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Catch84 ザンジバル

人の取り決めが作り出した不思議の国。

 世の中には世界の片隅で一種の「エアポケット」の様になっている場所があります。


 1999年に発覚し、大騒ぎになった『ピトケアン諸島事件』など、当初ニュースで聞いてもサッパリ訳が分かりませんでした。


 要は南太平洋の“イギリス領”ピトケアン諸島で起きた幼少女性に対する集団強姦事件なのですが、被害者とされる女性たちが島の男性被疑者たちの無実を訴えるカオスな状況になり、更に「ピトケアン諸島はイギリス領ではなくイギリス本土の法律は適用されない」と弁護人が言い始めるに及んで「??? 何だこの島は」と混乱した物です。


 ピトケアン諸島の住人は、18世紀にイギリス海軍の船員たちが反乱を起こして逃亡し、付近の島のポリネシアン女性をさらいながらたどり着いて定住化した人たちの子孫なのだとか。


 そして“長年の慣習で”島の女性たちは10~12歳くらいには(自分の親や兄弟を含む)島の男性の大半に性交渉を強制されていました。


 これを開き直って「この島では昔からこうだった」「そもそも反乱逃亡しているのだからイギリスではありません」と言われましても。


 アフリカから南アジアにかけて同じような状況に置かれている女性の救済を訴える啓蒙広告が有りましたけど、こんな“国”ですらないヘンテコなコミュニティでトンデモ風習の被害にさらされている人たちがいるなんてACジャパンも驚愕です。



 アフリカの南東部にあるザンジバルについて成り立ちを知った時も似たような驚きを味わいました。


 ザンジバルは『タンザニア連合共和国』の一部で、タンザニア自体はアフリカ本土側の「タンガニーカ」と島嶼部の「ザンジバル」からなっています。


 ザンジバルは『QUEEN』のフレディ=マーキュリーの出身地だというくらいしか知りませんでしたが、知れば知るほど「???」な“不思議の国”です。


 タンザニアはタンガニーカもザンジバルもアフリカの他の地域と同様、一度欧米列強の植民地になり、その後独立して今に至ります。


 が。


 植民地化される前、ザンジバルは2000km以上離れたアラビアのオマーン王国の領土でした。アフリカ東海岸の貿易ルートをオマーンが押さえていた為ですが、オマーンの王様(スルタン)が本国よりも気に入って移り住んでしまい、こっちが首都だった時期もあったそうで。


 その後、王家が分裂してオマーンの分家の王国になっていたザンジバルをイギリスが征服し、その後独立する訳ですが、独立してタンガニーカと対等な立場で『タンザニア』を形成して以来、ザンジバルは独立運動を進めた革命政権が支配しており、本土側の政府はほぼザンジバルに口出し出来ない状態なのだそうです。


 何ですか、それは。


 対外的には『タンザニア』として主権を持ち、内政では『ザンジバル』として自分たちのやりたい様にやる。正にエアポケットです。訪れる機会があれば歴史が作り出した不思議な状態に思いを馳せて見て下さい。観光名所としてスルタンの宮殿なども残っております。

もう無くなってしまいましたが、香港の九龍(クーロン)城塞なども政治が生み出したエアポケットでした。

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