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Catch92 そしてサルは去る

予定より1日早いですが投稿します。

 以前、お笑いコンビ『くりぃむしちゅー』の上田さんが、「誤解から重複している言葉にイラッとする」というトークを披露していた事がありました(『おしゃれイズム』だったかな?)。


 「“チゲ鍋”と言われても“チゲ”は“鍋料理”の事だからおかしい」「“サハラ砂漠”も“サハラ”がすでに“砂漠”の事」など、いくつも例を挙げて嘆いていました。


 異なる文化背景を持つ異種類の言語の間には、たまにこうした「誤解」から生じる“珍現象”あるいは“珍訳語”が生じる事がある物です。私もこの手の重言は理解が広まり解消されていくといいなぁと思っているもので、上田氏の言い分に大いに頷いておりました。


 以前、このエッセイでも触れた『シーア派』もそう(“シーア”で“派”の意味だっつの)ですし、タイ語で「大きな川」は「メナム」なのに「メナム川」と地図帳にも書かれてしまっていたり、「アイヌ」で既に「人」なのに「アイヌ人」と表記したり。おかしいじゃないですか。


 言葉はそれぞれの固有文化の世界観を反映している物なので、「厳密に翻訳・運用しろ」と言われても齟齬が生まれるのは仕方がない物なのだろうと思ってはおります。ですがどうも背景を見ると対等な関係ではあまり生じておらず、「先進国・文明国」気取りの言語が「未開文化・後進国」と見なした物に対して差別に発展しそうな因子を含みつつ今に至る「誤用」の気配が感じられる気がします。



 英語・中国語・日本語の間を行ったり来たりしていると、「英語と中国語はそれぞれ日本語よりもかなり似た言葉なのかもしれない」と感じる時があります。


 文法や話法ではなく言葉を成り立たせている“世界観”というか、「世界の捉え方」「万象の言語化」が似ているのです。そう言えばどちらも「世界文明の中心国気取り」では共通していますね。


 それはさておき、日本語で説明しにくい事を英語または中国語の言い回しを借りるとやり易い場合があります。


 例えば日本でも広く知られている中国の伝奇小説『西遊記』の主人公「孫悟空」ですが、彼は「サル」でしょうか。日本語だと「サル」としか言いようが無いのですが、実は中国語では「猿」ではなく「猴」と(あらわ)されます。


 「猴」はゴリラやオランウータンなど「尻尾の無いサル」の事で日本語で正確に言おうとすると「類人猿」と言う難しい言い方をしないといけなくなります。


 「猴」なんて文字は日本では漢和辞典か広島市内を流れる「猿猴川」くらいしか見当たらず、そもそも日本には野生の類人猿が居らず「猿」しかいないので区別をつける意味がなかったのかも知れません。


 この「猿」と「猴」の区別を英語ではちゃんとしているんですね。「猿」は「monkey(モンキー)」、「猴」は「ape(エイプ)」。


 孫悟空は天界で大暴れして五行山に封じ込められる前に「美猴王」と自称していますので間違いなく「エイプ」の方です。尻尾はありません。


 堺正章さんが主演した伝説の名ドラマ『西遊記』の主題歌はご存知『money magic』ですが、残念!孫悟空はモンキーではなくエイプでした。

文法が複雑ではなく大英帝国・アメリカと二代続けて「世界文明の中心」が君臨したもので、すっかり英語が「世界の共通言語」みたいに扱われてしまっていますが、エスペラントなどのしがらみの無い言葉の方が共通言語には向いていると思っています。

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