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Catch220 冤罪その2

不必要な小難しい法律用語などを覚えている暇があったら捜査ミスや無実の市民を起訴するのを減らしなさい。

 前回は冤罪(えんざい)がなぜ起こるのか、原因その1について書きました。


 日本の法体系が「検察・裁判所は間違いを犯さない」とのトンでも前提で営まれている、つまり途中で容疑者の無実に気がついてもそのまま押し切って有罪にしてしまう構図です。


 間違わない訳無いじゃん。あんたら人間じゃないの?神様?間違いが起きてはいけない、という心掛けは大切ですが、間違ってるな~と分かりつつそれを隠して無実の人間を犯人に仕立て上げて済まそうとするって“神様”どころか“悪魔”だべぇ。


 日本でえん罪が起きる原因その2は取調べの仕組みにあります。


 日本の警察が行う取調べは、長期に渡る拘束と密室での自白の強要です。これ、国連の人権委員会で「精神的 拷問(ごうもん)」と規定されている「やってはいけない事」なんですけど、何故か日本では「容疑者との信頼関係を作って真実を語らせる手段」との寝言がまかり通っています。


 そして仕事や家族への責任などから早く釈放されたい容疑者は精神的に追い込まれ「やっていないのだから裁判では自分の無実が科学的に明らかにされるだろう」と自白に至ります。


 とんだ「信頼関係」もあった物です。


 ところが一旦自白したが最後、その自白を唯一の証拠として有罪判決が出るのです。こんな馬鹿な話が続いているのも「密室の取調べ」が許されているからこそです。


 そしてその解消の為に提案されている「取調べの可視化」を警察も検察もそろって拒み続けているのが現状です。第三者に見られたらマズイ事をやっているからです。


 1997年に神奈川県警が取調べていた暴力団員が取調べ室で自殺したというニュースが報じられた事があります。県警の説明では「捜査員が目を離した隙にピストルで容疑者が自殺した」という事でした。


 ところが詳しい事情が明らかになってくると「???」な状況に変わります。


 まずピストルと実弾は証拠品として「別々の」ビニール袋に入っていました。まぁ、取調べ室にそんなのを持ち込んでいる時点でアレなんですが、まぁそういう事も有るかも知れません。そして規則で複数居なければならない捜査員は1人しかいませんでした。最後に容疑者は「胸を撃って」自殺したそうです。


 え~と、そうしますと何ですか?取調べ中の容疑者は目の前にいる捜査員の目を盗んで別々の袋に入った弾とピストルを取り出し、弾をピストルに込め自分の胸に向けてぶっ放したんでしょうか。


 ピストルで自殺する場合、普通は口に咥えて延髄を撃ち抜くか利き手の側のこめかみに銃口を押し付けて引き金を引く物です。自分の胸に銃口を当てようとしてもなかなか素早く上手くなどいきません。


 当時「これ、“自殺”じゃなくて“射殺”だったんじゃね?」と知り合いの弁護士が胡散臭げな顔をしておりました。こんな「取調べ」とても可視化なんて出来ませんよねえ。



 そして最も下らない、冤罪が起きる原因その3は「警察の検挙率を上げる為」。


 一時期続発して社会問題にもなった「痴漢冤罪」です。まぁ、死傷者が多数出たような大事件でいつまで経っても一向に犯人が捕まらず「警察は何をやってんだ」的な批判を(かわ)す為に犯人をでっち上るケースもありますが、圧倒的に多いのは痴漢冤罪です。


 1980~2000年代にかけて、警察は上記の「自殺事件」も含めて目に余る不祥事を度々起こしていました。財布を拾って届けたおばさんを窃盗で逮捕 (大阪府警)などしているようでは、日本の警察の捜査力を支えていた市民からの情報提供が減るのも当たり前です。


 情報提供が減り検挙率が落ちてきた警察は行いを正して市民の信頼を取り戻すのではなく、手っ取り早く現行犯逮捕できる「痴漢」に目をつけた訳です。後で間違いと分かっても「検挙」の実績としてはカウントされますので。


 その結果「断じてやっていない」と突っぱね続けた極少数以外は「自白したらほぼ有罪確定」のベルトコンベアに乗せられ前科者にさせられて行きました。


 突っぱねて裁判になったケースでは「電車内で携帯電話を使っていたのを注意され、仕返しの為に注意したおじさんを痴漢扱いして突き出した」という馬鹿げた例まで出てくる始末です。それでも警察に取っては数字さえ上がればいい、という事だったんでしょう。


 これのどこが「国民の生命・財産・安全を守」っているのでしょうか。やってもいない犯罪で罪を着せられ仕事を失い何年何十年も刑務所に入れられる事を「安全を守る」とは言わないのですよ。ニホンゴ、ワカリマスカ?

そして先日の袴田事件で事もあろうに検察のトップである検事総長がとんでもないコメントを出して来ました。

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