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Catch219 冤罪その1

冤罪、それは司法の闇です。全3回くらいを予定しています。

 冤罪(えんざい)とはやってもいない罪を着せられ、それが裁判などでやった事にされてしまう物です。字が難しくて読めないので最近では「えん罪」という書き方もされるようになっています。


 法律用語はこういう不必要な難しい物が多く、とても不便です。読み方さえよく知られていない字を使い続けて何のメリットがあるのでしょうか。「無実の罪」で十分でしょう。


 明治憲法時代に整えた法体系を手直ししながら使っているので、用語も面倒臭い物がほぼそのまま残っている訳です。


 文明開化だと意気込んで片っ端から欧米文明の用語や概念を漢語訳してのけた明治の知識人(インテリゲンチャ)たちの“東洋人としての”教養は物凄い物だと思います。しかし肝心の使い続けている我々に漢語の知識が薄れているので司法は「知らない漢字や言葉がたくさん使われている難しい仕事」になってしまっているのです。


 法律なんてそんな面倒な物では無いんですけど。その時代その時代でその時に生きている人間が社会をスムーズに営む為に決めた物でしかありませんからね。


 「十戒」や「クルアーン」の様に高次元の存在(人間が「神」と呼ぶ物)に授けられた「意味が分かろうが分かるまいがとにかく言われた通りに守る物」ではないのです。少なくとも近代法はそういう前提で使われなければなりません。


 最近、長年「自分はえん罪である」と再審請求 (確定した裁判のやり直しを求める事)を繰り返して来た袴田巌(はかまだいわお)さんの無罪が確定して、さすがに主要なニュース番組でも取り上げられていました。


 ニュースを見た方ならご承知の通り、やってもいない殺人事件の犯人とされ、「証拠品」すらでっち上げられて無理やり「犯人」にさせられて死刑判決を受けた物です。



 日本の法体系の一番問題な所は「検察・裁判所は間違いをしない」というとんでもなく非現実な前提で成り立っている所です。


 起訴 (裁判をするべき事件だと検察が判断)した刑事事件の99.9%が有罪という異常な数字がこの馬鹿ばかしい前提を裏付けています。ドラマのタイトルにもなっていましたね。


 これは「わぁ、日本の警察って優秀なんだなぁ」ではなく、普通に考えれば「日本では起訴されたが最後、無実でも裁判所が有罪にする国」だと思われるヤバいデータなんですよ。こんな数字を誇りにしているなど、検察・裁判所は一体何を勘違いしてるんでしょうか。


 人間のやる事です。捜査ミスもあるでしょうし検察官の勘違いも有るでしょう。場合によっては取調べを受けている被疑者が嘘をつく事もあります。


 現実に起きた事にたどり着き、犯罪を犯した者に決められた刑罰を与えるに際して、間違いが見つかればどの段階でも正しい方向へやり直しがきくようにするのが法律に関わる人のするべき事です。


 「我々は間違っていない」「間違わない」という建前や面子を守るために証拠を捏造(ねつぞう)し逮捕された人の無実を裏付ける証拠品を握り潰すなどやってはいけない事なのです。


 えん罪事件のやり直しにとても時間が掛かるのはひとえにこうした「間違った前提」を認めない警察・検察・裁判所のプライドが有りとあらゆる妨害と引き延ばしをやってくるからです。


 これって「間違っていようが何だろうが裁判所(こちら)が判決を下したのだから文句を言うな」という事と、「検察・裁判所の間違いがバレる前にさっさと死んでくれ」という事ですよね。


 だから間違いの疑いが濃厚な件ほど時間を引き伸ばします。再審請求をした無実の人間の寿命が尽きるのを待っている訳です。


 袴田さんは2回目の再審請求で無実が明らかにされましたが、『名張毒ぶどう酒事件』の奥西勝さんは裁判で説明された自白とつじつまが合わない有罪になるまでの事件のなりゆきに8回も再審請求を出しましたが、裁判所も検察も引き延ばしにひきのばして奥西さんは亡くなってしまいました(2012)。次回は取調べの問題について書こうと思います。

奥西さんが長年留められていたのが「名古屋拘置所」でした。

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