Catch44 反逆のゲーム
「暴力装置」と社会科学用語を使って辞任に追い込まれた官房長官がおりましたが、警察や軍隊は権力側の暴力装置です。
最近のゲーム専用機の発達には目を瞠るばかりです。テレビで新発売のゲームソフトのコマーシャルを見掛けても、映像や動きの余りの華麗さに宣伝されている物がアニメ映画なのかゲームソフトなのかすぐには判別出来ません。『fate』の様にゲームから生まれたアニメ映画も有りますし。
電子機器を使った個人用ゲームの走りは任天堂が1980年代に発売した『ゲームウォッチ』ではないかと思います。携帯出来るため大流行しました。この後開発されたのが有名な『ファミリーコンピューター』通称『ファミコン』です。テレビに繋いで様々なゲームソフトを楽しめる画期的な物でした。両者の利点を合わせた携帯ゲーム機はその後『ゲームボーイ』→『ゲームボーイアドバンス』→『DS』などを経て今の『SWITCH』に至ります。
また固定型のゲーム機は情報処理能力を大きく取れる為、携帯系と人気を分かつ商品の系統を保ち続けています。今Wikipediaで確認した所、『ゲームウォッチ』が1980年『ファミコン』は1983年の発売でした。「昭和は遠くなりにけり」ですね。
そして『パソピア』などゲーム対応機能を上げたPCが市販され始めて様々な内容を盛り込める様になった為にゲームソフトは百花繚乱、今でも高い評価を受けるんじゃないかなぁと思える楽しい作品が沢山出現しました。既成秩序を覆す“反乱”や“革命”などを扱った反骨精神に溢れるゲームもRPG・シューティング・スクロールを問わずかなりあった様に思います。
例えば『いっき』というゲームは竹槍や鎌で侍を倒しながら庄屋さんやお代官様をやっつけるスクロールゲームでした。そのまんま「農民一揆」をスーパーマリオみたいなゲームにしてしまった今考えると結構とんでもない作品です。
もっと凄かったのは『ゲバラ』。名前の通り、キューバ革命を上方スクロールシューティングゲームにした物です。1プレイヤーが主人公のチェ=ゲバラで2プレイヤーがカストロでした。要塞などを攻略した果てにハバナの大統領官邸に突入し、巨大モンスター状態のバティスタ大統領(所謂“ラスボス”)を倒して革命を成功させる物です。
プレイヤーが警察や軍隊といった権力側の暴力装置になって“悪い奴”を制圧するのではなく、公権力・体制側を民衆が倒そうとする“解放闘争”を舞台に選んだ面白い作品でした。
現在のゲームは技術が進歩して映像や操作性は格段に良くなりました。しかしゲームのストーリーがアメリカ映画みたいに「悪い奴を公権力や“正義のヒーロー”がやっつけて世界を救う(平和を守る)」という“救世主症候群”の様な視点が多い気がします。
かと思えばヤクザが主人公だったりゾンビやモンスターを狩る様な、なまじ画面のクオリティが良いだけにひたすら人体破壊を思わせる不快映像が続くゲームも人気ですよね。
弱者が普通なら敵わない強者に挑み、「解放」を勝ち取る反逆のゲームもその内復活しないかなぁと思っています。大抵のプレイヤーは暴力の前に屈する弱者の側なのですから。
支配を覆すには支配を拒絶する事、と言ったのはアイルランド独立運動の立役者マイケル=コリンズでした。