Catch22 エミレート オブ アラブ
アラビア半島辺りはオマーンといい、イエメンといい、まだまだ面白い「国」が沢山あります。オマーンやその分家たるザンジバルについてはまた別項にて。
フィギュアスケートやテニスの大会などでよく見かけるFly Emilates。ネットや会場の腰板にデカデカとロゴを出し (もちろんお金も出し)ているFly Emilatesことエミレーツ航空です。
キャビンアテンダントの派手な衣装と割安な料金で急速にシェアを伸ばしている商売上手な会社として知られています。アジア-ヨーロッパ・アフリカの中間地点 (ドバイ)に拠点を構える立地の良さを活かしてお得な移動をサポートしつつイスラム世界のエキゾチシズムもさりげなくあしらう戦略は感心させられます。
強制的に中継着陸させられるドバイは2021年現在、世界一高いビル「ブルジュハリファ」がそびえております。“京都駅から見た比叡山の高さと同じ”だそうです。
馬鹿じゃなかろうか。
成金趣味丸出しです。見渡せばドバイは周りがぐるっと砂漠でありまして、こんな物を建てるくらいなら海水を真水に濾過・浄化するクソ高い施設でも整備すれば良かろうにと見る度に思ってしまいます。
とある文明批評家に拠ればデカイ建物を建て始めるのはその社会体制が滅亡に向かう指標の1つだそうですけど。
2018年10月にサウジアラビアのジャーナリスト、カショギ記者がトルコのイスタンブールにあるサウジアラビア領事館の中で殺害された件で、サウジアラビアが愚かさをさらけ出しました。
トルコの警察当局の捜査が進むにつれてサウジアラビア政府や“主犯”と目されている当時の王太子の出していた「声明」やら「記者会見」での発言の迷走する事、正にここ近年の安倍首相や菅首相の国会答弁が如し。
ダメージコントロールの失敗例として教科書に載るかも知れないくらいのアホさ加減でした。
サウド王家は元々砂漠の民べドウィンの一部族の長に過ぎません。一代の英雄・イブン=サウドが時代の波を捕らえて聖地を含むアラビアの大半を支配下に収める事に成功し、「イスラムの守護者」ぶっていますけど、所詮盗賊風情に過ぎないのです。
誇り高き砂漠の民の姿など何処へやら、神が与えたオイルマネーでアメリカやヨーロッパと渉を付けて、やっている事は近代社会からは到底受け入れられない殺人こみの薄汚い権力ごっこだったに過ぎないとは。
少し前にジャーナリストの池上彰氏がイスラムについて書いた本でサウジアラビアの事を「国家ではなくサウド王家の私有物」という様な表現をしておりました。なるほどと納得させられる分析ではありませんか。
初めに触れた“エミレーツ”ですが、素直に日本語に直すと「首長たち」となります。現在「アラブ首長国連邦」略称UAE(United Arab Emilates)と呼ばれている国は、かつて「休戦土候国」と言われ、アラビア半島の東側にあるオアシス都市を治める7つの「土候」つまり「Emilateたち」が連合して連邦国家の体を整えた物です。
それぞれの領域もサウジアラビアとの国境も砂漠の中で漠然と“この辺り”となっているだけです。かつてのオアシス国家が曖昧な領域の中でそれぞれの条件を活かして繁栄を作り上げている訳ですが、こうして見ると土候=Emilateと王=Kingの違いって一体何でしょうね。何だか「名乗った者勝ち」にも思えてきます。
都合のいい事に境目もはっきりしていない事ですし、アラビア半島最大のEmilate (本人たちがKingだと言い張っているだけ)たる某王家もいっその事、UAEに加盟すれば少しは思い上がりから目が覚めるかも知れません。
中東はアノカルロス=ゴーン氏が逃げ込んでいるレバノンもありますね。