ欲しい!買って買って!」「もうー今日だけだよ?」


「今夜はご馳走にするか!何が食べたい?」「やったぁ!お肉!お肉がいい!」




子供とお母さん、お父さん、家族の声がたくさん聞こえてくる。皆平和になった記念日だと凄く楽しそうだ。


どこのお店も「サービス」「割引」「無料」と一瞬怪しすぎて疑いたくなるぐらい大盤振る舞いの盛り上がりで自分の強さのために世界を救ったナルもこの時だけは世界を救ってよかったなと実感していた。


どうせすぐにいなくなる世界だがこういうのも悪くないと眺めているとお目当ての料理が到着した。




ドンッ!




しかしナルの席に持ってこられたのはテーブルが重さで壊れるんじゃないかと思ってしまうぐらい巨大な鉄板と大量の肉の塊だった。




「あの〜多分これ俺がたのんだやつじゃ…」




「サービスだサービス!若いんだこれくらい食え食え!ガッハッハッハ!」




「サ、サービスって。多すぎだろこれ…」




自分が頼んだ量の3倍はあるんじゃないかという量に思わずこれは食べきれないんじゃないかと思う。




(ま、まあ無理なら残してこっそり逃げるか…)




「まさか残したりしねえよなぁ?」




「も、勿論全部食べますよ?いゃ〜お腹ペコペコだなー」


(駄目だ!これは食べきらないとやばいやつだ…)




「お!いい返事じゃねえか!」




顔を引きつらせながらも一口食べると程よい弾力と触れる肉汁のあまりの美味しさに驚愕した。




(美味しい!肉自体ももちろんだが味付け、焼き具合文句なしの美味しさ。無茶苦茶な店主だが料理の腕は本物か…)


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「まいどあり!また来てくれよにいちゃん!」




ナルはこの世界で一番美味しいんじゃないかと思うほどの最高級のステーキを全て平らげ改めてユグドラシルへ向かっていた。




「うっぷ…。やっぱあれ量多すぎだろ…胸焼けと腹がやばい。」




とても美味しいお肉だったがあまりの量と油にナルの足取りは少し重くなっていた。


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「ようこそ勇者様。ユグドラシルへ。この世界を救ってくださりありがとうございます。」




「どうも。あのステータスを確認したいんですが」


(なんで毎回魔王倒したって言ってないのにわかるんか謎なんだよなぁ…)




重い足取りでいつも以上に時間がかかったユグドラシルについたところ守護官に挨拶をされる。


まるで自分が来るのを待っていたかのように奥へ通される。




「どうぞ。結晶に手を」




「はい」




中央にある結晶に手をかざすと目の前に自分のステータスが表示され新たに手に入れたスキルの詳細が出てくる。




(頼む…!)




スキル【植物鑑定】ランクC


植物に触れると頭の中にその植物の情報が流れてくる。




「……はぁぁぁ……」




思わずでかいため息をついてしまった。




(戦闘スキルじゃなかった…しかもランクCか。)


使えない。正直そう思ってしまった。戦いに使えるスキルでもなければ鑑定するだけのランクCスキル




普段から戦うか体を鍛えるかしかしないナルにとっては使い道のないスキルであり使い道も浮かばなかった。




「いかがでしたか?」




「いや……次も頑張ります。」




「そうですか…期待しております」




ナルのテンションで察したのか守護官も深くは聞いてこなかった。




言葉が出てこなかった。


戦いには使えそうになかったといえばよかったのに少し恥ずかしさが出てしまったのかもしれない。




「ではもう行きますね。」




「お気をつけて。ご武運を。」




ナルは逃げるようにユグドラシルの門をくぐり次の世界へ足を踏み入れたのだった。






















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ナル=ブルーム 男性


スキル


・マイフェイク Bランク


・植物鑑定 Cランク 



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