Catch221 冤罪その3
女性の社会進出が進むのは喜ばしい事なのですが、今の検察のトップがいくら女性でも中身が明治のオッサンでは意味がないかも。
先日冤罪であった事が決まった袴田事件。証拠品をでっち上げてまで無実の袴田巌氏を犯人に仕立て上げ死刑判決を下した検察は最低のコメントを出しました。
やり直し裁判で指摘された証拠品の捏造や評価を「あそこが不十分だ」「これはおかしい」と散々言い掛かりを付け、挙げ句の果てに「多くの問題を含む到底承服できないもの」と言っています。
更に「しかしながら、再審請求審における司法判断が区々になったことなどにより、袴田さんが、結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも思いを致し、熟慮を重ねた結果、本判決につき検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないとの判断に至りました」(2024年10月8日畝本直美検事総長)と抜かしました。
聞いた瞬間「出さない方がマシ。最低のコメントだな」と思った物です。このオバハンは自分が何を口走っているのか分かっているのでしょうか。
普通に考えて判決を受け入れられないならば控訴 (今回の判決を出した静岡地方裁判所より上の高等裁判所に訴え出る事)するのが筋ですが、「でもそれはしない」と支離滅裂な結論を出しているのです。検察組織のトップが絶対に言ってはならないアホ丸出しのコメントです。
余談ですが、検察側に控訴を認めている国なんてほとんどありません。無罪判決をひっくり返し、「権力側の判断」を無理やり通す事になるからです。中国とかロシアとか北朝鮮とかそんなのばっかりです(下手をするとあれらの国ですら廃止されてるかも知れない)。
控訴した方がいい理由を延々と述べた後に全く理由になっていない控訴しない理由をくっ付けられても「承服できない」のは国民の方ですよ。当然謝罪の一言もありません、起訴も死刑判決も間違いだったと認めていないんですから。
では何故検察は訴え出なかったのでしょうか。間近に迫る衆議院の解散総選挙で自民党に不利な影響が出ないようにどこかから「お願い」されましたか。
そう考えないと支離滅裂なコメントをわざわざ出した意味が分からないのです。検事総長は「検察としては控訴した方がいいと考えているが、“横やり”のせいで断念させられた」と思っているように見えます。
先日少しだけ触れた『名張毒ぶどう酒事件』では警察が「ぶどう酒なら赤い」と思い込み犯人が入れたとされる農薬が赤い液体だったという前提で1度は無罪判決が出た事件をひっくり返して死刑判決まで漕ぎ着けました。
ところがぶどう酒が白ワインだった事が分かりやり直しを求める訴えが起こされます。赤い毒液をわざわざ白ワインに入れるか?という当たり前の疑問です。
経過は酷い物でした。
2002年に弁護側が再審請求
2005年に高裁が再審開始決定
検察が異議申立
2006年に高裁が再審開始決定を取消
2007年に弁護側が最高裁に特別抗告
2010年に最高裁は再審開始決定取消を破棄
高裁へ差戻し
2012年に検察の異議申立で高裁は
再審開始決定を取消
2013年最高裁が高裁の判断を支持して
再審開始決定の取消が確定
そうまでして「自分たちの判断や審理が間違っていなかった」と建前やメンツを守りたいですか。冤罪被害者の奥西勝氏はこの間2012年に死刑囚として勾留されたまま亡くなっています。
1度嘘をついてしまうと取り繕う為に次々と嘘を重ねる事になるのですが、それ嘘をついている検察自身は当然として、極一部の人以外は信じていませんから。その極一部とは。
えん罪がなるべく起きないようにしなければならない重い社会的犯罪であるのは(捜査ミスのせいで)「真犯人を取り逃がしている点」です。
被害者の遺族は大体起訴された被疑者を真犯人と思い込み恨みや憎しみを向ける事で家族や友人を失った心の傷を癒やそうとします。そこへ警察や裁判所が「こいつで間違いないですよ」と太鼓判を押し判決が確定すれば更に「間違いない」と信じるようになります。
そうすると判決が確定した後で「本当は自分が犯人じゃない」「裁判をやり直して欲しい」と言い始めた冤罪被害者は被害者の遺族からすれば「1度は自白して罪を認めたクセに今になって自分が助かるために嘘をつき始めた卑怯者」と感じられる訳です。
冤罪は権力犯罪とされ、厳しく監視しなければいけない物です。それ以上に犯人を取り逃がし、遺族の気持ちを踏みにじり、無実の人間を罪人にする、いい所など1つも無い最悪の社会的過ちなのです。
検察の皆さん、開き直って逆ギレコメントなど出しているくらいなら「検察も間違う事がある」という当たり前の事を受け入れなさい。
裁判所なんて一般人が普通に暮らす中で縁など無い物です。そして密室や世間の無関心を味方に検察を含む権力側はやりたい放題なのが現状です。