Catch35 丸
言葉は古今東西面白い物です。人類の一大発明ですね。
近年話題を集めたNHK大河ドラマのタイトルにも付いていた「丸」。ドラマのタイトルには主人公の真田信繁(幸村)が活躍する大坂の陣で信繁が築いた砦の通称「真田丸」と、“真田一族を乗せて乱世に乗り出した「真田丸」という船”という2つの意味が込められているそうです。
この「丸」ですが、他にも使うのを覚えがありませんか?昔の人の幼名にはよく「ナントカ丸」と付いています。例えば豊臣秀吉の幼名は「日吉丸」、独眼竜と呼ばれた奥羽の英雄伊達政宗は「梵天丸」。
船の名前の方は今でも普通に使いますけど、さすがに明治期以降に戸籍制度を整えた後、幼名→本名の切り替わり自体が消滅した為に現在子どもの名前を「何々丸」と付ける人はほとんど居りません。
こうした使われ方をする時の「丸」とは実は“おまる”、携帯用便器の事です。“汚物”には「魔」や「邪」を払う力があるとする考え方は洋の東西を問わず古くから存在します。
ドラキュラ伯爵がニンニクを嫌うのや、アヘン戦争の時にあまりに命中率の高いイギリス軍の艦砲射撃に「これは魔道の類を使っているに違いない」と考えた清軍が“ご婦人のオシッコ”を桶に集めてイギリスの軍艦に向けて並べた(トホホ)など、随所に例を見出だせます。
幼児死亡率の高かった昔は産まれてきた子にナントカ“おまる”と敢えて汚い名前を付けて魔を払い、必死で無事に育つ様に願っていた訳です。
船も一度海が荒れたが最後、死の危険と隣り合わせの航海をナントカ“丸”と名付ける事によって少しでも悪運を遠ざけようとした思いのあらわれでしょう。
余談ですが、日本を中心に「海軍関係の情報」を幅広く取り上げる『丸』という雑誌があります。多分、船の「丸」と日の丸の「丸」を掛けているのでしょうけど、こうした由来を知っていると、中々ヒドイ名前なのではないでしょうか。
ご婦人のって、大真面目だったんですよ。