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Catch56 愚者の楽園

良くも悪くもアメリカらしいと思います。

 アメリカ合衆国は3億人ほどの人口を持つ、人口に比して異常に突出した軍事力で現代の人類社会に睨みを効かせる大国です。


 私たちが住む日本は第二次世界大戦のアジア・太平洋戦線で「大和魂」などとは異次元の概念であるアメリカの「物量の哲学」に破れ、散々な目に遇いました。開戦当初はリードしていた軍事技術も僅か3年半の戦争中に戦闘機・爆撃機・軍艦など主だった兵器で全部追い抜かれ、挙げ句に原子爆弾まで落っことされて止めを刺されました。


 そして宇宙開発なども含めた戦後の軍事技術の開発・推進に莫大な予算を注ぎ続け、工業技術などもそれに続いているので、アメリカは合理的・科学的な思考を育てる教育制度なのだろう、などとつい考えてしまいます。


 と~んでもない。


 WASPという言葉があります。ホワイト(White)アングロサクソン(Anglo Saxon)・プロテスタント(Protestant)のイニシャルで、アメリカ合衆国独立以来の社会の主導権を握り続けていた層の事です。


 彼らに代表されるアメリカという国は、イギリス本国に居られなくなった宗教改革派の信徒たちが東海岸に植民して出来た物です。


 食べる物も無く震えていた白人入植者たちにトウモロコシを分けて栽培の仕方を教えてくれたネイティブアメリカンたちを皆殺しにして「勝った勝った、神の恵みだ」と勝ち誇っていた恩知らずたちの子孫です。


 大陸を1つ奪った後、広大な国土の開発が続けられて今に至りますが、国民の大半は農村や工業地域に暮らし働く、「最新の科学」などとは大して縁のない素朴な“田舎者”が占めています。


 「アーミッシュ」と呼ばれる宗教コミュニティは西部劇に出て来るような19世紀頃の風俗を守りながら暮らしています。21世紀のこの時代にコルセットとボンネットドレスの女性やフロックコート・シルクハットの男性が馬車に乗って電話もテレビもない自給自足の生活をしているのです。


 アーミッシュはかなり特殊な例かもしれませんが、保守的な風土が強い南部の州を中心に、「理科の授業で“進化論”を教えるな」という運動が広がっていたり、東部の最も宗教改革派コミュニティが残る地域で社会保障の拡充に反対する“ティーパーティー運動”が勢力を増したりする背景にはこうした「意外なアメリカ像」があります。


 進化論の排斥運動は、ダーウィンの発表 (1858年)以来延々続いているのですが、今アメリカの公的教育の半分くらいは「両論併記」、「神様が1万年くらい前に世界を作った」という「創造説」と「進化論」を並べて“こういう説を唱えている人たちもいます”という扱いをしています。勿論「進化論」しか教えない学校もあれば「創造説」しか教えない学校もあります。


 2010年代に演じられていたサーカスのシルクドゥソレイユのプログラム『ト-テム』のコマーシャルでは小さめの猫背なサルから徐々に直立歩行の現生人類へとグラディエーションの行列が映し出されていましたが、アメリカ人の4割くらいはこの映像を見て「何でサラリーマンの後ろに猿が行列を作って歩いてるんだろう?」意味が分からない訳です。


 トランプ氏の様などう考えても時代遅れのおっさんに人気が集まる事があるのも(むべ)なるかな。こんな連中が核ミサイルの発射ボタンを握っているんですよ。

アメリカ一択の舵取りは危なくて仕方ありません。使う使わないは置いておき他の選択肢を用意して欲しい物です。

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