Catch85 劣化政治
さすがにこの状況は変えませんと…。
現在の日本は1945年に第二次世界大戦の敗戦で帝国憲法体制が崩壊し、アメリカを中心とする連合国に占領された中で新たに作られた平和憲法を国の基としています。
この年を境に法律や価値観、国や社会が目指す方向が大きく変わった為に、「平和憲法時代」と呼ぶと分かりやすくなる“現代日本”が始まったと思います。
今行われている衆議院選挙は、平和憲法時代に初めて大規模な感染症被害を経験し、「自分が生きる為に真剣に考えなければならない」と多くの有権者が思う中で投票日を迎えようとしています。
ここ30年ほど、白けた目で見られてきた政治情勢では珍しい事でしょう。
有権者を白けさせて来た原因は国会の劣化です。
民主党政権が登場する前から議会でのやり取りが目に見えて稚拙になっていました。何かあれば「審議拒否」で退席、退席。議会って「話し合いの場」でしょう。根本を否定してしまっています。
牛歩(これも下らない“抵抗”ですね)や審議拒否は主に野党が使う「戦術」ですが、実行するにあたってキチンと与党の不備・不明を明らかにしておかないと“ただの駄々こね”にしか見えません。
しかも一方の与党は強行採決を連発し続け、結果は「ロクに審議をしないまま与党案が通ってしまう」事態の繰り返しでした。
与党は強行採決、野党は審議拒否、というあまり建設的ではない「対決」は“政権交代”をしても“再度の政権交代”を経ても続いています。
様相が違ったのは2015年の『安全保障関連法案』だけでした。まぁ「採決」は相変わらず力押しでしたけれど、審議はいつになく時間を取り野党も突っ込み所満載の法案に多々疑問点をぶつけていました。
何でこんな事になっているのでしょう? 何が“劣化”しているのでしょうか。
現代社会は神様がポンと作り出してある日突然今ある形、「完成形」が出現した訳ではありません。過去の社会制度が時代の変化に従って“上手く行かなくなった部分”を変えながら、よりよい形を試行錯誤しつつ追い求めて今に至ります。
この「過去の経緯」の引き継ぎがどうも出来ていないのではないかと思うのです。情報・理解の断絶が起こっている様な感じがします。
考えてみれば、国会議員の、特に強い権限を持っている衆議院議員の任期は4年ですが、現在の平和憲法体制になってから「任期満了」に依る総選挙はたった1回(1976年)しかありません。今回も含めほとんどは解散権を持つ政権側が有利に選挙を戦えるタイミングを見計らって仕掛けるので、2~3年で次の選挙になってしまいます。
特に小泉政権の後、民主党への政権移譲が濃厚になってきた辺りからは本当に1年おきに総選挙をしている様な状態で、しかも当落の入れ替わりが激しく、ベテラン議員が激減してしまいました。
ここで議会運営の慣習や過去の経緯の引き継ぎが断絶したのではないでしょうか。政策・見識に違いがあるとは言え、人として当たり前の“同じ職場に働く同僚”という認識が欠落してしまっているのでは、と思えてなりません。
かつては元職業軍人でゴリゴリの保守政治家だったあの中曽根首相でも、法案が成立した際には審議に参加した各会派・政党に仁義を切っており、共産党にさえキチンと挨拶に来たと言います。
当選回数2~3期の議員でも実質活動経験が3~4年程度でしかない人たちはこうした過去を知りません。数に物を言わせて多数決の強行採決の連発をやり始めたのは小泉内閣ですが、この遣り方に踏み切った後、果たして仁義は切れる物でしょうか。そして仁義を切っていた時代を知らない小泉“チルドレン”民主党“チルドレン”だらけになった国会で、「政策・見識に違いはあれど」という風土が受け継がれるでしょうか。
チルドレンは異常な運営を始めた国会しか知らないのです。各審議の様子を見ていると、安倍政権・菅政権ともにまともに議論に応じる姿勢は見られません。政策に具体的な中身がないのでは応じようもないのでしょうけど。
一方の野党も共産党以外に「地に足の着いた」対案をぶつける“見ごたえのある”質問を準備して臨む議員を見かけません。自分たちが「誰の意見や立場を代表し、どのような人たちの生活を守る為に政党を作り活動しているのか」がはっきりしていないように見えます(好き嫌いは別にして共産党はこの点で極めてはっきりしています)。
事態の渦中にいる当事者たちは無我夢中で、自分たちの軌跡を振り返って総括するゆとりもないのかも知れませんが、今の国会議員たちの多くは迷走・劣化・無責任の悪循環に落ちています。
議会が劣化しています。
配布を始めた時点でWHOから「効果は無い」と言われていた布マスクを大金掛けて作り、配り残したブツの保管に月7500万円も使っている様な政治では、まともに働いて税金を納めているのに人生が滅茶苦茶にされてしまいます。現在の惨状をもたらした政治を変えるのに一番簡単なのは私たちが投票に行く事です。
総選挙前という事で明日もう一つ投稿いたします。