Catch223 潜在的核保有
ノーベル平和賞を受賞した事は素直に喜びたい。
原子爆弾=原爆という濁音だらけのおどろおどろしい響きを持つ単語をあまり使わなくなり、「かくへいき」という軽い音感の言葉に置き換えられるようになったのはいつ頃の事なのでしょうか。
少なくとも原水爆禁止世界大会の主催者や先頃ノーベル平和賞を受賞した日本被爆者団体協議会(日本被団協)など、「原爆を無くせ」と運動していた側ではなかったように思います。
新聞・テレビを中心としたメディア、マスコミでしょうか。空襲を「空爆」と言い換え、爆弾を落とす側の目線で伝える様に下らない工夫をする人たちならやりそうな事だと思っています。
第二次世界大戦で敗北した後、日本は先端技術やその基礎研究を禁じられました。当時の世界の国力で言えばツートップだったイギリスとアメリカには遠く及ばず、当然大した物では無かったのですが。
原子力潜水艦以前の最高傑作と言われた伊400級潜水艦は全て接収されて沈められましたし、航空機・水上機の設計や製造も禁止されました。
進駐軍が東大理研や阪大、京大にあったサイクトロン(粒子加速装置)を破壊したのは原子爆弾の開発に繋がる研究だと見なしたからでした。物理の実験装置と放射性物質の濃縮機械の区別も付かない馬鹿なアメリカ軍人が日本を占領していたからこそ起きた悲劇です。日本の原子物理学研究は大きく遅れる事になります。
その一方で原子物理学研究の第一人者だった湯川秀樹博士をプリンストン大学へ引っ張り、更に名門コロンビア大学の講師に招きます。自分たちで湯川博士の研究環境を壊しておいてこういう事をやっとるんですよ。湯川博士がノーベル賞を受賞した時には日本にいなかったんです。
原発と衛星打ち上げはICBM(大陸間弾道弾)の技術と重なります。弾頭の原爆を原発の燃料濃縮技術で作れます。原爆を目標まで運ぶミサイルは人工衛星を打ち上げるロケットと同じ技術です。地球の重力を振り切る第一宇宙速度が必要だからです。
なぜ民主党を含む保守政権が原発の維持と衛星打ち上げ技術に拘るのかは明らかです。現在の人類が持つ最も射程が長く破壊力の大きい兵器である「原爆・水爆を搭載出来る大陸間弾道弾」を作る技術、潜在的核保有能力を持ち続けていたいからです。
逆に国際機関からその2つを持つ事を危険視されているのがイランの原発であり、北朝鮮のロケット技術なのです。
皮肉な事に日本で核兵器の廃絶運動を続け、後継世代にも引き継がれる組織的な平和活動として日本被団協がノーベル平和賞を受賞してしまいました。
現在行われている衆議院選挙の中で新総理も有力野党も公然と核兵器の使用や保持について踏み込んだ発言をしていますが、国際社会は日本の政界ではなく民間の運動の方を「人類の繁栄に取って有意義だ」と評価した訳です。
何かの1つ覚えの様に「唯一の戦争被爆国」と唱えるなら、せめて核兵器禁止条約くらい批准して欲しいと思います。
皆さんが選ぶ政治家たちはいつまで「力の論理」にすがる積もりなのでしょう。