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Catch63 並ぶ価値無し

花の命は短くて苦しき事のみ多かりき。

 しばらく前の事ですが人気番組の『スカッとJAPAN』で「神対応」をいくつかやっていました。「神対応」、なんだか最近よく耳にします。AKBの人気投票でいつも上位にランクインするメンバーを「神セブン」と呼んでみたり、神様もずいぶん気安く使われるようになった物です。


 多神教文化の「神」はどうしても人間に近く想定されがちなので、こうした卑近化は自然な流れなのでしょう。一神教、「GOD」の世界ではまず起こらない現象ですね。


 番組でやっていたのは「子どもスペースで迷惑を掛けている子を注意しない親に、角を立てる事なく“あなたが注意してあげなさい”と諭した男性」とか「クレーマーに目を付けられて弱っていた所、店長が客にお礼を言う形で毅然と対処した」とか、“多神教文化”で考えても「神様のような素晴らしい対応」と言えるほどの物でもない“ちょっとイイ話”でした。


 私が人格を形成している最中の未熟者だった時分には、この程度の事を言って下さる“大人”は珍しくありませんでした。皆さんの周りにもこうした「大人の対応」「大人の叱り方」をしてくれる人は恐らくいたと思います。たぶん「神様」が安っぽくなっただけではなく、こうした「大人」を周りに見掛けなくなった為に、まれに出会うと「神」と感激してしまうのではないでしょうか。


 お客様や近所の人がどういう方なのかを知っていて、マニュアルではない“その人向け”の対応をするなど実は「当たり前」の事です。そうではない“マニュアル仕事”(コンビニやチェーン系飲食店など)、相手がどういう方なのか、名前やお住まい・好みなどを何も知らずに「いらっしゃいませ」以下マニュアルに従って…で済む“浅い人間関係”だらけになってしまい、「人同士」のお付き合いが激減しています。


 以前「客(商売相手)は“金のなる木”だと思え」と社内教育していた「経済的成功者」=カリスマ経営者がいましたけど、元々あった「当たり前」を押しのけてこちらがスタンダードになってしまいました。


 私は「いつものでお願いします」で好みの注文が出てくるお店や、冠婚葬祭に行き来する近所付き合いの方が「人間」の生活だろうと思います。しつけの出来ていない子どもを叱る事も。最近はその程度で「神様」並みの素晴らしい振るまいと見なされるらしいですけど。



 私の住む高田馬場はあちこちに「行列」が出来ています。“美味しいお店”です。食事はゆっくりと時間をとり、家族や友人たちと会話や食事・お酒を楽しむ物と考えている私には全く関係のないお店です。


 ご存じの方も多いと思いますが、わが高田馬場は全国有数の「ラーメン激戦区」です。全国からラーメン好きの「ツワモノども」が押し寄せて来てはそこかしこに行列を作っています。私も以前、評判の有名店に並んで食べた事があったのですが、お店の外に沢山の方を待たせているかと思うと気が気ではなく、「評判」の味もろくに味わう事なく横柄な店主の接客態度に気分を害されただけで早々に退散致しました。


 食事とは「料理」が全てではないと思います。お店の雰囲気やサービス、自分の生活圏からの距離や自分固有の好みなど、様々な要素をひっくるめて「自分にとっての“いいお店”」とは「自分とのご縁」なのだろうと感じています。


 辺りを見回して「そこしか食事を取るお店がない」という場合ならともかく、行列してかなり待ってでもとにかくなにがなんでもそのお店で食事がした~い!という気持ちがよく分かりません。


 よしんば評判などを聞いて「そのお店」で食事を取る事が目的で出掛けて来たのだとしても、自分の前に5人10人と並んでいる時点で“その時は”そのお店との縁が無かったという事でしょう。近場にある他のお店といくらでも思いがけない「ご縁」を結んだらよろしい。


 寒空に震えながら、或いは炎天下に、本来なら会話や食事を楽しんでいる時間を「順番待ち」にあてるには人の寿命って短すぎる物ですよ?自分の持ち時間など自分が思っているほど長くはない物です。


 先ほども書きましたが、“マニュアルに従ってこなしていれば済む仕事(サービス)”とは言い方を変えれば“利用客の顔や人柄・好みなどを覚えなくて済む仕事”の事です。


 人としてそれぞれ一所懸命に生きている中で、わざわざ「金のなる木」だと思われに行く事もないでしょう。


 つい先日、とあるファーストフード会社が最近派手に売り出し中の新商品を食べてみたくてお店に行き驚愕しました。


 レジカウンターに注文中か精算中の方がいて私が待ち場所の先頭にいたのですが、その方の注文品を用意するのに存外時間が掛かり、私の後ろに列が出来はじめました。その時、店員さんが誰に向かう訳でもなく「もう少々お待ち下さぁ~い!!」と怒鳴ったのです。


 普通は先頭にいる私か待っている方たち全員に向かって言う事でしょう。私と目を合わせもせず、マニュアル通りの言葉を叫んだ訳です。さらにいざ私の番になり注文した品が出来るのを待っていると、調理場から精算カウンター側に品物を受け渡しする為に設けてある棚に、私の頼んだ新商品を作って持ってきた店員さんがペッと「放り投げた」のです。


 ノルマだ効率だと搾り取られるように働かされている人たちも大変なのでしょうけれど、「サービス業」としての最低ラインを完全に踏み越えてしまっています。店側に「金のなる木」と見なされるというのはこうした扱いをされるという事です。明らかにサービスの劣化現象が起こっています。


 ね?時間の無駄遣いだと思いませんか?

色々な考え方は在ってもいいと思います。自分が納得できる人生の過ごし方が出来るといいですね。

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